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Road to Lord -魔王の道-  作者: アッキ@瓶の蓋。
第1章 魔王候補
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勇者ってこんな感じでしたっけ?

 魔王が率いる魔王軍と争っているのは、それは王道(テンプレ)的な展開で申し訳はないのだけれども人間が率いる人間軍と呼ぶべき奴らである。主な魔王城と戦う人間は3つの国に分けられている。



 武闘派の国王が治める剣を扱う騎士の国、キシレイド。

 高い知能を持つ帝王が治める魔法を扱う魔法使いの国、スフィア。

 求心力を持つ当主が治める機械を扱う機械国家、クシルド。



 そしてその3つの国は魔王軍を倒すためにとある存在を派遣していた。これもまた王道(テンプレ)的な展開だけれども、勇者である。



 勇者、圧倒的な能力を持つ存在であり、圧倒的な武器を持つ存在。



 拳や剣で攻撃する武闘派の勇者も居るが、魔法を使う知能派の勇者。それから鍛冶で支援するタイプのトリッキーな勇者など、勇者にもタイプ別に強さ別に色々とあるのだけれども、そんな勇者は主に2種類に分けられる。



 神殿に召喚された転生者がなる勇者、そう言った存在を一般的に『月の勇者』。そして元勇者が使っていた武器や神が作ったとされる武器などに選ばれた勇者、そう言った存在を一般的に『太陽の勇者』とされている。勇者にはそう言った『月の勇者』と『太陽の勇者』の2種類が居るとされている。

 そしてこの、リンテイ村に来たのはその後者、『太陽の勇者』である……らしい。"らしい"とは、どうも望遠鏡を通してみる限り、勇者らしくないんだよね。



 黒い大馬に乗った、背中に黒い槍を背負った金色の鎧を装備した30代の髭を生やした男性。そしてその後ろには大勢の男性が馬に乗って着いて行っている。そして大勢の男性達は、どうにもこうにも荒々(あらあら)しい雰囲気を纏っているどうにも賊っぽい連中である。



「……なんか、勇者と言うよりかは山賊連中と言うべき集団ですね」



 あれが勇者と言うよりかは、やっぱり賊集団だと考えるべきだと思いたいんだけれども。



「けれども……勇者……だと言ってますし」



「彼らのリンテイ村の村人であるゴブリン達を信じるとすればだけれども」



 まぁ、多分それで合っているだろうし問題は無いんですけれども。



「あ、あれは……『太陽の勇者』、《三日月槍》のキリュウです。私達魔物達を殺してはその金品を全て強奪、なおかつ私達の身体を換金所とやらに持ち込んで金をむしり取る極悪非道の悪党です」



 そう……なのかと思いつつ、彼らの方を見る。



「おい、野郎ども! もう少しでリンテイ村に着く! 村に着いたら奴らの身体を引き裂いて、村の物全部奪ってやろうぜ!」



『へい、おやびん!』



「全く、勇者さまさまってな! 堂々と窃盗行為が出来るなんて、勇者は最高だぜ! アハハハハハ!」



 ……うん、分かった。あいつら普通に悪党だわ。

 窃盗行為最高と言っているような奴らが、勇者として正しいとは思えない。あれならばまだ魔王の方がまともに思えてくる。いや、魔王って僕達だけれども。



(しかし、このままだと鉢合わせになってしまうな)



 こっそり逃げ出そうと思ったけれども、そうすると色々と後々面倒だ。帰って来る最中に、こいつらと鉢合わせになったら面倒臭い。

 今のうちに討伐、もしくは撤退させておくべきだろう。



「……よし、村の皆を集めてくれ」



「と申しますと……まさか魔王様として指揮を取ってくださるんですか!?」



 うるうると涙を流す伝令役のゴブリン。うわ、なんか可愛く思えて来たわ。



「まぁ、倒すとまでは行かないにしても、もう二度とこの村に来ないように追っ払うくらいは魔王としてやっておくべきだと思うしな。聖さんはどう思う?」



「へっ……? わ、私!?」



 いきなり話を振られて驚いた様子の聖さん。



「そうですな。そちらの魔王様にも聞かせて貰いたい」



 そう言って、またもや瞳をうるうるとさせるゴブリン。……だからやめろって、変な気持ちになってしまう。やだ、可愛い。このゴブリン。



「え、えっと……龍斗さんに……お任せします」



「では、龍斗魔王様と一緒にあの勇者共を二度と太陽の下を歩けないようにしてくださると言うのですね!?」



 そうそう……ってはい? 僕、そんな事一言たりとも言った覚えはないんですけれども!?



「良かったです。近隣住民から『あいつらを速やかに殺せ!』、『勇者抹殺!』、『勇者死ね』とか言われていますし。魔王様たるもの、勇者は倒さずにはいられないのでしょう! 分かります! 私達、リンテイ村の村人全員は今からあなたがたの指示の元、『太陽の勇者』、キリュウを撃退します!

 早速、村の者達に伝令を走らせますので、それでは!」



 そう言って、走って行ってしまった伝令役のゴブリン。

 あの様子だとすぐに仲間である村人を連れてここに戻って来る事になるだろう。厄介な……。



 僕としては彼らを少し撤退させるレベルで考えていたと言うのに、いまさら言い出せない雰囲気を出してくれたせいで本当に撃退しなければならなくなったぞ。



 こちらの戦力は、僕とサファイア、聖さん。そしてリンテイ村のゴブリン数十体。対するあちらは『太陽の勇者』キリュウとその部下、20数名。

 圧倒的に戦力的にこちらは不利である。



 どうやって倒すか。何か策を考えないといけないな。



 と言うか、



「どうして倒す方向に持って行くかな」



「魔物とはそう言う物です」



 サファイアの慰めが妙に心地よかった。

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