宿屋と部屋
―――――――【サイクロプス協会】に居るとされる勇者を倒す。
宿屋の前であったヒルデガルドさんの意見に促されるようにして、僕は目的を決めた。まぁ、もう日が暮れていたので明日に回す事にしたのである。宿屋では僕とワイトワームの部屋、そしてサファイアと夕張さん、そしてヒルデガルドさんの部屋の二部屋を用意して貰ったんですが。
さり気なくサファイアがドッペルゲンガーの力を使って男に化けようとしたり、ヒルデガルドさんが魔法を使って男に欺こうとしたりとして大変だった。そこまでして同じ部屋になりたいのだろうか?
「まぁ、一度一線を越えてしまうと大変な事になってしまうので、そんな事をする訳にもいかないんですけど。まぁ、そんな事を考えている訳にはいかないんだけれども」
「シュシュ!」
「はいはい。褒めてくれてありがとうね、ワイトワーム」
僕はワイトワームに褒めて貰って、糸を吐き出して貰って編み物をした。このハーデアン町に着くまでには、夕張さんにやって貰ったんですけれども、やっぱり自分でも編み物の技術を磨いておこう。
「まぁ、編み物以外にも錬金を行っておこうかな」
「……シュッ?」
「色々な素材をここに来るまでに、貰ったり取ったりしたんですから。木の棒やら葉っぱもあるし、コテイ村の水もあってね。ちょっと久しぶりに錬金を行わさせて貰いましょう」
毒針や木の棒を取り出して、ワイトワームが吐く糸で合わせて毒矢を作る。そしてそれを同じように、毒矢を作りまくる。まぁ、弓矢を使う人はうちのパーティーには居ないんだけれども、いざと言う時に使う時もあるかも知れないし。備えあれば憂い無しである。
「――――――――さて、明日も早いし、ワイトワーム。もう寝て置こうか?」
「シュー」
明日は【サイクロプス協会】を調査する予定もあるんだから、万全の準備で行っておこう。僕はワイトワームと眠るように言って、僕は一緒に眠る。
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その頃、サファイア達が泊まっている部屋。サファイアや夕張さんが寝静まっている中、ヒルデガルドは武器や道具に魔法を付与していた。
「まぁ、イヴァちゃんに頼まれてるし。石動さんや、周りの人達を守るために魔法の守護をしておきましょうかね」
着ている服や防具に魔法の守護を行って、斬撃攻撃や火炎攻撃を防ぐための魔法陣を描いて置く。剣などの武器には攻撃するための付属効果を行っておいた。
「―――――――【サイクロプス協会】に居るとされている勇者倒しは、私から提案した事ですし、それなりに責任みたいな物は感じますしね。危険に巻き込んでしまったのかもしれませんし」
攻めて一人の犠牲者も無く、終わりたいな。そのためには一番死んでしまう可能性がある者を守って置こう。
「この中で一番死ぬ危険性があるのはと言うと……まぁ、一番妥当なのは――――――」
私はそう思いつつ、その者の事を頭に思い浮かべてその者が死なないように防具に念を入れておくのであった。