表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/43

P15 色々な数え方④

さて。色々な数え方の4回目になります。


教科書では習わない、色々な数え方についてお話ししております。問題を出題する形で話を進めているのですが、今回は第4問となります。



【第4問】


大統領夫妻が、4組の夫妻を招いてパーティーを開きました。


パーティーが始まった直後、みなで挨拶しながら握手しあいます。


握手に関しては


  1つ。自分のパートナーとは握手をしない。

  1つ。パートナー以外の人物と、必ずしも握手する必要はない。

               (握手しない人物がいてもよい)

  1つ。同じ人物とは1度しか握手しない。


この3つが条件となります。


大統領夫人ファストレディは、自分以外の9名が握手した回数を数えました。すると、9名の握手数は全て違っていました。


ここで問題。ズバリ、大統領は何人と握手したでしょう?



この問題をノーヒントで、そして自力で解けた人は素晴らしいです。


解答は図で説明しましょう。まずは5組の夫妻を


挿絵(By みてみん)


このように円卓に座らせる形で考えます。そしてAとBは夫婦、CとDは夫婦、EとFは夫婦、GとHは夫婦、IとJは夫婦であるとしましょう。図では夫婦となる2人はすぐ側に座らせています。


さて。大統領夫人が自分以外の9人の握手数を数えた結果、9名の握手数は全て違っていたんですよね。そこからそれぞれの握手数が割り出せます。


1人の人物が握手できる最高回数から考えればよいのです。自分以外に9人いるから、最高9回の握手が出来たのか……


答えはいな。自分のパートナーとは握手をしないという条件があるため、1人の人物が握手できる最高回数は、自分とパートナーを除く【8回】となります。


  9人の握手数が全て違うのに最高が8回?


と疑問に思う人もいるでしょう。何故ならある人物は握手数が1、ある人物は握手数が2……と考えていけば、握手数が最高8回となるには8人の人物までしか考えられないハズ。


ここが最初の難関。問題をよ~く読むと、9人の握手数が全て違ってたとしか書いてませんので、握手数0(ゼロ)の人物がいても構わないのです。つまり大統領夫人以外の9人、その握手数は


  0回,1回,2回,3回,4回,5回,6回,7回,8回


となるのです。OKでしょうか? 


では次へ進みますよ。まず握手数の多い人物から考えて行く事にします。最初の図の誰でもいいのですが、例えば人物Aが8回の握手をしたとしましょう。


Aは自分のパートナーBとは握手できないので、残り8人全てと握手をする事になります。その図を


挿絵(By みてみん)


このように表します。図を見れば解るようにC,D,E,F,G,H,I,Jの8人はAと握手しているため、握手数は8人とも1以上となります。そしてAの握手数が8と確定している情報を合わせると、必ずいなければならない【握手数0】の人物はBだと決定できるのがわかるでしょうか。


挿絵(By みてみん)


従ってこの時点で【Aの握手数は8】【Bの握手数は0】と確定しました。


握手数が多い人物から考えるので、次は握手数が7の人。CからJまでの8人の握手数はこの時点で全て1ゆえ条件は同じ。したがって握手数7の人物は、A・B以外の誰としてもいいのですが、今回はCの握手数が7だとして進めます。


人物CはすでにAと握手していて、Bも握手数が確定しているためBとは握手できません。さらにはパートナーのDとも握手できない。そうすると……


挿絵(By みてみん)


Cの握手相手は、A・E・F・G・H・I・Jの7人となります。上の図がそれを表しています。この時点でA・B・Cの握手数が確定してます。


A・B・C以外の握手数は……


まず、Dの握手数は1。E・F・G・H・I・Jの6人の握手数は2です。従って必ずいるはずの【握手数1】の人物がDと確定する事になります。


挿絵(By みてみん)


お次は握手数6の人物を考えます。A~Dの握手数は確定していますので、E~Jの誰かが握手数6。上の図では全員握手数が2という同等の立場ですので、誰が握手数6でも構いません。


なのでEが握手数6だとします。AとCとはすでに握手し(2人と握手してるのであと4人と握手しなければならない)、BとDは握手数が確定しているので握手できない。そしてパートナーのFとは握手できないので……


挿絵(By みてみん)


Eの握手相手はAとCに加えて、G・H・I・Jの合計6人となります。ここまでA~Eの5人の握手数が確定。この時点で残り5人の握手数を確認すると、Fの握手数が2。G・H・I・Jの4人の握手数が3となっています。


という事は必ずいる【握手数2】の人物がFと確定します。F以外握手数2を満たす人物がいないからです。


挿絵(By みてみん)


A~Fの6人の握手数が確定。次は握手数5の人物を捉えます。上の図ではG・H・I・Jの4人とも握手数が3なので条件は同じ。なのでGの握手数が5とします。


現在握手数3のGはあと2人と握手する必要があります。A~Fの握手数は確定していて、パートナーのHとは握手できない事を考慮すると、残り2人の握手相手はIとJです。


挿絵(By みてみん)


この時点でHの握手数は3で、IとJの握手数は4。という事は必ずいる【握手数3】の人物はHとなります。


挿絵(By みてみん)


AからHまでの8人の握手数が確定しました。残りはIとJの2人。まだ抑えていない【握手数4】の人物はこの2人のどちらかです。上の図ではIもJも握手数4なので、どちらが【握手数4】の人物となっても構いません。


Iが握手数4の人物だとして確定させます。するとAからIまでの9人の握手数が確定してしまったため、残る1人Jはこれ以上誰とも握手できません。すなわち


挿絵(By みてみん)


I・J、ともに握手数4となり、これにて全員の握手数が確定した事になります。


  あれ? 握手数が全員違うはずなのに、同じ握手数の2人がいるぞ?


と思った人もいるでしょう。問題をよ~く読み直してみましょう。【大統領夫人以外】の9人の握手数が違えばいいのです。


そう。そこで得られる結論は1つ。IかJのどちらかが大統領夫人だという事です。そうすればI以外、もしくはJ以外の9人の握手数は全て違うハズです。


したがって、IとJは大統領夫人と大統領の組なのです。もうわかりましたね。


  ズバリ、大統領の握手数は4!


が答なのです。


私の記憶が確かなら……


10年ほど前、数学者の秋山仁先生がニュースステーションで同じ問題を紹介していました。あの時は5組の夫婦でなく、3組の夫婦だったと記憶しております。



★☆


これまで、4回にわたり色々な【数える】を紹介してきました。この【数える】シリーズは、いったんここで閉めておきます。


ただ教科書に載ってないこういった【面白い数え方】はまだまだたくさんありますので、機会があればまた【面白い数え方】を紹介したいと思います。


次回はですね~


  グラフ理論


のお話をしようと思います。


今回の問題、私は見た目を意識して円と直線で説明しました。もうちょっと簡略化して、点と線だけで説明する事も出来ます。この点と線(正確には頂点と辺)だけを扱う数学の分野こそグラフ理論。


2次関数のグラフとか三角関数のグラフとは全く別物の、頂点と辺だけの【グラフ】を扱う事になります。


みなさんは……


挿絵(By みてみん)


この図形、一筆書きで描けますか? 


そんなお話をしますので~。お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ