街中の村
1週間に1話投稿できれば良いかなって最近思っています。
そのまま僕とサファイア、それから夕張聖の3人はコテイ村に向かっていたが、その途中にある村、略奪の村ことリンテイ村に居た。なんと言う事はない、僕が走りつかれたと言うだけの話である。
サファイアは魔物であるからと言う理由もあるが、聖さんの異常なる体力があると言うのも意外だった。多分、エルフと言う種族であるために森での行動に慣れていたりしたり、スキルのおかげで上がっていたりするのだろう。僕はと言うと、ただの人間だし、そう言ったスキルを持っていていないから2人に遅れていた。何気に女性の2人よりも体力がないと言う事に何気なく敗北感……いや、そう言った事は気にしなくても良いだろう。体力がないと言う事は初めから分かっていた事ですし、そんなに落ち込む事じゃあ……。
「はぁ……やっぱりそう言った事が出来るような物を作って行った方が良いんだろうか?」
「龍斗様、さっきからそればっかりですよ」
と、ベッドに横になりながら愚痴を言う僕に対してそうツッコミを入れるサファイア。お前は足を馬車を引くほどの力はあるけれども足が速い魔物、ケンタウロスのような馬の4本足に変えて楽そうにやっていたから良かったけれども、僕は無駄に足を酷使しすぎて疲れているんだ。ただでさえ、体力が劣っているのは自覚していると言うのに。
「ま、まぁ……人には何事も得手不得手がありますし、石動さんは別の所で、が、頑張れば良いと思い……ます」
聖さん。慰めてくれるのはありがたいんだけれども、会話の最期を今にも消えそうな声で話されると逆に自信を失うから、もっとちゃんとはっきりと話して欲しい。
ちなみにリンテイ村について少し話しておこう。
リンテイ村はゴブリンやオーガなどの魔物達が作った"偽りの村"である。20年ほど前、この村には少なからず人間が居て日々細々と暮らしていたが、ゴブリン達やオーガ達が力に物を言わせて占領、そして人間のような姿に化けて村に来た旅人から賃金や荷物などを奪って生計を立てている、そう言った村である。僕達も知らなかったら、恐らく身ぐるみを剥がされてしまっていただろう。予め魔王城の本棚でこのリンテイ村について調べて置いたのが功を奏していた。
あっさりと僕達が魔王城に召喚された魔王候補である事を言うといきなり正体をばらして、平伏して来たし。言わなかったら人間だと思われてどのような事になっていたか……。なまじ、サファイアが魔物と言うよりかは人間に近いと言う事も理由の1つだけれども。
「ごめんよ……じゃあ、明日からはこの村で馬車を調達して、馬に似たような魔物を借りてそれに乗って移動しよう。今のままじゃあいつまで経っても目的地であるコテイ村に着かない」
本当は馬系の魔物を僕が捕獲出来れば良いんだけれども、残念ながらこの村の近くには馬車を引くのに相応しい魔物は居ないらしい。馬車を引くほどの力はあるけれども足が速い魔物とか、足は速いけれども力が弱くて馬車が引けない魔物とかしか多いらしい。
力は強くて足が速い、そう言った魔物を探しているんだけれども、居るには居るらしいけれども僕が捕獲出来るほどの魔物ではないらしい。上級の魔物で、僕が契約出来るのか分からない。そう言った物らしい。
「まぁ、馬なら返せるし、それで良いだろう」
「なんなら、私が変身して引くと言う手もありますよ?」
いや、実際に出来そうだとしても流石にサファイアにそう言った事をさせられないし。
「まぁ、明日も頑張るしかないよ」
「……そ、そうですね。が、頑張るしかありませんね」
そう言う聖さん。まぁ、そうだよねと答える僕。明日はもうちょっと進もうと思う僕。
今日はゆっくり休もうと思っていると、そこに1人の村人、ゴブリンが入って来た。
「た、大変です! 魔王候補様!」
なにやら随分と慌てているようだが、一体どうしたと言うのだろう。
「何かあったのか? とりあえず落ち着いて分かりやすく話せ」
僕がそう言うと、報告に来たゴブリンは「は、はひ!」と言いながらスーハ―と深呼吸して気持ちを落ち着かせて報告をする。
「この村に、ゆ、ゆ、勇者が攻めに来ます!」