種族とスキル設定
僕達が連れて来られたのは、全体が赤い謎の空間だった。
「どこだ、ここは……?」
と、うちのクラスの委員長である小枝城が呟いていた。どうやらここには僕のクラスメイト達40名が連れて来られたみたいである。これから分かる所、どうやらクラスメイトと言う枠組みで分類されてしまっているみたいだ。クラスメイトの連中の顔が良く見える。
『皆さん、見えていますか?』
と、いきなり赤い空間の真ん中に黒いモニターが現れて、モニターにあの般若面を被った女性、月裏イヴァリストの姿が映し出されていた。
『まず、皆さんをクラスと言う枠組みで分類しておきました。今からあなた達には種族とスキルを決めて貰います。あなた方には1人に付き1000ptを分類しておきましたので、あなた方が欲しい種族とスキルを決めてください。なお、上手く組み合わせて異世界での姿を作ってください。
選ぶ方法は今、あなた達が手に持っているケータイから入力して決めてください。それでは、スタート』
そう言って、イヴァリストさんの姿はモニターから消えた。それからあちこちでがやがやと騒ぎ声が聞こえ始めた。多分、もう吹っ切れたのだろう。どうせ元の世界には戻れないのだからこうなったら出来る限り良い条件で転生しようと。
そしてうちのクラスでは大きな2つのグループが出来始めていた。小枝城をリーダーとした皆で良いスキルを手に入れようとするグループと、うちのクラスのそう言った異世界転生物の事情に詳しいヲタク達を中心としたグループ。前者のグループはどうすれば良い物になるかを皆で考えると言う目的で動いており、主にハブにされるのを嫌う男子や小枝の取り巻きの女子達が多い。後者はどうすればチート的な設定に出来るのか、そう言った事を色々と専門用語などを交えて話しており、主に努力する事を嫌う奴やそう言った事を考えるのが好きな連中が集まっている。
「…………」
僕はそれを見て、はぁーと溜め息を吐いていた。あんな事をしたって良い結果になるとは思わない。『三人寄れば文殊の知恵』とは言うけれども、こう言った場所ではそう言った行為は意味をなさない。1人1人得意分野ややりたい事と言うのは違っており、全員が納得出来る答えが見つかるとは思っていない。と言う訳で、僕は1人で決める事にした。
幸いな事と言うか、イヴァリストさんは時間制限を設けていないので有意義に選べそうだ。
「まずは……選択だな」
これはケータイから選ぶ事では無い。どう言う道を進むかと言う個人的な話。
『パワータイプ』とか『テクニックタイプ』とか、分かりやすい言葉で言うとそう言う事。残念ながら僕は、荒事に向いていない。
「と言う事は、他の人達を強くする能力とかを重点的に選んで行くか」
と、僕はそう思い、まずは種族の欄を見る。
『人間;0pt
→全ての原点。秀でている所も無ければ、劣っている所も無い。世界で一番多い種族です。
獣人;20pt~100pt
→獣の力をその身に秘めた種族。全体的に攻撃力などの戦闘能力が高くなります。選ぶ獣によってポイントに差が出て来ます。
魚人;50~100pt
→魚の力をその身に秘めた種族。水中での攻撃はお任せ。選ぶ魚によってポイントに差が出て来ます。
エルフ;100pt
→森の民。森と生きる事を生業とし、魔法が秀で、長命と美形になります。ただし残念ながら身長が低くなる事もしばしば……。
精霊;20pt
→可愛らしい精霊。魔法に長け、空も自由に飛べます。けど、レベルが上がらないと小さいまま……。
ゴースト;50pt
→幽霊族。物理攻撃が一切効かなくなり、壁を越えての移動もすいすい出来るようになります。ただし、聖属性の攻撃などで一瞬で死に至ります。
魔人;200pt
→魔族。大量の魔力を身体に宿して、身体能力と魔法能力をあげた種族。ただし、魔界以外の多くの街で迫害傾向にあり。
吸血鬼;150pt
→魔族の一種。他者の血を吸う事によって能力が上昇します。吸血衝動にはご注意を。
天使;1100pt
→神に仕える種族。聖属性や治療に優れており、白い翼が特徴です。
神;1200pt
→神様そのもの。1つの部分において全権を振るえる強大な存在。全ての能力が桁違いに強いです』
……天使や神と言った存在がポイント上出来ないのは、恐らく魔王になるからそう言った存在が魔王になるのは可笑しいからだろう。とりあえず、どんなスキルが必要になってくるか分からないので、0ptの人間にしておこう。最悪、僕は弱いままでも良いしな。
そしてスキルだが……これがまぁ、長いのなんの……。見て行くだけでかなり時間と労力がかかる。
「こうなれば、気に入ったのを選んで行くしかあるまい」
もし後で欲しいスキルを知ったからと言っても、その時は知らなかったのだと諦めるしかない。と言う訳で僕はスキルを選んで行く。まずは最低限必要となる物を取って行こう。そして数十分後、僕は必要となりそうな物を選び終わっていた。
『錬金術Lv.3;150pt
→錬金術を使えます。薬や道具の作り方の手順、要る物などが頭の中にすっと浮かんできます。
身体強化lv.2;50pt
→身体を強化するスキル。普通の一般的な種族の平均値よりかは強いです。
魔法の指輪;100pt
→魔法に関する知識を得ます。使えるかどうかはその人次第!
罠解除;30pt
→トラップを解体する技術を得ます。
罠検知;30pt
→トラップを見つけ出す技術を得ます』
……ここまでで360pt。残るポイントは640ptである。
「じゃあ、次からは個人的に気に言った物を選んで行こう」
もうこれくらいあれば良いだろう。そしてこれからは完全な趣味の時間である。
実は僕は正義や悪だなんてどうでも良いと思っている。正義や悪だと言う行いはその時の立場によって変わる物であり、他人にとやかく言われる筋合いは無い。だから僕は今回無理矢理おこった異世界転生について何の怒りも湧いていない。魔王に成れと言うのならば魔王になってやる、ただし自分の好き勝手にやらせては貰うけれども。そう言った気持ちだ。
だからこそ、こんな場面で趣味に走るなんて言う芸当が出来るんだなと、自分の事ながらそう思っていた。
さて、何を取ろうか? 僕は何か面白いスキルが無いかと探していく。そして次々に取って行った。
『捕獲;100pt
→魔物を倒した際、稀な確率でその魔物を捕獲する事が可能になります。魔物をトレジャーハントしましょう!
飴と鞭;50pt
→調教スキル。餌と調教用鞭を出す事が出来ます。使い勝手にはお気をつけあれ。
採集;50pt
→アイテムを採集する技能を上げます。さぁ、お前の採取したアイテムを数えろ!
アイテムボックス;40pt
→何でも入り、重さを感じないアイテムボックスを手に入れる事が出来ます。これであなたも冒険者!』
「これで残りが400pt……か」
意外と取った気がしたが、まだまだ取れるな。これだと。もっと良い物が無いかなーと思っていると、下の方に200ptの大物を見つけた。200pt、それはこのスキル達の中でも一番ポイントが高い部類らしい。と言う事は、それほどの大物ばかりが揃っていると言う事。
「丁度良い。400ptだから、200ptの物を2つを入れて置こう」
僕はそう思い、200ptの中から気になったスキルを手に入れる。
『過去からの継承;200pt
→詳細不明。ただし、かなり良いスキルである事は保証済みです。玄人さんは貰って行って!
救いの雨;200pt
→他者に自身の生命力をあげて、延命させるスキル。なお、使い方次第では生命力以外もあげる事も可能』
「こんな物……かな」
正直、『過去からの継承』は要らないかも知れないがなんとなく琴線を振るったので貰っておいた。そして『救いの雨』と言うのもなんとなく面白そうなので貰っておいた。さて、こんな物だろうなと僕の種族設定とスキル設定は終わったので、僕は次の指示を待った。
【レベル評価】
Lv.1;20pt→必要最低限レベル。あるだけマシ。
Lv.2;50pt→平均値レベル。種族ごとの平均なので差が出て来る。
Lv.3;150pt→中級レベル。幼い頃ならば神童と呼ばれても差し支えないほど凄いレベル。
Lv.4;200pt→上級レベル。神の生まれ変わりと称されても、可笑しくは無い。