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プロローグ:2人の不思議な関係(1)

「大好きよ」

柔らかい腕の中。

「わたくしもよ」

魂が震えるその言葉に応える。


至福のひととき。


2人の特別な関係は、誰にも内緒。



+++



「あらぁ、アリッサム。ごきげんよう」

ドンッという重めの衝撃のあと、高飛車たかびしゃな声が飛んでくる。


学園のエントランスで盛大にぶつかってきたロベリアを、アリッサムは避けなかった。

わざとだと分かっていたから。

「アリッサムはぁっ白白しろしろで存在感がないからわたくし、気付かずうっかりぶつかってしまいましたの。ご容赦くださいませ」

ぶつかってきたロベリアは、りんと澄んだ声でそう言い放った。それから、漆黒しっこくおうぎを広げて、「うふふ」と上品に笑う。

深いブラックを基調とした制服は、ロベリアのつややかな黒髪によく映える。


アリッサムは純白のハンカチを取り出し、ぶつかられた箇所かしょをパタパタと叩いた。

「まあロベリア、ごきげんよう。あなたがいくらぁっ黒黒くろくろだからって、透明感あふれる白魔術師に嫉妬しっとなさらなくても、ねぇ」

口の端を上げて可愛らしく言い、少し首をかしげる。

清いホワイトを基調とした制服と、透けるように美しい金色の巻き髪の相性は抜群だ。


アリッサムの可憐な声を聞いて、真っ白な制服をまとった取り巻きたちが「その通りよ」「さすがですわ」とざわめき始めた。

しかし、あちら陣営も黙っていない。ロベリアの背後に控えた黒い制服の生徒たちが「まあ、なんて言い草」「やっぱり白は生意気ね」などと言い合っている。



白魔術師と黒魔術師は、敵対している。


その敵対関係は学園内に限らない。

国内の白魔術師と黒魔術師は、ほぼ例外なく敵対している。


白魔術師は黒魔術師が嫌い。

黒魔術師は白魔術師が嫌い。


だから白魔術師アリッサムと黒魔術師ロベリアも、敵対関係を保っている。

こうやって日夜、相手をこき下ろす口論を続けているのだ。

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