リーファと龍斗(3)
最近、投稿スペースが落ちています。
……試験が近くて、本当にごめんなさい。
僕は文字の彼女の作戦通り、行動を開始した。そのためには出来る限り、あの先代の魔王であるリーファに近付かなければならない。
(考えていても、しょうがない、か! どうせ、なるようになれ、だ!)
僕はそう考えつつ、ワイトワームを抱きかかえる。いきなり抱きかかえられたワイトワームはと言うと、驚いたような顔をこちらに向けていた。
「シュ!? シュ、シュシュ!」
「行くぞ、ワイトワーム。次が僕達の最後のチャンスだ」
僕がそう断言するように言うと、ワイトワームは分かってくれたのか抗議のような声をあげるのを抑えて、敵であるリーファの方を見る。
《覚悟を決めたか……。ならば、こちらも全力で答えるのが、先代としての責務だろう》
リーファはそんな風な事を言いながら、大きな水の剣を作り出す。水で出来た綺麗さと儚さを兼ね備えたその剣は、絶えず剣の内部で水が循環している。
(あれが水を扱う先代魔王、リーファの最終的な攻撃手段、と言った所だろうか?)
あの水の剣は綺麗さだけでなく、循環しつつ剣の内部で攻撃力が増していると言う記述を、魔王城の本の中で読んだ覚えがある。どのような物かとは思っていたが、
(受けたらやばそうだな……。まぁ、けど今の自分に出来る事はまっすぐに突っ込む事、それだけだ!)
僕はそう言いつつ、スキルの1つである『身体強化Lv.2』を発動する。それによって身体能力は先ほどよりかは高くなっている。とは言っても、こんな一般的な種族値の平均より強いというくらいなので、あのリーファにとってはさほど効果はないのだろう。
(だが、それにこれも合わせる)
僕はさらにスキルを発動して、そのままリーファに向かって走り出す。
《血迷ったか!》
リーファは水の剣を振るい、水の球を作り出してそれをこちらに向けて放ってくる。先ほどまでならば食らっていただろうが、今の僕達は違う。
「ワイトワーム、右斜め上に糸!」
「シュッ!」
僕の指示に従って、ワイトワームが右斜め上の場所に糸を吐く。そこに糸が当たって、右斜め上の場所に糸の巣が作り出されて、その糸の巣がリーファの放った水の球を防いでいた。
《ワイトワームの糸で魔法を防いだか……》
僕の持っているスキルの1つ、『魔法の指輪』。魔法の知識を得るこのスキルを使う事によって、リーファの使う水の魔法の知識を得た。その魔法を阻害するように、リーファの糸を吐かせたのだ。
《球数を増やそう》
リーファは水の剣をさらに振るいつつ、水の球を複数作り出す。そして作り出して放たれた水の球をリーファの吐く糸で再び阻害した僕は、そのままリーファの持つ剣に糸を巻きつける。糸を巻きつけた剣に戸惑って居る間に、僕はリーファの目の前までやって来る。
そしてリーファの身体に、自身の手を押し付ける。
「『過去からの継承』!」
そう言って、僕は『過去からの継承』を発動させる。すると、リーファの身体が一瞬、光り輝いたかと思ったら、頭の中にメッセージが流れる。
『リーファから、【水神式魔術】を手に入れました』
これがあの文字が出した作戦である。『過去からの継承』を使う事によって、相手の能力を奪う事が出来ると言っていたが、どうやら本当だったみたい。
(もっとも……)
これからどうするかは聞いていないんだけれども……。
《なかなかやるな……。だが、それもこれまでだ!》
そう言う、リーファの攻撃に僕は防ぐすべなく、と言うか文字が教えてくれた方法にその方法は無く、
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」
僕はリーファに剣で殴られるようにして、倒された。
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「上出来だね」
魔王城の遥か上空にて、1人の女性がそう口にした。
紫色の髪を長くなびかせながら、それを頭の後ろで数回転させて丸めた特徴的な髪型をした金色の瞳の大人びた顔立ちの女性。頭には魔女が被るような三角帽子を被り、背中から大きな竜の翼を出している。
そんな彼女は両腕で、自身の大きな胸をたゆんと支えるようにして強調しつつ、頭を振りながら先程の戦闘、リーファと知り合いの思い人との戦闘を称賛していた。
「あのリーファに対して、ワイトワームと人間の身体で良く戦えた物だね。あまりにも良すぎて、溶けちゃいそうだったわ♡
まぁ、リーファのあの能力を【継承】したのは褒めてあげようかしら♡」
そう言いつつ、恍惚の笑みを浮かべる彼女は、「納得ね」と声を出す。
「じゃあ、後は接触が大事ね♡ 初めは激しく! そして徐々にじわじわと効いて行くように!
さぁ、忙しくなるわよぉ~!」
彼女はそう言いつつ、竜の翼を大きく羽ばたかせて暗闇の空に消えて行った。