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Road to Lord -魔王の道-  作者: アッキ@瓶の蓋。
第3話 魔法の悪魔
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東堂健二と番勝田の魔王対戦

 東堂健二の準備が終わり、前魔王リーファと東堂健二の戦いが始まっていた。東堂健二は赤い魔力を放ちつつ、呪文を唱え始めていた。



「……火炎魔法、火の鳥!」



 そして東堂健二は魔力によって火炎の鳥を形成し、形成した火の鳥を前魔王リーファへと放っていた。放たれた火の鳥は一直線に前魔王リーファへと向かって行く。



《……面倒な》



 そう言ったリーファはいきなり左腕に水の剣を作り出したと思ったら、その水の剣によって火の鳥を一瞬にして斬っていた。それを見て、東堂健二は焦る事も無く、周りに居た使い魔達に指示を出す。



「……水の魔王か。まぁ、火は牽制用だけれども、こうもあっさりとやられると呆気なく感じるよ。

 ドラゴン、マンドラゴ、やるんだ」



『ガァァァァァ!』



 東堂健二がそう言う事によって、ドラゴンが雄たけびをあげて口から大量の風を放つ。そしてあのデカい不気味な植物が大量の溶解液を放つ。大量の風に煽られるようにして、大量の溶解液が前魔王リーファの元へと向かって行く。



「食生植物マンドラゴが持つとされている何でも溶かす溶解液。そして風のドラゴンが放つ猛スピードの風。これこそ、前魔王リーファを倒すために用意した私の策略だ!」



 その攻撃は、前魔王リーファを倒すために東堂健二が考えた策略なのだろう。そして前魔王リーファがそれを防ぐために水によって防ごうとするが、その腕が地面から出た黒い鎖によって封じられる。



「私を忘れないで欲しい」



 それは東堂健二の使い魔、闇の最上級の精霊の仕業のようである。リーファがそれを防ぐ事が出来ずに、誰もが東堂健二の勝利を予見したその瞬間、大きな風が吹いた。



「何……!?」



 東堂健二と使い魔達はその暴風によって、壁に叩きつけられていた。



「幽霊の東堂健二を吹っ飛ばすとか……あの風は何だろうな」



「さぁ……。恐らくそれも前魔王リーファの力の1つなのでしょう」



 と、横に居た弓葉がそう言う。水の魔王と言っても、水以外の攻撃手段も持っていたとしても不思議ではないし、東堂健二は自分の腕に過信しすぎた。それが彼の敗因だと僕はそう思った。

 そして魔王城の魔族の人達はそれを見て、東堂健二の力については大体の強さを確認していたみたいである。



「東堂健二の強さは確認した。次いで番勝田よ、前へ」



 と、魔王城の人が言うと共に、東堂健二とその使い魔達は数人のピクシーに連れられるようにして魔王城のこのエントランスを出て入った。恐らく治療のためであろう。それと入れ替わるようにして、番勝田が前に立つ。

 番勝田は東堂健二と違って使い魔は居ないようだけれども、彼の持つオーラは東堂健二の何倍もあるように見える。弓葉が言っていたように、番勝田は獣人の血を目覚めさせる事によって、前以上に強大な力を得たとか言っていたが、それもあながち嘘では無いみたいである。



「今の俺は前までの俺じゃねぇ。そして俺は俺だけじゃねぇ、別の誰かの分も背負ってやる。それが男ってもんだろうが」



 そう言って、拳を構える姿に何人の女性魔族が心を奪われただろうか? あるいは彼の言う『別の誰か』と言うのは、彼の嫁であるミイラ族のお姫様の事なのかも知れない。愛する者が居る物は強いと言うのは、今の彼に相応しい言葉だと僕は思った。



「では、両者。構えて……」



《殺してくれ……》



 僕の耳には、彼の、前魔王リーファの声が聞こえてくる。やはりこの声が聞こえるのは僕だけのようで、他の皆はただの前魔王の姿にしか見えないみたいである。



(僕の持つスキルの1つの効果なんだろうけれども……死者の声を聴くスキルなどは取っていないし、新たにそんなスキルを取った覚えも無い。けど、ならどうしてこの声が聞こえるのだろう?)



 そんな事を考えている間にも、物語は進んで、番勝田が動く。地震が起きたかと思うくらいの衝撃を地面を蹴っただけで起こした番勝田は、そのまま間髪入れずに前魔王リーファを殴りつける。

 霊体である前魔王リーファに拳は効かないんじゃないかと僕はそんな心配をしていたが、



 ガシッ!



 番勝田は前魔王リーファの身体を着実に捕えて、そのままの勢いでリーファを吹っ飛ばす。まるで高速で投げられたボールのように、リーファの身体は飛んで地面に激突する。そしてそれを追うようにして、番勝田も地面を走りリーファの元へと向かって行く。



《凄まじい……》



 リーファはそう僕にだけ聞こえる声にて番勝田の強さを表現しつつ、水の銃弾を空中に幾つも作り出し、先程東堂健二を吹き飛ばした突風を使って、番勝田に放つ。

 番勝田は凄まじい風に一瞬、身体がぐらつくも、すぐに地面にがっしりと足をつける。そして、水の球が番勝田の身体に当たる。腕を前に出して、顔に直撃は避けたみたいだけれども、彼の身体には幾つもの小さな傷が出来ていた。



「……へっ、かすり傷だぜ」



 そう言いつつ、番勝田は片足を大きく上げて、地面を強く踏む。すると一瞬にして突風を消すほどの衝撃が生まれて、番勝田はその突風が消え去った間にリーファの懐に潜り込んでいた。



「沈みやがれ、先代の魔王さんよ」



 そう言って、彼は腕を大きく振り、リーファの顔を思いっきり殴っていた。そしてリーファは宙を舞い、そのまま空中でゆっくりと消えていった。



《これで……安心だ……》



 そう言い残して。



「勝者、番勝田!」



 審判の口からその言葉が出たその瞬間、エントランスは勝者を称えるように大きな歓声があがった。

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