瑕疵物件(4)
その日のうちにお札についての連絡がSの知人から直接電話でかかってきました。ある程度のことはSの知人に伝えてあったので、お互い軽く挨拶を済ませてすぐに本題に入りました。
[知人]
「早速なのですが、単刀直入に言います。このお札の正体は⬛︎⬛︎⬛︎の⬛︎⬛︎村が昔にしていた風習に使われたお札が派生したものだと思われます。」
【場所と村の名前は伏せさせたいただきます。】
「しかし昔は⬛︎⬛︎村のみの風習だったそうなのですが、1⬛︎⬛︎⬛︎年くらいからその村の風習の一部を教えにした宗教が誕生して、このお札になったのではないかと。」
[M]
「その教えとは一体なんなんですか?それに自分の部屋の霊的現象とは何か関係があるのでしょうか?」
[知人]
「まず村の風習から説明します。⬛︎⬛︎村の風習としては、昔そこの土地では水害が多く農作物が水に流されてしまい村人が飢え死にしてしまう事があったそうです。そこで水害をなくそうとその土地の氏神様に【合掌】して祈りを捧げます。祈りを捧げる頻度は人それぞれですが「自分は今日、今週、今月こんな良いことをしました」と自身の善行を氏神が祀られているとこのに報告するのです。調べていて本当かどうか分かりませんがほぼ毎日祈りを捧げている人の方が恩恵が大きかったらしいですけどね。他にもちょっとしたものもあるそうなんですけど1番重要なところだけ伝えておきます。」
「そして変わって宗教の教えになります。先程の村の風習に近いんですけど逆なんですよ。宗教の場合、報告するのは自身の善行ではなくて悪行なんです。これも【合掌】して祈りを行います。例えば神に「自分は今日友達の約束を忘れてしまいました。」とか「自身の不注意で車で他人を轢いてしまいました。」とかそういう事を報告して水に流してもらうそうで、祈る頻度は罪の重さで変わるです。ですけどどちらにも共通しているのが【合掌】することなんですよね。祈るのだから合掌はするだろうと思うのですけど、ここからは個人の考察になってしまうのですが何かを行う時って「手」が関係して「手」ってオーラなんかを発したりすると考えているんです。あとルーツになっている風習のお札と宗教のお札にはどちらも真ん中に掌、手の絵が描いてあるんですよ。ただ宗教のほうだと掌の真ん中に目がついていて、仮に宗教だと合掌するとき目が隠れる形になるじゃないですか、もしかすると水に流すに加えて「見ず」に流すって解釈もできるんじゃないかなーって思って…なんか親父ギャグみないになってますけど、あはは!」
「で、最後に部屋の霊的現象なんですけど自分は霊媒師とかてはないんでそこは存じあげないです。考えられることとしては前の住民がその宗教の信者で何か悪い事をしたから祈って水に流そうとしてそこにあったんじゃないんですかね。」
「ん?待てよ?そういえばこのお札があったのって風呂場なんですよね?」
[M]
「はい、Sからは風呂場の換気扇に挟まっていたと言われました。そういえば今思い出したんですけど前に夢で出てきた幽霊みたいの首がなかったのに加えて手もなかったような気がするんですよね。うろ覚えなんで絶対とはいいきれないのですけど。」
[知人]
「家にいるんで、Mさんの家の周りの事件調べてみますね。」
数分後、Sの知人が電話越しで小さな声で「マジか…」と言いました。
[知人]
「Mさん、どうやら5年前にその家の近隣で首と手がない死体が見つかったそうですよ…。その死体の住んでいたところがMさんのアパートで同じ一階の角部屋だそうです。もしかすると前に見た霊は前の住民なんじゃないですか?しかも犯人は未だ不明の未解決事件だそうです。Mさんは知ってましたか?」
「基本こういった瑕疵物件、事故物件は3年ほどが経つまで告知義務があるんです。こんな事件があったら尚更伝えないといけないのに…、ちょっと大家さんに確認してみてはどうですか?ちょっと気持ちが落ち着かないんでこれで失礼しますね、なんかすみません。
また何かわかったりしたら連絡ください。
失礼します。」
混乱してなんとも言えない状態で電話はおわってしまいました。