瑕疵物件(3)
急遽夜に友達S(以降S)が泊まりに来ることになりました。Mはその日バイトがあったのでSに家の場所を伝えて鍵を渡し、先に家に行っているようにと伝えました。
バイトを終えて家に帰り扉をあけると先に来ているはずのSがいない、コンビニに行っているのだろうと思い風呂に入る準備をしようと風呂場に向かったときでした。風呂場の電気がついている、戸を開けるとSが浴槽の中で浮いていました。急いで浴槽から引き上げ、救急車を呼んで処置を受けました。幸いにも一命を取り留めたそうです。
その日以来から異変がさらに酷くなりした。
Mの部屋は角部屋で上と隣の部屋には誰も住んでいないはずなのにミシミシ、ガリガリ、ドンドンといった騒音、誰かの呻き声、金縛り、勝手に戸が開いたり、電気が消えたり、何度拭き取っても出てくる足跡・手形。そのうちMは精神的に参ってしまい精神科に行くも異常はなし、その後、前々からバイト先の店長が話を聞いてくれていたので実際家に様子を見に来ました。店長は霊感が強い訳ではないそうですが入ってすぐ異様な空気を感じとり、すぐに出ていくように促されました。
しかし入居してまだ2ヶ月足らずで引っ越し資金も貯まっていないのですぐに出ていくのは難しく、もう少しそこで生活することにしました。
1週間後Sが学校に復帰、真っ先にMはSに何があったのかを問いました。どうやらSは部屋に入って何か怪しいものがないかを確認していたとき風呂場の換気扇に紙が挟まっていたのでそれを取ったそうです。そこから記憶がなくなってあの事故のような事が起こったと説明をして、Sは換気扇に挟まっていた紙を見せてくれました。水に浸ってしまったので滲んではいましたがお札の様なものでした。お札といっても普段我々がよく見るような漢字がかいてあるような札ではなく、掌の真ん中に目がありその周りに柄というか印がありました。そこで家にあった札について調べることにしました。Sの知人に政に詳しい人がいるそうなのでその方に聞いてみて、札の事についてその日中に返事が来ました。
「この札の正体は…」