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P32 必勝法の存在するゲーム

P30~P31では、数学マジックを別の場所で披露しております。小説家になろうでは動画を扱えないため、省いております。

場合の数や、確率の問題で


  袋の中に球がいくつかあり、よくかき混ぜて○個の球を取り出す


というのをよく見かけますよね。


これに準じて、今回も数えるだけで勝てる「数学的必勝法」のお話をしましょう。


今、ここに、袋に入った30個の球があったとします。そして1対1であるゲームを行う事とします。


  ルール① 交互に、袋に入っている球をいくつか取り出す。


  ルール② 取り出す球の個数は1個か2個か3個の3択。


  ルール③ お互い交互に球を取っていき、最後30個目の球を取ったら負け


実はこのゲーム、なんと先手必勝なんですね。


  Ⅰ 先手は1個だけ球を取る


  Ⅱ 相手の取った球が1個なら、次自分が取る球は3個

    相手が取った球が2個なら、次自分が取る球は2個

    相手が取った球が3個なら、次自分が取る球は1個


この2つを守るだけで、自動的にあなたは勝利するでしょう。


もう少しわかりやすく解説します。30個の球を図のように1列に並べ


  ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○


さらに次のように「しきり」を入れます。


  ○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○


左から順に球を取っていくと思ってください。まずあなたは1個の球を取りました。あなたが球を取る事を「○」から「×」に書き換える事で表現すれば


  ×|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○


このような状態になりますよね。


次、相手が球を1個取ったとします。相手が球を取った時、「○」から「●」に書き換える事で表現すれば


  ×|●○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○


この状態ですが、この時あなたは「Ⅱ」に従って3個の球を取ります。


  ×|●×××|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○


次、相手が2個の球を取れば


  ×|●×××|●●○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○


あなたは2個の球を取ります。


  ×|●×××|●●××|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○


相手が3個取るなら


  ×|●×××|●●××|●●●○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○


あなたは1個の球を取ります。


  ×|●×××|●●××|●●●×|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○


つまり相手が取った球と自分が取る球の合計が、


  ×|●×××|●●××|●●●×|●●××|○○○○|○○○○|○○○○|○


常に4となるように


  ×|●×××|●●××|●●●×|●●××|●●●×|○○○○|○○○○|○


取っていくことがこのゲームの必勝法なのです。


  ×|●×××|●●××|●●●×|●●××|●●●×|●×××|○○○○|○


そうすれば確実に


  ×|●×××|●●××|●●●×|●●××|●●●×|●×××|●●××|○


「ラスト1個」の状態で、相手にパスする事ができるのです。


すなわちあなたの勝利が確定するわけなんですね。


このゲームの必勝法に欠かせない要素は「自分と相手の取った球を常に定数4で固定できる」点です。


とにかく「最後に1個残して相手にパスをすればいい」わけですから、その1個を除いて残り4の倍数で相手に球をひかせる形にすればいいんですね。


それを意識すれば、球の個数が20個でも50個でも「どうすれば勝てるか」がわかるはず。数式で言うと、相手に「4n+1」個(nは自然数)の球が残った状態で引かせるだけとなります。


また、3個以下の球をとる話をしましたが、4個以下や5個以下でも同様に考える事が出来ます。4個以下の球を取る場合は、自分と相手の取った球の合計を常に5で調整できるので、「5n+1」個の球が残った状態で相手に球を引かせればいいのです。



☆★



このゲームがもし、「最後の球を取った方が勝ち」ならどうでしょう。この場合も先手必勝。


 ○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○


今回はこのように考えます。最初の2個を取って相手にパスをすれば


 ××|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○


残りは4の倍数個の球が残るわけですから、相手が球を1個取ったならば


 ××|●○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○


この時あなたは3個の球を取ります。


 ××|●×××|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○


次、相手が2個の球を取れば


 ××|●×××|●●○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○


あなたは2個の球を取ります。


 ××|●×××|●●××|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○


相手が3個取るなら


 ××|●×××|●●××|●●●○|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○


あなたは1個の球を取ります。


 ××|●×××|●●××|●●●×|○○○○|○○○○|○○○○|○○○○


つまり相手が取った球と自分が取る球の合計が、


 ××|●×××|●●××|●●●×|●●××|○○○○|○○○○|○○○○


常に4となるように


 ××|●×××|●●××|●●●×|●●××|●●●×|○○○○|○○○○


取っていくことが、今回の場合も必勝法となるのです。


 ××|●×××|●●××|●●●×|●●××|●●●×|●×××|○○○○


そうすれば「ラスト4個」の状態で、相手にパスする事ができます。


ここまできたら、相手が1個取ろうが2個取ろうが3個取ろうが、あなたが最後の1個を取ることができるの、おわかりですね?


「最後の球を取った方が勝ち」の場合、相手に「4n」個の球が残った状態で引かせ続ければよいのです。


数Aの後半に「整数論」という分野があります。その最後の方で合同式を学ぶと、「mod」という記号を用いて簡単に説明する事が出来るようになります。今回は割愛します。



☆★


私が中学校1年の頃、ノートの余白に


  | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | |


このような縦線を何本かひいて


  2人で交互に、左から1本か2本か3本の「|」を消していき、最後の「|」を消したら負け


というゲームがクラスではやりました。


私はいち早く必勝法に気づきまして、連戦連勝。まぁ、勝ったからお金がもらえるとか物がもらえるとかあったわけではありませんが、「あいつ、つぇえな」「天才だ」という称号をいただきました。笑


あまりにも勝ちすぎたので「実はこうすれば勝てるんだ」と教えてあげたら、「おまぇ、超卑怯者だな!」と罵倒されましたね。天才から一瞬にして卑怯者になった瞬間です。笑



☆★



昔、お笑いコンビ「ロンドンブーツ」が出てたバラエティ番組で、「Not 100」という企画がありました。


例えばラーメンなどが用意され、4人が麻雀をするように正方形上に座り、ラーメンに大量のコショウやら激辛香辛料などを1人ずつ順番にふりかけていくというもの。


ふりかける回数は1~3回。最後100回目にふりかけた人が、そのラーメンを食べなければいけないというゲームです。


ちなみに2人1チームのチーム戦の形にもなっており、同じチーム同士は「向かい合う」のではなく「隣り合う」状態でゲームが進行します。


これは上で紹介したゲームをちょっとばかり複雑化したもので、必勝法は存在します。


4人の香辛料をふった回数合計が、常に「8」(2人だと4だったから、4人だと8になる)となるように調整し、ドボンさせたい相手に「8n+1」の回数が残った状態でパスをすればいいのです。


ただしこの必勝法、チームになってる2人が「必勝法を知っていた場合」のみ、100%勝てる事になります。



いつもMCをやってる彼は間違いなく必勝法を知っていました。問題はその相方が必勝法を知っていたかです。過去の映像を見ればすぐわかるのですが、ちょっと過去の映像を見つけられないので……


ここからは私の推測です。自称「めい探偵」の私の推理。笑


バラエティ的なリアクションを考えると、おそらく相方は必勝法を知らなかったでしょう。ただ相方が必勝法を知らなくても、必勝法にそった形にする事は高確率で可能です。


ちょっと確率の話をしちゃいますが、MCの彼を除いた3人のふる回数の組合せは


(1,1,1)(1,1,2)(1,1,3)

(1,2,1)(1,2,2)(1,2,3)

(1,3,1)(1,3,2)(1,3,3)


(2,1,1)(2,1,2)(2,1,3)

(2,2,1)(2,2,2)(2,2,3)

(2,3,1)(2,3,2)(2,3,3)


(3,1,1)(3,1,2)(3,1,3)

(3,2,1)(3,2,2)(3,2,3)

(3,3,1)(3,3,2)(3,3,3)


の27通り。その合計は「3~9」です。MCの彼が「4人の合計8」となるように調整できる可能性があるのは、3人の合計が「5~7」の時です。


(1,1,3)

(1,2,2)(1,2,3)

(1,3,1)(1,3,2)(1,3,3)


(2,1,2)(2,1,3)

(2,2,1)(2,2,2)(2,2,3)

(2,3,1)(2,3,2)


(3,1,1)(3,1,2)(3,1,3)

(3,2,1)(3,2,2)

(3,3,1)


19通りもあります。つまりMCの彼だけで必勝法の形にもっていける確率は「27分の19」、すなわち70%以上もあります。


じゃぁ30%近くは負けるかというと、そうでもない。あくまでも1ターンで必勝法の体制に持って行ける確率が70%なのであって、相手が必勝法を知らない場合は数ターンで調整出来ますし、何より後半せっぱ詰まった場面では「言葉巧みに、相方のふる回数を調整させる」という技も存在します。笑


また、毎回70%の確率で調整出来るというわけではないという事も注意しておきます。8に近い数が現れたら調整しやすいし、8より遠い数が現れたら調整しづらい……というのはあります。ただ、自分の展開に持って行ける確率はかなり高いでしょう。


番組的には、とにかく相手チームを負かせて盛り上げたいところ。


万が一、後半うまい具合に必勝法の形に調整できなかったとしても、MCは「最悪、自分がドボンしなければいい」形にもっていける確率が非常に高く、つまり必勝法を知る者は「チームとして負けても、自分でなく相方をドボンさせる」よう調整できる可能性が高いのです。


ここで生きてくるのが「チーム同士は隣り合う」というルールなんですね。向かい合うとなるとかなりややこしくなりますので。


簡単にまとめますと……


①MCは必勝法を知っている

②相方は知らない


です。


相方が必勝法を知っているなら100%自分のチームは勝てるはずだし、バラエティ的にも微妙になる。負けるように演出するには演技力が必要。


さらにMCが言葉巧みに相方を誘導したり、時には相方を犠牲にする場面も出てきて盛り上がる。


以上、自称「酩探偵」の推理でした。笑



☆★


オープニングに続いて、今回はゲームの必勝法についてお話ししました。ゲームといっても、簡単なゲームです。


ところがですね……


世の中には、とあるゲームにおいて「数えるだけ」で巨万の富を築いた人がいるのです。



次回はそんなお話しをしたいと思います。

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