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第07話『うわさのチップ』注:掲示板描写あり

 地球の未知なる力──ガイアパワーを纏っているノーフェッドの姿は、利用者の心を表現している。これまでのノーフェッドの特徴は、ダガーは周りの冷たい視線への憤怒、バッファローは会社への裏切り、ハンターは思いこみによる嫉妬である。

 つまり、負の感情など邪心を持っている人間ほど、人間からかけ離れた異形の怪物になりやすい。進也の敵である3幹部『トライ・ディザスター』や首領『セメタリー・ノーフェッド』も同様である。

 しかし、例外として藍色の怪物キー・ノーフェッドは進也の変化した姿であるフュージョナーに近い存在だ。何故、負の感情ではないにも関わらず、奏時市市民にチップを渡す彼女──鍵条姫乃は、今日も何処かで暗躍する……。





「おはようございます、上野くん♪」


「お、おはよう〜〜松下さん……ふわぁぁぁ〜〜」


 優雅なる時を奏でる都市、奏時市西区にある古風な小さいアパート風花荘は、今日も包丁の優しい音が聞こえる朝から始まる。

 東区の双子山から朝日が照らされる上野家が住む101号室では、隣の102号室に住んでいるはずの里美が、調理場に立って包丁やフライパンを持って朝食を用意している。

 すっかり、この光景に慣れてしまった水色のパジャマ姿を着ている寝起きの進也は、ゆらゆらと左右に揺れて歩きながら里美に朝の挨拶をした。少し寝ぼけているのか、欠伸をしながら右手にある長い抱き枕を引きずっている。


「おはよう、進也。とりあえず、抱き枕を離そうな」


「おはようじゃ、進也くん。朝は弱いようじゃのぅ」


「おはよう……ございます、親父、大家さん……」


 進也が起きてきたのに対して、朝の挨拶をするのは里美だけではない。いつものように車椅子に乗っている秀樹はコーヒーカップを、徹子は緑茶のコップをそれぞれ長方形テーブルの上に置いているなか、寝ぼけた進也に優しく注意する。

 里美と同じように、父親と大家にも朝の挨拶を終える進也だが、1年前の出来事『ロストタイム』以来、余程のことが無い限り、抱き枕を使用しないと眠ることが不安になっているのだ。


「おう!! おはようさん、進也!!」


「おはよ、進也。かわいいパジャマじゃない、似合っているわ」


「ふぁぁ〜〜……えっ!? ぎ、銀川さん、赤松さん!?」


 しかし、朝の挨拶は終えることは出来なかった。何故なら、ここには居ないはずの鉄郎と紗季が居たのだ。鉄郎は白米が山盛りにある茶碗を持っており、紗季は引き締まった身体のスタイル維持のためにカロリーが少なく尚且つお腹に溜まる朝食をしている。

 目の前の光景に驚いて目をごしごしと擦っている進也は、里美たちが初めて朝に居た時と同じようなリアクションをしている。ちなみに秀樹と徹子は当たり前かのように馴染んでおり、こちらも前と同じだ。


「飯はみんなで食べたほうが美味しいもんな!!」


「筋肉バカにしては、良いこと言うじゃない」


「松下さんたちに続いて増えちゃった!!」


 がつがつと白米を食べる鉄郎は喜んでおり、それを聞いた紗季は珍しく鉄郎を褒めている。ようやく鉄郎と紗季がいることに慣れた進也は、次々と賑やかになる朝食に戸惑っている。母親の早苗と家族3人で暮らしていた時以上に賑やかである。


「むむ、いくら少し広い部屋を貸してもらったとはいえ、これだけの人数だと流石に狭くなってきたな」


「ほっほっほ、そうじゃのぅ。ちょっと何か解決法を考えておくかのぅ」


 車椅子の秀樹は熱いコーヒーを飲みながら現在の状況を考える。鉄郎と紗季が追加されたことで、この101号室は窮屈になりつつあり、このままでは車椅子の移動などが困難である。

 そこまで考えてからコーヒーを飲み終えて置く。ちなみに秀樹のコーヒーは、豆から作るほどのこだわりを持っている。

 秀樹の話を聞いていた徹子も、その考えには賛成である。進也が引っ越してきた以来、里美の笑顔が増えたのを鉄郎と紗季に話したことが、ここまで賑やかになるとは思っておらず、良い意味で難しい問題である。


「まさか、青山さんも……?」


「健太なら居ないぞ。アイツは基本的に引きこもっているからな」


「パソコンばっかり見て、何が楽しいか理解出来ないわ」


 一方、寝ぼけを覚ますために顔を洗ってきた進也は、前回ノーフェッドの正体を探る協力してくれた健太も居るのではないかと思って周りを確認している。

 しかし、山盛りにあった白米を食べ終えた鉄郎が健太は此処に居らず、自分の部屋に居ることを告げる。

 基本的に健太は、パソコンを見ていることが1日の大半であり、それは仕事でもあるので独りになるのだ。しかし、人前の仕事をこなす紗季には分からない世界であった。


「青山さん、食事は大丈夫かな……?」


「その辺はワシがきっちり見ておるから大丈夫じゃ」


「上野くーん、朝ごはん出来ましたよ」


「ありがとう、松下さん。いただきます!!」


 進也は引きこもる健太の身体を心配する。何故なら、自分自身も里美によって栄養バランスを改善されて身体の調子が良くなってきているからだ。そんな進也の様子を見た徹子は、今まで風花荘の住人たちを管理している立場なので、健太については大丈夫だと説明する。

 そんな中、調理を終えて桃色のエプロンを外した里美が、満面の笑みを浮かべて進也用に作った朝御飯を、お盆に載せて持ってきた。進也はお礼を言いながら里美から受け取り、ちゃんとテーブルに並べて里美お手製ベーコンエッグを食べるのであった。





奏時市

管理者:ブルーマウンテン


最近うわさの白い戦士や怪物について



2013/06/22 07:20

001.ブルーマウンテン


白い戦士や怪物について、知っていることがあれば教えてほしい



2013/06/22 07:24:06

002.よーぐ


奏時市も住みにくくなったな(・へ・)



2013/06/22 07:27:23

003.最強の中の最強


ついに人間を捨てる時が来た!!



2013/06/22 07:31:02

004.ROCKET


ぶっ。捨てるなよ(笑)



2013/06/22 07:39:33

005.193は315


白い☆戦士は☆正義の味方



2013/06/22 07:45:15

006.最強の中の最強


そいつ、中身はオッサンだろうなww



2013/06/22 07:52:03

007.よーぐ


イケメンはテレビ限定(ヾノ・∀・`)ナイナイ



2013/06/22 07:56:19

008.最強の中の最強


夢が無いねーーww



2013/06/22 08:08:30

009.両生類


おはよう。奏時高校の学生ですが見たっス



2013/06/22 08:11:01

010.ROCKET


kwsk



2013/06/22 08:18:06

011.最強の中の最強


どんなの、どんなの?



2013/06/22 08:22:17

012.両生類


白い身体、それから黒いマントを着けていたっス



2013/06/22 08:23:55

013.最強の中の最強


だいたいマント着ているのは敵www



2013/06/22 08:25:02

014.よーぐ


しかもラスボスヽ(゜皿゜)ヽガオー!!



2013/06/22 08:25:59

015.ROCKET


 あるあるネタww





「ごちそうさま」


「お粗末さまです」


「里美ちゃん、ますます腕を上げたわね」


 朝御飯を食べ終えた進也は、両手を合わせて頭を下げる。同じく食べ終えた里美は、鉄郎たちの茶碗やコップを食器洗い機に置いていた。最後に食べ終えた紗季は、里美の手料理が上達していることを自分のことのように喜ぶ。


「はい。皆さんが美味しいと言って下さるので、つい夢中になります」


「そこは皆さんじゃなくて、進也じゃないの?」


「はわっ!? そそそ、そんな……こと……」


 奏時高校へ登校する準備をするために、里美はテキパキと動きながら、紗季の言葉を聞く。この頃は風花荘の皆がより笑顔で賑やかなので、料理にも力が入ると思っている。

 しかし、紗季は里美の料理だけではない変化にも気づいていた。目の前にいる進也が引っ越して来て以来、里美の笑顔が増えていることもだ。その辺りを突いてみると、里美は簡単に動揺した。


「ほら、進也からも言ってやって」


「えぇっ!? あっ、その……、いつも……美味しいです。ありがとうございます、松下さん……」


「上野くん……」


 進也は朝のテレビニュースを見ていたところ、紗季に里美の料理について言われて、同じように動揺する。しかし、きちんと伝えたい気持ちを話すことを決めて、真っ赤になりながらも思っていることを伝えた。進也の暖かい言葉を貰った里美は、胸がキュンと感じて心音が増える。お互いに周りが見えなくなり始めて、進也と里美は眼と眼を見つめあう。


「うおっ、急にコーヒーが甘くなっちまった!?」


「ぐふっ……に、苦瓜は何処だーーーーーっ!!」


「うんうん、2人とも素直で良いわね。イチャイチャ、ごちそうさま」


「ほっほっほ、ひ孫を見れるのも近そうじゃ」


 その瞬間、風花荘101号室は癒しのふわふわした甘い世界になった。

 車椅子の秀樹は飲んでいたコーヒーが甘くなったことに驚き、恋愛とは程遠い鉄郎は甘い空気に耐えきれなくなり、苦い食べ物である苦瓜いわゆるゴーヤを探そうとしている。

 煽っていた紗季は日頃の疲れが癒されて、徹子は将来を楽しみが増えた。どうやら、甘い空間は男女では感じとるのが違っていた。


「「はわっ……」」


 周りの声が聞こえてきた進也と里美は、何とか2人だけの世界から戻ってきた。周りの状況を見てお互いの思考を理解した瞬間、ポンッと完熟トマトのように真っ赤になった。こうして、どたばたな風花荘の朝食は終わりを告げるのであった。





 時同じく、奏時市北区に本社を置く巨大企業『ガイアチューンズ』。その高層ビルの上層フロアでは、1つのフロアを丸々使って大規模な実験室が設けられていた。壁に取り付けられたテレビ画面にはチップが映っており、GSチップに関する場所であることが分かる。

 そんな実験室の片隅で机に突っ伏して、両腕をバタバタさせている少女──矢雷雅は不満気に声を上げた。


「つ〜か〜れ〜たー!! もぅ働きたくなーい!!」


「ふ〜ん、そんなこと言っていいのかなぁ……」


 すると、室内にいつの間にかメイド服姿の銀髪の少女──鍵条姫乃が現れた。いつも持っている鍵型の銃は、小型にして服のポケットに直している。


「あ、姫のんだ。だ〜って今日は十分働いたもーん……だからもう寝る」


「また人を変なアダ名で呼ぶんだから」


 雅は今日は15分間働いており、いつもに比べたら頑張ったほうである。そう言いながら姫乃は、星のマークの入ったケーキの箱を取り出す。

 ちなみに、雅は基本的に姫乃しか心を開いていない。この会社の社長である統王正延は何を考えているか分からないし、他の幹部たちは男臭いのが苦手であるのだ。


「そ、その箱はもしかして?」


「そう『スターライト』のフルーツタルトだよ♪」


 寝転びながら姫乃が取り出した箱を見た雅は、ガバッと起き上がって目を輝かせる。最近、雑誌などにも取り上げられ、南区の洋菓子店クイーンにも劣らないと、一躍有名になっている中央区にある話題のスィーツ店『スターライト』。その中でも看板商品が新鮮なフルーツをふんだんに使った絶品のフルーツタルトなのだ。

 姫乃はその箱を雅に見せつけるように軽く上に上げてみせる。


「いや〜、さすが姫のん!! 気が利いているねぇ。ちょうど甘い物が食べたいと思ってたんだ♪」


「や〜、ボクもね? 忙しい中、頑張って新しいチップを開発してるライトニングくんと一緒に食べようと思って買って来たんだけど……なんか暇そうだね? このまま帰っちゃおーかな?」


「いやいやいや……頑張ってる!! 頑張ってますよっ……ほら、新しいチップもあるし!!」


 雅はまるで餌を貰えることが嬉しい子犬のように、甘いフルーツタルトの箱に向かって、よたよたと歩いてくる。しかし、雅が働いていない様子を見ていた姫乃は笑顔のまま、いじわるそうに甘いフルーツタルトの箱を後ろに隠した。

 貰えないと焦った雅は、ちょっと待ってと言わんばかりに白衣のポケットから1枚のGSチップを取り出す。


「それは?」


「さっき出来たばっかりのチップ!! なかなか良い出来だと思うよ!! だから、お願いっ…!!」


 それは『w』の文字の書かれた新しいチップだった。雅は働いた証拠だと迫っていき、うるうると涙目になりながら褒めてと子犬のように姫乃を上目遣いで見つめている。


「すごいすごい。うむ、頑張ったライトニングくんには、ご褒美をあげよう」


「ありがとうー、姫のん!! ん〜やっぱり『スターライト』のフルーツタルトは最高だね♪」


 雅の上目遣いに負けた姫乃は、甘いフルーツタルトの箱を渡した。箱から開けた中身は色とりどりのフルーツタルトが詰まっている。さっそく手に取り、白桃のタルトを口いっぱいに頬張りながら、雅は嬉しそうに頬を緩める。


「こっちの苺のも美味しいよ♪ 一口食べる?」


「あ、食べたい!! 食べさせて♪」


「しょうがないなーーー。はい、あ〜ん」


 微笑ましい雅の様子に、姫乃は口にしていた苺のタルトを分け与えようとする。その提案に無邪気に喜ぶ雅はそう言うと、あ〜んと大きく口を開ける。甘えん坊な雅に、姫乃はフォークで一口サイズに斬って刺し、雅の口に渡そうとする。

 すると、そのタイミングで突然、実験室の扉が開かれた。


「こんな所で君達は一体何をやっているんだ」


 実験室の扉を開け、黒いスーツを一部の隙もなくきっちりと着こなした長身の青年──土門恭介(どもん きょうすけ)は、雅と姫乃の様子を見て理解してしまった後、ため息混じりにそう言った。雅と同じ幹部トライ・ディザスターである。


「げ!! 土門……何の用だよぉ」


「あ、グランドくん。キミも食べる?」


「いや、結構……それよりも矢雷……そろそろ新しいGSチップが完成しているはずだ。渡したまえ!!」


「え〜? なんでアンタに渡さなきゃいけないんだよー」


「哀しいな……本来なら次に戦うはずだった君の代わりに私が戦おうと言うのに、なんの支援も無しとは」


 雅は恭介の姿を見て、げんなりとする。せっかく食べようとしていた苺のタルトも、甘い雰囲気が変わってしまい、美味しそうに見えなくなってしまった。

 しょんぼりと顔をうつ向いている雅をよそに、姫乃は余っているタルトを分けようとするが、スィーツに興味の無い恭介は断る。そして、ガイアパワー担当の雅に新しいチップを要求する。

 面倒くさそうな雅に対して、恭介は大袈裟な身ぶりで頭を抱えてみせる。


「あ〜もぅ、わかったよ!! 面倒くさいなぁ!!」


 くだらない演技を見せつけられた雅は、さも面倒そうにテーブルに置いてあった『w』と書かれたチップを指でつまみ上げ、恭介に投げ飛ばす。


「これは?」


「GSチップ『ワイバーン』。エターナルに奪われた『フェニックス』と同じく意思を持ったチップだよ!! 上手く使えれば、かなりの戦力になる!!」


「ほう……」


 かつて、1年前の出来事ロストタイムで、進也の父親である秀樹によって幾つかのチップを奪われたのだ。その1つであるフェニックスと同様のタイプである意思を持っているチップ、それがワイバーンである。

 それを受け取った恭介は最早、ここには用はないとばかりに足早に去ってゆく。


「なんだよアイツ!! せっかくの姫のんとの楽しい一時を邪魔しやがって〜!!」


「まぁまぁ、落ち着きなよ……ボクが美味しい紅茶を淹れてあげるから」


「え? 本当に? あたし姫のんの淹れてくれる紅茶大好きー♪」


「もぅ、現金だなぁ……今準備して来るから、ちょっと待っててね」


 実験室の扉が閉まって恭介が居なくなった瞬間、ムカムカを我慢していた雅は怒り出した。同じ幹部だが、社長を敬愛する恭介は上から目線のため嫌いである。

 姫乃は雅を落ち着かせるために自身の特技である紅茶を提案した。すると、雅は怒った表情から一変、すっかり笑顔になった。姫乃の紅茶は、市販より格段に美味しくて大好きである。

 苦笑しながら姫乃は、メイド服姿のまま紅茶を淹れる準備を始める。その後ろ姿を椅子に寄りかかりながら眺めつつ、雅はボソリと呟く。


「姫のんは俺の嫁!!」


 実験室の中心で、深夜アニメで得た意味不明な知識を叫ぶ雅であった。





「上野くん、何をしているのですか?」


「今からキューを治してあげるところだよ。この前、フレイム・ノーフェッドから守ってくれたからお礼も言わないとね」


「わたしもキューちゃんにお礼が言いたいです!!」


 風花荘101号室に集まっていた住人たちが、それぞれの部屋に解散した朝食後、里美は居間でチップを右手に持って、眼を閉じている進也に話しかける。

 話しかけられた進也は眼を開けて、里美にフェニックスのキューを治すことを説明する。敵幹部トライ・ディザスターの1人、フレイム・ノーフェッドの必殺技から進也と里美を守って以来、キューはチップのままであった。

 進也の言う通り、里美もお礼が言いたかった。


「よし行くよ、はぁぁっ!!」


『フェニックス チェックイン』


「…………、…………、………、キュイ〜〜」


 進也の右手に握りしめていたチップが、赤い光を灯しながら輝いていく。これは地球の力──ガイアパワーに進也の感情を送りこむことでチップを治療する現象であり、異形の怪物ノーフェッドが感情を爆発して自身を強化する現象と同じである。

 エクストラチップ『P』にガイアパワーを補給してから、GFウォッチに読み込ませる。不死鳥の姿に戻ったキューは、床に現れてゆっくりと金色の眼を開けて可愛い鳴き声を出した。


「キューちゃん!! 元気になって良かったです」


「キュイ〜?」


「キュー、この前はおれたちを守ってくれて、ありがとう」


「ありがとうございます、キューちゃん」


「キュイ!!」


 里美はキューが目を覚ましたことを喜んで、ゆっくり持ち上げてギュッと豊かな膨らみの中に抱きしめる。抱かれたキューは、状況を理解していないのか戸惑っていたが、進也の説明でノーフェッドとの戦いを思い出して納得する。そして、2人にお礼を言われて再び可愛い鳴き声を響かせるのであった。


「あっ。松下さん、そろそろ学校に行く時間だよ!!」


「そうでした。上野くん、いってきます!!」


「いってらっしゃい、松下さん」


 ふと置き時計を見た進也は、里美の登校時間に気付いた。ブレザー服を着ている里美は、ちょっと慌てた様子だったが、遅刻しない時間帯だったので落ち着く。

 風花荘の玄関で進也は、笑顔で里美を見送る。朝の賑やかな風景は慣れていないが、このやり取りだけは自然と馴染んでおり、里美もまた、進也に見送られることを嬉しく思った。





「里美ちゃん、おはよう!!」


「おはようございます、理名ちゃん」


 今日も奏時市の学生たちが集う奏時高校3年3組。その中で、いつものように里美と理名が互いに挨拶する。元気いっぱいの理名と穏やかな里美は、3年3組が誇るベストコンビである。


「先週の『ウィンド オブ フェスティバル』楽しかったね!!」


「はい、赤松さんがとっても綺麗でした」


「うんうん。まさか、ウェディングドレスとは驚いたもんね。里美ちゃんも着てみたかったでしょう?」


「はわっ!? あの……その……」


 理名は、里美と一緒に行った女性雑誌ウィンドのモデル大会を振り返っていた。特に印象に残っていたのは、2人を誘ってくれた紗季のウェディングドレス姿であり、薄茶色の怪物ハンター・ノーフェッドとの戦いで、その場に居なくて後から見た里美も同様である。

 目の前にいるの親友の夢であるウェディングドレスを着ることを知っている理名は、こっそり聞いてみた。里美はその時を思い出してしまい、どもりながら顔が真っ赤になる。


「どうしたの?」


「実は……ちょっとだけ、着せて……もらいました……」


「本当に!? おめでとう、中学からの夢が叶ったね!!」


「はい……っ!!」


 いつも穏やかな親友が、珍しく恥ずかしがる姿になる疑問を感じる理名。この前、里美はノーフェッドを見つけるための作戦でウェディングドレスを着させてもらったのだ。その経緯は、ノーフェッド関係であるために詳しく話さなかったが、理名は自分のように喜んで里美も笑顔になった。


「さっ、そろそろホームルームが始まるわ。…………里美ちゃん、後で詳しく聞かせてね……特に新郎♪」


「……っ!? はぅ……」


 授業が始まるチャイムが鳴り、学生たちが席に座り始めるなか、理名はこっそりと一番聞きたいことを小声で話しかける。最初、里美が夢の話で動揺していたのは、男以外あり得ない。ウェディングドレスを着るのは新婦なら、隣に新郎役が一緒に居たと考えられる。

 理名は里美に関しては鋭く、伊達に何年間も親友であるからであり、何故バレたのか分からない里美は、顔を真っ赤に染めるのであった。


「起立、礼!!」


「「「「おはようございます!!」」」」


「おはよう。今日は田山先生に変わって、臨時の教師を君たちのクラスに入ることになった」


 委員長である理名の挨拶によって、3年3組のホームルームが開始される。

 壇上にいるのは、かつて奏時高校の学生の天野が変化した灰色の怪物ダガー・ノーフェッドによって怪我した田山先生が入院して以来、時間に余裕のある大和先生が交代で3年3組を受け持っていた。

 その大和先生から新しい担任が加わることを発表される。


「誰かな?」


「優しい先生、希望!!」


「宿題を出さない担任、プリーズ!!」


「女教師、来い来いーーー来い来い来い〜〜!!」


「それでは先生、入ってきてください」


 賑やかで無茶苦茶な男子生徒たちが話し合うなか、大和先生に紹介されて、先生が入ってくる。扉が開かれその先生を見て、静かになった生徒たちに、先生は向き合う。


「はじめまして、伊吹健です。田山先生に代わりますが、よろしくお願いします」


「イケメン!!」


「田山先生と違って、若い!!」


「ちぇ〜〜、男かよ〜〜」


「神は残酷だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 伊吹健(いぶき たける)は黒板の前に立って話し始める。黒髪を無造作に流した凛々しく太めの眉が特徴的な整った顔立ちに、女子生徒たちは天国に昇るみたいに喜び、男子生徒たちは地獄に落ちたように落胆する。


「う〜ん、どこかで見たような気がするわ。あーー、何だっけ?」


「わたしもです」


 一方、仲良しコンビである理名と里美は、健を見ていて何かが頭の中で引っかかっていた。特に理名はギリギリ思い出せそうで唸っている。そんな中、大和先生から意見が出る。


「今から伊吹先生への質問の時間を設ける。何かあれば手を挙げるように」


「はい!! 先生ーー、彼女いますか?」


「杉山、伊吹先生は既婚者だ」


「ええ、この前に赤ん坊も授かりました」


「そんなーーーーーー!!」


「ドンマイ」


 ハキハキと質問した女子生徒は、大和先生と健の返答によって、先ほどの男子生徒たちのように机に向かって倒れ、隣にいる女子生徒が慰めていた。


「伊吹……伊吹……あっ、思い出したわ!! あの人、あたしたちが見た結婚式の!!」


「すごいです、理名ちゃん!! 伊吹さん懐かしいです!!」


 伊吹という名前を何度も小さく粒やいていた理名は、ついに思い出す。里美の夢であるウェディングドレスのきっかけである結婚式は、伊吹夫妻の結婚式であった。健は里美にとって、夢を与えてもらった恩人である。その人が担任になることに、不思議な縁を感じる里美と理名であった。





「すみませーん、赤松さん居ますか」


「どうしたの、進也?」


「ちょっと相談がありまして……今、良いですか?」


 風花荘では、進也が202号室の紗季の部屋を訪れていた。玄関の扉を開いた紗季は、進也の突然の訪問にも驚きはせずに対応している。そして、少し真っ赤な表情をしている進也の訪問理由に笑顔で招いた。


「もちろんよ。さあ、あがって」


「お邪魔します」


「で、相談は? この風花荘の姐さんに言ってごらんなさい」


「その……、いつも松下さんにお世話になっているので、何かお礼がしたいと思って……って、何で頭を撫でるのですか?」


「んー、何となく」


 さっそく紗季は進也を居間に案内する。モデル用の洋服や雑誌が散らかってはいるが、隅にあるので問題は無い。何故か恥ずかしがる進也を座らせた紗季は、大げさに振る舞って相談に応じることにした。

 真っ赤になりながら話す進也の相談内容は、里美へのお礼である。進也はこのような女性へのお礼をしたことがなくて困っており、この前のような八つ当たりの件では、里美の好きな食べ物で解決したが、流石に同じではいけないのではと考えた。そこで、里美と親しい女性の紗季に相談したのだが、何故か頭を撫でられている。

 その理由は、進也の里美への想いに胸キュンとした紗季の秘密である。


「話は分かったわ。それなら、私がいつも里美ちゃんにしてあげているグローミングを教えてあげる」


「グロー…………ミング?」


「くしを使って髪をとぐことよ。いわゆるブラッシングね」


 紗季は、置いてあるコーディネート用のマネキンを用意して、里美と同じストレートヘアのカツラを着させた。進也はグローミングという単語は分からなかったが、ブラッシングで分かった。

 いつも紗季がしている里美の黒髪の手入れを進也が行うのである。


「分かりました、がんばります!!」


「時間はたっぷりあるから丁寧に優しく練習するのよ」


「はいっ!!」


 紗季の指導を聞きながら、進也は里美に喜んでもらえるように、くしを構えて気合いを入れるのであった。





「姉貴〜〜〜っス」


「三郎」


「お久しぶりです、佐藤くん」


 少し青空から白い雲が増え始めた昼休み。3年3組の教室に短髪の男子生徒が入ってきた。その男子生徒は、理名のことを姉貴と呼びながら里美たちの元に歩いてくる。名前は佐藤三郎(さとう さぶろう)、理名の弟であり奏時高校2年生である。理名と里美は馴染みのある顔を見て迎え入れた。


「今日も面白いランキングを用意したっス!!」


「毎回、飽きないわね〜。まあ、いつも聞いているあたしらもそうだけど」


「佐藤くんのお話は楽しいですからね」


 三郎はメモ帳をいつも持参しており、面白いことやネタになることは、直ぐに書き取ることをしている。ちなみに巷で噂される怪物ノーフェッドのことだけは、里美から頼まれた理名が釘を刺しているので調べていないようだ。

 そんな情報について理名は何だかんだで待っており、里美も期待している。


「まずは、この3年3組での『彼女にしたいランキング』、トップは杉山さんっス。ちなみに、姉貴はランキングに入ってすらいないっスね」


「彼女は人気者だからね。それから三郎、余計なことは言わなくていいの」


「あた、痛いっス!!」


「それに、芸能事務所にスカウトされたことで有名です」


 三郎は空いている椅子を借りて、さっそくメモ帳を取り出して紹介する。今のブームは奏時高校生たちからアンケートをして、勝手にランキングを付けることだ。

 話題に上がったのは、先ほど健先生に質問した女子生徒である杉山。ツインテールの髪型に高校生離れした女性特有のふくよかな胸部を持っている。その大きさは里美が小さく見えてしまうぐらいであり、噂ではFカップを越えているらしいのだ。

 軽快に会話している三郎だが、余計な一言もあるらしくて理名に頭を叩かれている。いつもの光景なので、里美は微笑みながら話題に付いていく。


「でも、不思議なことに『嫁にしたいランキング』だと、トップは杉山さんじゃなく里美さんっス」


「へっ?」


「やっぱりね。里美ちゃんは癒し系で料理上手だもんね。…………それに大きいし、はぁ〜っ」


「理名ちゃん?」


 別のランキング情報に里美は驚いているが、理名には理解している。家庭的な雰囲気で、良妻賢母と噂されるほどの穏やかな親友は、はっきり言ってお嫁さんに迎えると、生活が小さくても幸せになれると同性でも分かってしまう。

 特に、ブレザーを中から押し上げる膨らみを見る。里美のは、杉山のように歩くだけでぷるぷると揺れるような大きさでは無いが、控えめな自身と比較してしまうと明らかに大きいので、思わずため息を吐いてしまう。

 そんな思考を知らない里美は、理名の視線に小首を傾げる。


「里美さんには、おいらの嫁さんになって欲しいっス」


「はわっ!?」


「冗談は止めなさい。里美ちゃんが義妹になるのは嬉しいけど、アンタは里美ちゃんとは似合わないわ」


「そんな〜〜、割りと本気だったっスよ……」


 幾つかのランキングの紹介を終えた三郎は、先ほどの『嫁にしたいランキング』の話題から、さらっとプロポーズを里美に話す。驚く里美をよそに理名は、意外と冷静であった。

 弟の幸せより親友の幸せを願う理名は、三郎が落ち込んでいることを気にしていない。ちょっとだけ、おかしな空気になってしまったが、昼休みが終わるのであった。





「あっ。雨だ」


「天気予報、外れたわね」


 奏時市中央区の時計塔に雲の影が映り、先ほどから天候の様子が不安定であった。パラパラと雨が降り始めるなか、進也は相変わらずブラッシングの練習をしている。

 紗季が、わざとグシャグシャにしたカツラを綺麗に上から下にくしを使って流していた。最初は髪が絡まるなど失敗していたが、苦戦しながらも少しずつ上達している。


「進也くんは居るかのぅ?」


「居ますよ、徹子おばあちゃん」


「何ですか、大家さん?」


「里美が傘を持っていなかったのじゃ。進也くん、届けに行ってくれないかのぅ」


 インターホンが鳴り、徹子が紗季の部屋に訪れてきた。玄関に紗季が迎えに行ったが、用があるのは進也のようで、ブラッシングの練習を終えて呼ばれた進也が奥から来る。

 徹子によると、傘を忘れた里美が降り始めた雨に濡れて帰ることが、とっても心配であるらしい。そろそろ授業が終わるので、体力のある若い進也なら間に合うと考えたようだ。


「分かりました。赤松さん、一旦ここまでにします。ありがとうございました」


「いいわよ、いつでも出来るからね。いってらっしゃい」


「進也くん、これを持っていくと良いのぅ。ほれ」


「はい!! 行ってきます」


 ブラッシングなど相談に乗ってくれた紗季にお礼を言った進也は、徹子から町内会で使用するカードを貰い、大きめの傘を2つ持って里美を迎えに行く。





「今日は、ここまで。皆、さようなら」


「「「さようなら!!」」」


 健先生の挨拶で授業が終わる3年3組。次々と帰宅し始める奏時高校生たち。


「はぁ〜、奏時市も梅雨入りだわ」


「傘、無いです……」


「濡れて帰るしかないねーー」


「とほほっス」


 放課後。久しぶりに三郎と一緒に下校することにしていたが、昼休みから怪しかった白い雲が雨雲に変化して、奏時市全体に雨を降らせていた。

 携帯の最新天気予報では、今の雨によって梅雨入り宣言が発表されるが、今の里美たちにとってはテンションが下がる情報である。すると、里美に聞き覚えがある男性の声がした。


「松下さん」


「えっ、上野くん!? どうしてここに?」


「雨が降ってきたから、傘を届けに来たよ」


 雨で困っている里美の目の前に、右手で水色の大きな傘を差している進也が居た。左手には桃色の傘を持っている。何故、ここに進也がいるのか少し混乱している里美に優しく説明する。


「あんた、部外者っスよね。部外者がどうやって入ったっスか?」


「大家さんの町内会カードを、知り合いの警備員の人に見せたら、快く入らせてもらったんだ」


「何そのフリーパス!?」


 突然、里美と親しく会話する進也に突っかかる三郎。進也は私服で勝手に校内に入っているため、三郎が警戒するのは当たり前である。そんな三郎の疑問に進也は、徹子が用意してくれた証明書を話すが、そんな物で警備を通り抜けたことに理名は驚く。


「それより誰っスか?」


「上野進也です。この春に引っ越してきました、よろしくお願いします」


「ふ〜〜〜ん」


「な、何ですか?」


 当たり前の質問をしてくる三郎に、進也は頭を下げて自己紹介をする。それを聞きながら、理名は進也をじろじろと上から下まで観察する。見られ続けることに困惑した進也は、里美の隣に移動した。

 理名は、進也と里美が並んだ瞬間、2人が癒し系コンビだと感じ取った。先ほどの三郎との組み合わせとは全く違っており、何より親友の笑顔が微笑ましい。里美1人だけでも充分な癒しだったが、進也が隣に加わることで癒しが増加した。もはや、雨で下がったテンションは上昇している。


「進也だっけ、これ借りるわ」


「あっ!?」


「相合い傘で帰ってね。バイバイ、里美ちゃん♪」


「「………………へっ?」」


「姉貴〜〜、置いていかないでっス!!」


 いきなり理名が進也の持っていた桃色の傘を奪った。進也が戸惑うなか、爆弾発言を落として雨の中を颯爽と駆けていく。ぽかーんとして相合い傘を理解した瞬間、進也と里美の顔が真っ赤に染まる。

 あまりの展開についていけない三郎が濡れて走って理名を追いかける。1つの傘があるなか、進也と里美は取り残されるのであった。





「え、ええっと……、松下さん……濡れたら駄目だから……、一緒に……行きますか?」


「は、はい……ありがとうございます……上野くん。お邪魔、します……」


 進也はいち早く元に戻ったものの、まだ恥ずかしさは残っている。しかし、女性の身体を冷やしてはいけないと、母親の早苗から言い聞かされていたので、どもりながらも傘の中に勧める。

 里美もまた同じように恥ずかしがっている。相合い傘は初めてで、異性の相手しかも気になっている男の子なので、真っ赤になるなと考えるほうが無理であった。それでも、進也の優しい気遣いに頷いて、ゆっくり傘の中に入った。


「松下さん、大丈夫?」


「はい。上野くんも濡れないでくださいね」


 進也と里美は、風花荘への帰り道を相合い傘で歩いている。奏時高校を出る時は、周りの生徒たちの様子が見れないまま、恥ずかしくなって傘で顔を隠して急いで出た。

 しかし、お互いを気遣う様子から、漫画のようなハートマークが浮かんでいるように見えてしまったと感じた生徒たちの思考を2人は知らない。


「ん、ここは……?」


「ここは銭湯です」


「こんなところに銭湯が……」


「ここは小さい時から来ていますよ。今度、機会があれば一緒に来ましょうね」


「うん!!」


 ふと、進也は帰り道で傘を差す男性が明かりのある建物から出ていくのを見た。頭から湯気が出ており、赤くて温かそうな身体をしていたからだ。里美はその建物を銭湯だと説明する。温かそうな雰囲気に2人は、自然と約束を取り付ける。ぴったりと肩を寄せ合いながら帰宅するのであった。





2013/06/22 19:03:00

555.193は315


そういえば、うわさの怪物になれる道具が通販であったな☆



2013/06/22 19:04:06

556.ROCKET


売ってんのかよw



2013/06/22 19:08:22

557.193は315


ここな☆

 ↓

ジャングル(Webサイト)



2013/06/22 19:10:13

558.最強の中の最強


見た、何だこりゃ?



2013/06/22 19:12:39

559.ブルーマウンテン


これはチップだな



2013/06/22 19:14:55

560.193は315


管理人さん、登場☆



2013/06/22 19:19:19

561.ROCKET


珍しいwww



2013/06/22 19:23:55

562.よーぐ


確かに電子機器に使用するね、普通よりデカイけど(≧Д≦';)



2013/06/22 19:31:09

563.ROCKET


意外と高値www



2013/06/22 19:33:55

564.最強の中の最強


2万買うヤツ、いるのかよ



2013/06/22 19:37:20

565.193は315


1つは売れてたな☆



2013/06/22 19:40:11

566.ROCKET


何か、嘘臭い感じがするなーー。馬鹿馬鹿しい、下りるわww



2013/06/22 19:41:03

567.よーぐ


所詮はうわさp(´⌒`q)



2013/06/22 19:43:32

568.最強の中の最強


白い戦士もwww



2013/06/22 19:47:00

569.ROCKET




2013/06/22 19:48:49

570.よーぐ


02(`∇´ゞ



2013/06/22 19:50:07

571.両生類


ちょっと待ってほしいっス、白い戦士を見たのは本当っスよ!!



2013/06/22 19:51:55

572.193は315


はいはい、おつ☆





「……もしもし」


『よー、オレだよ。オレ』


「……オレオレ詐欺なら間に合っている」


『冗談だって』


 梅雨入りが発表された翌日。相変わらず、雨は降り続けて奏時市はジメジメと湿っている。203号室の健太の部屋では株式市場のグラフを確認していると、蒼い携帯電話に着信が入る。

 その電話先の人間はオレオレと名乗っているが、呆れた健太は避けるように切ろうとする。そんな健太の様子に笑ってごまかそうとする声。


「……何の用だ、加藤」


『聞いちゃう? 実は、例の物が届いたよー』


「……分かった、すぐに取りに行く。会合場所は南区にある埠頭の第6倉庫。ブツはもう一度そこで確認する」


 加藤と呼ばれた電話先の人間は、健太の親しい知り合いである。主に株の情報交換や珍しい機械を取り寄せており、世間の動きに敏感な性格をしている。健太とは、あまり会うことは少なく声のみの会話が多い。

 加藤はチャラい声を出しながら、ようやく用件を話し出した。それは健太にとって一気に目を開く話題だったため、珍しく早口で返事をする。


『返事、はやっ!! 了解〜』


「……足はついていないだろうな」


『問題無しだぜ、相棒。よっぽどの追跡者じゃなきゃ捕まらねぇよーー、じゃあな』


 加藤が電話先でふざけた態度をしていると考える健太は、念のために他の人間が気付いていないかを確認する。今回の用件は、健太にとって大事なことである。

 健太の心配をよそに、余裕たっぷりな加藤はチャラい声のまま、健太との通話を終えるのであった。


「健太、昼飯が出来たぜぇぇぇぇぇぇーーーーっ!!」


「……すまん、ちょっと出かける予定だ。飯は後で食うと言っておいてくれ」


「お、おう………?」


 加藤との通話を終えた途端、突然玄関の扉が開かれた音がした。いつもの白いタンクトップを着た鉄郎が、どかどかと床に置いてある機械をトレーニング器具で鍛えた両腕で避けて、普通の人間ならば大声に近い地声で呼びに来た。それを予想していたために耳を塞いでいた健太は、鉄郎に伝言を残して風花荘の門に向かって行く。


「お昼ご飯、準備完了じゃ」


「それじゃあ、いただき」


「大変だぁぁぁぁ!! 健太が外に出かけるぜぇぇぇぇっ!!」


「……ます、って銀川さん?」


 すっかり上野家で食事をすることになった風花荘の住民たちは、徹子の号令の元、食べ始めようとする。

 101号室の住民である進也は、この状況に微妙な思いはあるものの、里美が作ってくれる美味しい卵料理の誘惑に負けており、抵抗せずに楽しみにしている。

 目の前にあるスクランブルエッグを食べようとした瞬間、鉄郎の大声が101号室に響いた。


「嘘!?」


「青山さんが、外に!!」


「驚きじゃのぅ」


 昔からの風花荘の住民である紗季と里美と徹子が驚くなか、引っ越してきたばかりの進也と秀樹は、どれだけ驚くことなのか分かっていない。


「すごいことなのか、松下ちゃん?」


「すごいことですよ!!」


「少ししたら出かけるらしいぜぇぇぇぇっ!!」


「珍しいのぅ、追ってみるのじゃ」


 健太の現状を知らない車椅子の秀樹は、調理を終えて食器を運んでいる里美に尋ねる。聞かれた里美は、珍しく興奮している。鉄郎が健太の外出予定を話すなか、気になる徹子は進也と里美に言うのであった。





「来たか、健太。例の物はバッチリだぜ」


「……あぁ、追跡は」


「おいおい〜、俺を誰だと思っている。この通り、問題ねえ……ぐっ!!」


「!?」


 奏時市南区第6倉庫、加藤と待ち合わせをしている健太は、周りに人間が居ないことを確認して倉庫に入って立ち止まる。海岸沿いにあるこの倉庫は物置として設置されているため、めったに人間が立ち入ることが無いのである。

 健太は倉庫の中心に立っている加藤を発見すると歩き出す。手提げバックを持っている加藤は、チャラけた雰囲気を醸し出しつつも警戒はしていたらしい。しかし、突如加藤の身体がぐらついた。


「……よ、と言い、たかった、が……に、逃げろ……っ!!」


「……加藤!!」


 加藤は、笑顔から苦悶に満ちた表情に変わり、歯をくいしばり痛みを無視して手提げバックを健太に向かって投げる。両膝をついた加藤の左脇腹から血が流れて地面に流れ落ちる。

 投げられた手提げバックを掴み、急いで健太は加藤の元に向かっていたが、加藤の後ろに人間ではない姿を見てしまい、急ブレーキをかける。


「これは、これは。最近、かぎまわっているのは2匹のネズミでしたか」


「……うわさの、ノーフェッドか……」


「ご名答。しかし、その名を認知しているとは……やれやれ、驚愕しましたよ」


 健太が入ってきた入り口とは正反対の場所から黄土色のノーフェッドが現れた。そのノーフェッドは左手首に腕時計を着けており、倒れている加藤を真ん中に健太とノーフェッドが向かい合う。

 黄土色のノーフェッドは、血を流して倒れている加藤をよそに手提げバックを持っている健太に話しかける。異形の存在が目の前にいるにも関わらず動じない健太が名前を知っていたことに、ノーフェッドはわざとらしく両手を挙げて困った仕草をする。





「ひゃあ……」


「松下さん、見ちゃ駄目だ……!!」


 健太の後を追いかけて、こっそり倉庫の入り口から双眼鏡で覗いていた進也と里美は、あまりの光景に目を疑った。

 特に里美は、加藤が血を流すのを見た瞬間後ろに倒れこんでしまい、気を失いかけたほどだ。最近のノーフェッドとの出来事は、優しい里美には刺激が強すぎる。

 進也もまた、まさかノーフェッドが現れるとは思っておらず、戸惑いを隠せていない。それでも、隣にいる里美を心配して残酷な現場を見せないようにする。


「あれはノーフェッドだ……しかも、腕時計が着いているから……幹部!!」


「上野くん……、無茶しないでください……」


「うん、ありがとう。それじゃあ行くよ、青山さんを助けなきゃ。松下さんはここに隠れていて!!」


 黄土色のノーフェッドを倉庫の入り口から双眼鏡で観察する進也は、左手首にGFウォッチを確認する。あの腕時計は一般ノーフェッドでない証明であり、漆黒の怪物が率いる組織と繋がっている幹部だと分かる。

 それを見ていた里美は身体が恐怖で震えながらも、これから闘いに行く進也を心配する。今にも壊れそうでも芯が強い里美に、進也は心配をかけないようにギュッと拳を握りしめ気合いを入れて、チップを取り出す。


『レディ?』


「認証、エターナル!!」


『エクストラ・チップ チェックイン』


「はああぁぁっ!!」


 進也は、GFウォッチにエクストラチップ『E』のエターナルチップを差し込む。白い鎧に黒いマントを纏い、両腕が赤く染まって黄色いゴーグルを装着した戦士エターナル・フュージョナーに変化する。





「あなた方は裏で動いていたようで、ただのネズミにしては非常に興味深い。目的は何ですか。もしや………………産業スパイか?」


「……ふん、誰が教えるか。人間を捨てた怪物が……」


「おやおや手厳しい、ノーフェッドは人類の進化でしょう。それを理解できないとは、悲しいな。やはり、始末しますか」


 進也がフュージョナーになって駆けつける少し前、時間は戻って健太とノーフェッドの会話があった。

 黄土色のノーフェッドは、サイのような大きな角のついた西洋鎧のような頭部に、右半身に大きな岩が寄り集まった姿が特徴的である。地球の未知なる力──ガイアパワーが宿るGSチップについて裏社会で調べていた健太たちに興味を示している。

 健太は黄土色のノーフェッドに全く怖じけずに、加藤から貰った手提げバックを握りしめ、目の前の怪物の存在を否定する。裏社会で調査した情報が正しければ、ノーフェッドという存在は想定以上の怪物であると推測していた。

 黄土色のノーフェッドは、ノーフェッドが素晴らしき存在であると傲慢し、それを否定する健太を潰すべく、右半身の大きな岩がガイアパワーによって輝き始める。


「……どうやら、お前も裏社会に通じているようだな。ならば、俺が何も用意せずに来ると思っていたか」


「何……?」


「やああぁぁっ!!」


「ぐはっ!? 貴様は……フュージョナー!?」


 黄土色に輝くガイアパワーが、右半身の大きな岩の一部を自ら砕いて、複数の鋭い破片に変化して浮いている。先ほどノーフェッドが加藤を傷つけたのは、この攻撃手段である。

 この現実離れした光景にも関わらず、健太は動じていない。余裕があるノーフェッドは気付いておらず、そのまま近づいてくる。ニヤリと笑う健太に、鋭い岩の破片を当てようとした。

 その瞬間、健太の後ろから飛び上がり、頭の上を過ぎ去ってエターナルの赤い拳がノーフェッドの顔面を殴り飛ばした。突然の乱入者に黄土色のノーフェッドは驚く。


「……やっぱり来ていたか」


「早く逃げてください!!」


「……分かった」


 エターナルが健太の前に立って、黄土色のノーフェッドに立ち向かう。礼を言った健太は、加藤から貰った手提げバックを持ち、入ってきた入り口に走り出す。

 進也ことエターナルが追いかけてくることは予想していた。自分が外出するなど珍しいと、里美の祖母である大家なら誰かを行かせると、長年の生活から分かっていた。特に進也と里美を2人きりにするのは、風花荘全員のニヤニヤした表情が浮かぶからだ。


「飛んで火にいる夏の虫、わざわざ倒されに来るとは悲しいな、フュージョナー」


「それはGFウォッチだな。お前もトライディザスターって奴か?」


「その通り。私は『大地』を宿すトライディザスターの1人……グランド・ノーフェッド。フレイムの戦闘馬鹿から生き残ったようですが、ここで始末しましょう」


 冷静さを取り戻した黄土色のノーフェッドは、フュージョナーが現れたことに不気味な笑顔で歓迎するなか、エターナルは単刀直入に正体を尋ねる。

 黄土色のノーフェッドの正体は、災害の幹部の1人である怪物グランド・ノーフェッド。異名は『爆砕』であり、主にその強力なパワーを生かした接近戦での戦闘を得意とする。

 あっさりと正体を明かしたグランドは、黄土色のガイアパワーを身体から輝かせて、破壊力を秘めている巨大な斧──グレートアックスを出現させて、地面にめり込ませる。


『ジャンクトルーパー』


「この前の!? こいつらは幹部のチップだったのか!!」


「行け」


「ハカイ ハカイ ハカイ ハカイ」


 グランドは、JTチップをGFウォッチに差し込む。倉庫にあるネジや歯車に鉄パイプなどが組み合わされて、機械兵士ジャンク・トルーパーが5体現れた。

 エターナルはトルーパーたちを見て、かつて戦った赤褐色の怪物バッファローと出会ったことを思い出す。しかし、それが藍色の怪物キー・ノーフェッドの仕業であることは知らない。

 銅色の戦闘員たちは、グランドの指示に従いエターナルに向かって、規則正しく全員同じ動きで右腕の刃を構えて歩いてくる。


「行くぞ!!」


『アイアン チェックイン』


「やああぁぁっ!!」


「ハカイ ハカイ ハカイ ハカイ」


「せぇいいいぃぃぃぃっ!!」


「ハカイ ハカイ ハカイ ハカイ」


 エターナルは前回戦った時に、強化していないままの姿では苦戦していたことを考えてチップを取り出す。GFウォッチにエクストラチップ『I』のアイアンチップを使用して、鋼鉄の能力を得た身体が銀色に輝く。

 5体のトルーパーたちは殴られたり、蹴られたりされても片言で迫ってくる。痛みの感覚が無いらしく、多少の故障では倒せない。それでも負けじと攻撃を続けていく。

 一方、黄土色の怪物グランド・ノーフェッドは何故か見ているだけで参戦する様子が無い。


「くっ、数が多い。キュー、頼む!!」


『フェニックス チェックイン』


「キュイ!!」


「ふむ、あれがフェニックス。フュージョナーの分析は完了、そろそろデータを更新しますか」


 トルーパーたちが複数のコンビネーションに不利を感じたエターナルは、エクストラチップ『P』フェニックスチップをGFウォッチに差し込んだ。

 エターナルの右肩には、大きな翼を広げた不死鳥キューが舞い降りる。倉庫に勇ましい声を鳴く。

 グランドはフェニックスを確認しながら、黄土色のガイアパワーを左手に作り出していく。


「ハカイ ハカイ ハカイ ハカイ」


「キュイィィィッ!!」


「いいぞ、キュー!! って、うわあぁぁぁぁっ!?」


 銅色の剣を振るうトルーパーたちに対して、キューは距離をとって口から炎を吹いて対抗する。赤い炎がトルーパーの左足を溶かして動けなくした。キューの善戦に褒めるエターナルだったが、突然の攻撃に膝をつく。アイアンで強化されているはずの銀色の身体が傷つく。


「ウテ ウテ ウテ ウテ」


「いててて、あの身体は遠距離武器にも変形できるのか。それなら、こっちも」


『ハンター チェックイン』


 ジャンク・トルーパーたちは左腕を自ら改造して、銅色の銃に変形させていた。後ろにいるグランドがフュージョナーの戦闘行動を観察、近距離戦ばかりのトルーパーたちに、遠距離武器の情報をガイアパワーから通して新たに加えたのだ。

 エターナルは、撃たれた左腕を庇いながら黒いマントを覆う。黒いマントが銃撃を防御しながら、手に入れたばかりの新しいエクストラチップ『H』ハンターチップをGFウォッチに差し込んだ。

 GFウォッチがハンターチップの能力を読み取る。すると、エターナルの両肩に薄茶色の大砲が装備された。


「重いっ!? って、これで何とか!!」


「ウテ ウテ ウテ ウテ」


「負けるか、だあああああああぁぁっ!!」


「!? !? !? !?」


 薄茶色の大砲は予想より重かった。戸惑うエターナルをよそに、トルーパーたちが覆っていた黒いマントを撃ち破った。

 銀色に輝く身体のエターナルは、両肩の重さに耐えるために腰を低くして大砲から薄茶色の光弾を撃ち始める。この光弾もガイアパワーであるため、トルーパーたちに痛みを与えられるのだ。撃たれたトルーパーたちは壊れながら倉庫の外に飛んでいき爆発する。


『ハンター チェックアウト』


「ふう、何とか倒せた。このチップも使えるな。だけど、後で調整しなくちゃ。それより、決めるか!!」


『オーバーライド』


「アイアンタックル!!」


 脅威が無くなったことで、大砲の重さに耐えていたエターナルは、GFウォッチからチップを抜き取り解除する。ハンターチップの威力に驚きつつも、チップの調整を考える。

 しかし、今はキューと戦っているトルーパーたちを倒すのが先だ。GFウォッチの赤いボタンを押して必殺技を発動させる。銀色に輝くガイアパワーを身体から放出しながら、エターナルは必殺技『アイアン・タックル』で残りのトルーパーたちを次々と砕いていく。


「ふむ、やはりジャンクトルーパーは役立たずか。悲しいな、所詮はガラクタか」


「その余裕、絶対に無くさせてやる。キュー、援護してくれ!!」


「キュイ!!」


 グランドは倒されたトルーパーたちを見ても何も感じなかった。むしろ、エターナルを倒せない戦闘力に落胆している。その態度にエターナルは、こんな奴に負けたくないと闘志を燃やして相棒のキューと共に黄土色の怪物グランド・ノーフェッドに走っていく。


「それなら、こちらもペットを出すか」


『ワイバーン』


「ガウッ!!」


「なっ!?」


「キュイ!?」


 グランドは、同じトライディザスターの1人である雅から貰ったワイバーンチップをGFウォッチに差し込んだ。紫色のガイアパワーが輝き、そこから紫色の翼竜が現れる。

 エターナルとキューが意志を持っているワイバーンに驚くなか、キューに襲いかかる。


「さあ、こちらも始めようか、フュージョナー!!」


 グランド・ノーフェッドは、その巨大な戦斧──グランドアックスを片手で軽々と振り回すと、エターナルの頭上から勢いよく降り下ろす。


「…………っ!!」


 エターナルは間一髪、右にジャンプするように避ける。すると、空を切ったそのグランドアックスは、そのまま地面に深々と突き刺さる。

 アスファルトに大きな亀裂を走らせたその攻撃に驚きつつ、エターナルは体勢を立て直しエクストラチップを取り出す。


「凄いパワーだな!? でも、それなら!!」


『バッファロー チェックイン』


 GFウォッチにバッファローチップを挿入すると、両腕が光輝く赤い粒子に包まれ、一回り大きな赤褐色の手甲が装備される。このチップは前回まで両腕を大きくするだけだったが、調整したことで武器を装備することが出来た。


「この猛牛のパワーを持った手甲なら!!」


 両手の拳を胸の前で打ち付けながら、エターナルはグランド・ノーフェッドへと飛び込んでゆく。


「ほう」


「パワー対決だ!!」


「この私にパワー対決を挑むとは……悲しいな」


「キュイィィィィィッ!!」


「ガウゥゥゥゥゥゥッ!!」


 地面に刺さったグランドアックスをあっさりと引き抜きながら、グランド・ノーフェッドはエターナルを迎え撃つ。そして、お互いのパートナーたちも闘いあうのだった。





2013/06/23 13:13:13

599.両生類


怪物や白い戦士を見たのは本当っス!! テレビでも映っていたっス!!



2013/06/23 13:15:20

600.ROCKET


はいはいww



2013/06/23 13:15:40

601.最強の中の最強


怪物なんて、いないいないww



2013/06/23 13:16:37

602.193は315


目立ちたがりは、他のスレで遊びなさいwwww



「どいつも、こいつも……許さないっス」


 どこかの薄暗い部屋。パソコンに映っている掲示板には自身を信用しない書き込み。顔も名前も性別も分からないネットにいる人間は、知り合いのようで知り合いではない。本気で書き込む人間もいれば、その一瞬のみ書き込むだけの人間もいる。


「そんなに怪物が信じられないなら、見せてやる…………ノーフェッド!!」


 パソコンを見ながら人間──ハンドルネーム両生類は、通販で買ったGSチップ『f』を取り出す。チップに備えられている音声認識プログラムに発声することで、黄緑色の怪物フロッグ・ノーフェッドに変化した。パソコン人間の心に眠っていた怪物が生まれるのであった。


めっちゃ疲れたーー、前回の更新から2ヶ月かかりました。今後もこんな感じです。


反省はここまでにして、今回のことを紹介します。


まずは、チップの設定から幹部キャラクターまで考えて下さっている明け烏様!! 今回の雅ちゃんと姫乃ちゃんの会話やグランドとの戦闘を書いて頂きました、本当にありがとうございます!! 毎回、マジ助かります!!


続けて、奏時高校の新しい担任である伊吹健先生。実はタスク様の二次創作時代の主人公なんです!! 素晴らしいゲスト、本当にありがとうございます!!


最後にタスク様の新しい作品『僕らの赤い糸(物理)』に、進也くんと里美ちゃんが出演しています。ぜひとも、そちらの方も読んでください!!


次回は、最後の風花荘住民が登場します。

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