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P35 人生の善き友 ~ BOOKS ~ ②

P34では、再び数学マジックを別の場所で披露しております。小説家になろうでは動画を扱えないため、省いております。

教科書の35ページは【節末問題】。


この「ドラマティックな数学の世界」、読む人がいかに数学に興味を持ってもらうか。果ては学ぶ事に興味を持って貰うか。それを意識して、ちょこちょこ書いております。


教科書35ページは節末問題。


【節末問題】や【章末問題】の所では、今まで私が読んだ本の中からお奨めを紹介をしております。今回は第2回になりますが。


読書をしない高校生。忙しくて本を読めない高校教師。ネット時間が長く、紙媒体の本を読む機会の少ない人たち。


そんな人達が少しでも興味を持てる本を紹介していこうと思います。第2回はこちら。


挿絵(By みてみん)


タイトル「日本人なら知っておきたい日本文学」

サブタイトル【ヤマトタケルから兼好まで、人物で読む古典】 

著者 蛇蔵へびぞう海野凪子うみのなぎこ

出版社 幻冬舎



この本は漫画と解説の2部構成になっており、漫画は蛇蔵さん、解説は凪子さんが担当しております。


そして古文の世界で有名な「人物」を中心に、その人物がどんな環境で育ち、どんな性格で、どんな風にその時代を暮らして、どんな葛藤やトラブルに巻き込まれたかというのを漫画でおもしろおかしく紹介しています。


この蛇蔵さんの漫画がいいんですよ。時に歴史物を女性のかたが漫画にすると、やけに乙女チックというか少女漫画らしい少女漫画になってしまうんですが、蛇蔵さんの描くキャラは2.5~4頭身のコミカルタッチ。


そしてどんな時代の登場人物だろうが、その情景描写を現代風にアレンジして読みやすくしてくれています。


わかりやすく言うと、「非常に面白い!!」です。笑


海野凪子先生の解説も古典初心者を意識したわかりやすい文章になっています。凪子先生がいろいろな古典文学に興味を持ったきっかけなどがまた面白くて。


例えば「源氏物語」にイマイチ興味を持てなかった凪子先生が、なぜ興味を持てるようになったか。それは「紫式部日記」で描かれる人物の描写が面白かったからだそうです。剛胆な逸話を数多く残す藤原道長は、孫が産まれて大喜びし、抱き上げた孫が粗相をされても喜び続けたとか。いわゆる2次元の「歴史上の人物」が身近に感じる3次元のキャラとして親しみを持てるようになったそうです。


漫画も解説も、すいすい読めて一気に最後までいくかもです。笑


私が面白く感じたのは……実はたくさんあるのですが、BEST3をあげるとですね


これはハズせないってのが「安倍晴明あべのせいめい」。知る人ぞ知る、日本史上最強最高の霊能力者ですな。


彼にまつわるエピソードは奇想天外な事この上なし。小蛇を助けたら竜宮城の乙姫様だったとか、ライバル道満どうまんとの霊能力対決では、法力でミカンをネズミに変えたり。もちろん殺されても生き返るという、王道エピソードなんかも紹介されています。


安倍晴明というと、どうしてもこれら霊能力関連のエピソードばかりが目立つのですが、この本には彼が国家機関につとめる公務員として出世していく様や、意外とマメな仕事内容、現在に換算した推定年収なんてものまで紹介されています。ちなみに年収は2~4億ぐらいらしいです。笑


そうそう。言っておかないと勘違いする人がいると思いますので、注意しておきます。安倍晴明は「大鏡おおかがみ」という書物で紹介されているのですが、けして架空の2次元キャラではなく、実在した人物です。


BEST3の2つ目は「吉田兼好」。言わずとしれた「徒然草つれづれぐさ」の作者でございます。


実はこの作者・兼好君。本名は「卜部うらべ兼好けんこう」。「吉田」という名字は後世に勝手につけられたもので、なんと江戸時代に間違って広まった名前が「吉田」だったとか。


さらには学生なら知らぬ者はいないという「徒然草」のタイトルも、本人がつけたものではありません。これまた後世の人が勝手につけたタイトルだそうです。兼好は鎌倉時代末期の人物ですが、当時は本にタイトルをつけないのが普通だったそうです。


今風に言えば優秀なサラリーマンだった兼好。30歳ぐらいで突然辞表を出し退職。その理由は今でもわかってないそうです。作中に出てくる「しろうるり」のエピソードは思わず笑ってしまいましたが、詳細は実際読んで頂きたい。



BEST3の3つ目は「清少納言」と「紫式部」。2人同時にあげておきます。前者は「枕草子まくらのそうし」、後者は「源氏物語」の作者です。


清少納言は一条天皇の中宮ちゅうぐう定子ていしに、清少納言は一条天皇の中宮ちゅうぐう彰子しょうしに仕えていました。定子は一条天皇の年上妻、彰子は一条天皇の幼妻です。


ほぼ同時期を生きた2人ですが、清少納言が退職した5年後に紫式部が働き始めたので、直接の面識はありません。ただ、紫式部の日記の中に清少納言の悪口などがかかれてあり、政治的な立場もあってか2人の対立関係がよく取りざたされます。


どちらも賢かったのは間違いないですが、性格は全く違います。頭の回転が速くズバズバものを言う清少納言に対し、いろいろ深読みして悩みに悩む紫式部。もし「政治的なしがらみがなかったら」という条件のもとならば「彼女たちは仲良くできるだろうか?」という考察も描かれていて面白いです。



☆★


とまぁ、この本に関する魅力をいろいろ語ってみました。


今回、なぜこの本を紹介したかと言うとですね……


理系の生徒って、国語、特に古文漢文が大嫌いって人が多いじゃないですか。今回はそういう人が、古文に少しでも興味を持ってもらえるようにと思って、この本を紹介しました。


個人的には蛇蔵さんの絵も好きだし、凪子さんの解説も面白いので、今まで古文に興味が持てなかった生徒がこれを読んだ事をきっかけに古文に目覚めるかもしれません。



古典文学を紹介する本って、けっこうお堅い本が多いんですよ。たまに漫画などで紹介してくれるものもありますが(「古事記」は漫画で解説するって本、多いですね)、今まで私が手にした本では今回紹介した本が1番ですね。


学生のみなさんも、機会があれば読んでみてください。漫画だけでも楽しめますよ。

ちなみにこの本の最後で……


宮崎駿先生が「風の谷のナウシカ」を描くきっかけとなったお話があります。


気になる人は、書店でこの本を探してください。笑

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