P18 ローマ数字 (前編)
今まで書いてきたこの【ドラマティックな数学の世界】。1話1話が長いという事で、一部過去の話を切り貼りしてお伝えいたします。
今回の話は、以前載せた物を切り取ってきたものとなります。
【数える】をテーマにお話ししていきます。
ドラマや映画などで、次のようなシーンを見た事がありませんか?
例えば無人島に漂流したり、例えば牢屋に幽閉された人物が、どれだけの日数そこにいるのかをチェックするため
4つ目までは縦線でカウントし、5つ目は5つ分がひと塊になるように、壁や地面に書き留める。
オープニングでも言ったように、人間、数えなくてもぱっと見で区別出来る数が4~5あたりまで。そして片手の指の本数が5本である事から、この身近な5という数字で物を数えるというのは人類の歴史でもよく見られます。
日本人だと例えば……
クラスで委員長や副委員長を決める投票で、票を数える際に【正】という字で【5】を表す。
なんて光景に遭遇した経験のある人もいるでしょう。
とまぁ、【5】という数字を印象づけたところで……
ローマ数字の話。
「ドラゴ○クエストIV」とか「ファイナルファン○ジーXI」とかで出てくる「IV」や「XI」がローマ数字です。
もともと農耕民族だったローマ人が、ヤギを数える時に生まれた表記の仕方だと言われています。
ヤギが1匹出てくると木の棒に「I」という記を刻み、2匹目が出てくるとさらに1つ「I」を横に加えて「Ⅱ」と刻みました。3匹目が出てくると「Ⅲ」、4匹目が出てくると「Ⅳ」ではなく、そのままの流れで「IIII」と表しました。
5匹目が出てきた時は「V」(あるいはそれを逆さまにした記号)を「IIII」の横に加え「IIIIV」で【5】を表しました。
さらに6匹目が出てきたら「IIIIVI」、7匹目で「IIIIVII」と表す事になります。
この流れで9匹目は「IIIIVIIII」ですが、次の10匹目には「X」を使い「IIIIVIIIIX」で表す事になるのです。
5を表す「V」ありきで、10はそれを2つ使った「X」。あるいは10を表す「X」ありきで、それを半分にした「V」(またはそれを反対にした記号)で5を表す事にした……という説があるそうですが、正しい事はわかっていないそうです。
とにかく【5】を1つの基準として【I】ではない記号を用いているのですから、5進法の考え方が採用されているわけです。
ちなみにこの流れで【33】を表す事にすると
IIIIVIIIIXIIIIVIIIIXIIIIVIIIIXIII ①
となります。
やがて時が過ぎると、もう少し簡略したもので数字を表すようになります。【33】だと
XXXIII ②
と表すようになりました。さすがに33を①の形で表すのを煩わしく感じたんでしょう。
①の表し方に比べれば②はだいぶすっきりしていますね。
また、いつ頃からか【IIII】で表していた【4】は【IV】で表し、同様に【IIIIVIIII】で表していた【9】は【IX】と、いわゆる足し算方式から、一部引き算方式で表すようになりました。
もともとローマ数字には明確な表記のルールがなかったため、【4】など
IIII あるいは IV
というように、同じ数なのに表し方が複数混在した時代もあるのです。
なるべく少ない記号で効率よく数を表そうとしていたんでしょう。例えば50は【L】、100は【C】で表現し、大きな数を表していく事になります。
その話はまた次回。
次回は……
何かと都市伝説の多い1ドル札の話を。
ピラミッドの下に何やら文字が描かれているの、わかりますか?
アメリカ人も意外と知らない、その文字の意味を……
次回、お教えいたしましょう。




