Ex.アバユリとラファエルの調整仕事
【試練の神の主神】である日向ラファエルと【ギルドの神の主神】たる天見アバユリの2人は、天見アバユリの仕事部屋にて異世界【イナフィア】の調整を行っていた。
調整と言うのは、異世界に魔王を送った後、こちら側からモンスターなどを送ると言う行為の事だ。魔王の力が安定してきて、そろそろこちらから強いモンスターなどで刺激を与えようと言う事である。
「しかし、それにしてもどれも強いモンスターばかりだな」
と、アバユリはそう言いつつ、ピックアップされたモンスターの一覧を確認していく。
【ドラゴン クラス:A】
【ワーキャット クラス:C】
【スケルトンナイト クラス:B】
【デュラハン クラス:B】
【フェアリー・ロード クラス:A】
【ユニコーン クラス:C】
【ガーゴイル クラス:D】
【ナーガ クラス:A】
【サラマンダ― クラス:B】
色々居るが、それぞれ特徴のある魔物達であり、それなりにレベルの高いモンスターばかりである。そしてどいつも性格的に難があるとして、魔王の使い魔である魔物選抜に選ばれなかった魔物達である。
「……と言うか、なんかAランクの数が少し多くないか? これじゃあ、あの世界の人間にも迷惑をかけそうだが」
アバユリのそんな疑問に、「心配はないだろう」と答えるラファエル。
「子供とは言え、ドラゴンに手を出すような世界の人に遠慮なんて無用だよ」
「それは言いすぎじゃないかな……。まぁ、許せないと言えば許せないが。気にしすぎだ」
と突っ込んでおくアバユリ。
「それに、あの世界にはうちの仮面姫、月裏イヴァリストが好きな人間が居ただろうが」
と言うアバユリ。それを聞いて、「あぁ、そうだった」と思い出したかのように話を切りだすラファエル。
「彼はドラゴンを助けてくれたんだ。彼にはその分、試練を与えないといけないな。強者にはそれだけ、凄い試練を受ける義務があるのだからさ」
そう言いながら、名前を書き足すラファエル。それを見てアバユリは「おいおいおい……」と止めさせる。
「その女はあまりにも危ないんじゃないか? いくら彼女自身にやる気がないとしても、あまりにも強すぎる力はそのうち彼女の周りを蝕むぞ? まぁ、敢えて止めはしないが、少なくともおすすめはしないぞ。ミラキジェスもそう言うに決まってる」
と力強く言うアバユリ。
そいつはそれだけやばい奴であり、アバユリも、そしてラファエルもそれを知っているのだ。
しかし、それでも――――――
「……うん。それでも会わないといけないんだ。
石動龍斗。彼には試練を与えよう。この試練を乗り越えるのが、そう彼にとっての宿命なのだよ。ドラゴンも助けた彼の事だ。きっと乗り越えられるさ」
そう言って言うラファエルの姿に、呆れ顔のアバユリ。
そして新たに1体の魔物の名前が記載され、【イナフィア】に贈られる事になった。
【マンティコア(優性種) クラス:S】