表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Road to Lord -魔王の道-  作者: アッキ@瓶の蓋。
第4話 悪魔と魔の鎧
39/66

夕張さんと一緒に

 僕達はサファイア、ワイトワーム、そして何故か後に付いて来た夕張聖さんと共に魔王城を出て旅に出ていた。本当ならば夕張聖さんは連れて行く気持ちはなかったんだが、何故か捨てないでと懇願されてしまって今に至るのである。



「はぁー……」



「どうかされましたか、ご主人様?」



 と、どこのどいつだと思えないくらいの変わり方をした夕張さんがそう言う。その顔には主を心配する女中の顔であり、その顔は僕に向けられていた。初めて会った時には若干怯えているように思えたくらいなのに、えらい違いである。

 夕張さんの話には、本当に驚いた。まさか彼女が"生まれ変わり"だなんて。



 生まれ変わりとは、文字通り一度死んで生まれ変わった者の事を言うのだが、夕張さんは前の記憶を覚えていた。まぁ、俗に言う転生と言う事だな。そしてその転生する前の世界で、彼女は1人の男を主人としていたらしい。その主人と言うのが、



「他人のスキルを継承する力を持った、男だったとはね」



「はい! まさかこんな辺境でご主人様の生まれ変わりに会えるとは、光栄でございます!」



 前の世界の主と同じ能力を持っているからって、僕を主とするのははなはだ筋違いとは思うが……。まぁ、彼女に一回違うと言ったんだけれども、「違う証拠がないじゃないですか!」と言われてしまって僕は返す言葉が無かった。夕張さんの言う前世のその主と違うかは、僕にその記憶が無いから分からないのである。



「まぁ、一緒に戦ってくれるのならば良いけどね」



「はい! ご主人様のために、私、誠心誠意、頑張らさせていただきます!」



 と、夕張さんは言う。夕張さんも使い魔こそ持たないけれども、僕と同じように1000ptを割り振ってエルフとして転生したのだ。そこそこのスキルは持っているだろう。『物は使いよう』と言う言葉があるし、彼女のスキルにも使い道はあると思うし。僕はそう思いながら、ワイトワームの方に目を向ける。



「ワイトワーム、糸を吐いてくれるか? 編み物でもやっておこうかと思って」



「シュッ!」



 ただ歩いているだけでは勿体無いかと思ってそう言うが、「でしたら、私が……」とそう言って代わりに夕張さんがワイトワームの糸で編み物を始めてしまった。「こう言うのは女性の方が……」と言うけれども、そんな事に男性と女性の違いもないと思うのだが。まぁ、そう言う事は言わない方が良いのだろう。彼女は物凄い勢いで編み物を始めて行った。どれくらいの勢いかと言われれば、ミシンか何かで編み物をしていると思うくらいの速さである。



「前に編み物をやりまくって……」



 それとは思えないくらいの速さだけれども……。まぁ、良いか。編み物は彼女に任そう。



「あの、龍斗様?」



「ん……?」



 そんな事を考えていると、サファイアが僕に話しかけてくる。



「今からどこに向かうつもりなんですか?」



「さぁね。とりあえず、ほら。目の前に街があるからあそこに行ってみよう」



 そう言って僕は眼の前の街を指差す。そもそもコテイ村とは別の方に向かっていたから、どこに行っているのか正直自分でも分かっていないのだ。だから、入るべきだろう。



 僕達はそう言いながら、その街の中に入って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ