リーファと龍斗(2)
新年1発目の投稿が遅くなってしまい、すいませんでした。今年も見てくれると嬉しいので、応援、よろしくお願いします。
ゆっくりと、ただゆっくりと剣を振るいながらリーファは歩いて来る。その歩みは王者の風格を漂わせた堂々とした歩みであり、一歩、また一歩と歩いて行くと共に、リーファはどんどんと凄みを増していく。
《―――――軽くだから、予め防いで置けよ》
そう言いつつ、リーファは本当に軽く、剣を振った。振ったと言うよりかは、軽く沿うような形である。そのはずだったのに、剣から放たれた風圧は僕とワイトワームを吹き飛ばしていた。
「……あんなんで、あの強さかよ」
本当にかるーく、そして軽い攻撃だったはずなのに、風圧であの強さかよ。リーファが忠告していたように、予め防いでおかないと吹き飛ばさられていたかも知れない。
「シュー! シュ、シュシュ!」
ワイトワームはそう言って、繭の中から出て来る。どうやらワイトワームの方は咄嗟に白い繭の糸で自分を包んだようである。
「良い判断だよ。けれどもまぁ、どうするか」
一番の問題はそこである。僕とワイトワームにはリーファを倒せるだけの技は持ち合わせていない。子供スイリュウやサファイアが居れば簡単なんだが、居ない物をとやかく言ってもしょうがない。今、どうやって倒すかが問題なんだ。
「さて、どうすれば倒せるんだ?」
どうすれば倒せる? そんな事を考えている僕の頭にいきなり文字が浮かび出る。
『お困りのようですね。では、私の方からサポートをさせていただきましょう』
頭の中に浮かび上がる技と言うのは、大抵の場合は簡素で、しかし丸文字で女らしさを感じられるような印象を受けた。
(なんだ、これは?)
『今は気にする必要はないよ。この借りは後で返して貰うよ。そう、ね。本当に後でね。では、承認を貰うよ?』
(承認……?)
『今は君が気にする必要はない。それに悪用するつもりもない。君を助ける。それが彼女との約束だから、さ』
彼女との約束? 僕を助ける事がこの声の、いや文字の持ち主の目的? その彼女とは誰なのかは分からないけれども、助けてくれるのならばありがたい。
(じゃあ、承認で)
『良い判断だよ。……よし、承認を確認した。今から君の中から検索をかけよう。
……おぉ、良いスキルがあるじゃないか。なるほど、この説明文では勘違いしても当然と言えば当然、か。ならば今から言う方法でやってください』
この妙に親しげな頭の中に現れる丸文字が、果たして本当に正しいやり方を教えてくれるのか。それに味方かどうかも分からない。けれども……
(今はこれに賭けるしかない! それにあなたの事も信頼してますし)
『……初めてだよ。文字だけのやり取りでここまで信頼してくれるのは嬉しいですね。そこがイヴァリストちゃんの気に入った所だったりするのかな?』
(えっ? イヴァリスト?)
どうしてここで、僕達を魔王にするために呼び寄せたあの神様の話になるんだ? あの神様と僕は直接的には話してはいないのに……。
『……イヴァリストちゃん。まぁ、彼女らしいと言えば彼女らしいけれども。まぁ、今は私の言葉に耳を傾けてやってくれよ』
あぁ、勿論だ。
僕はそう言い、その文字の送ってくれた作戦の実行を決意した。