一滴
もちろんこの世界は
鷹の目にさえ捉えられない世界
だれのシビレルコードも
感じないねとうそぶけるすえっからしの
はぐれもののお祭り騒ぎ
太陽というありきたりな明るさではなく
三日月というギリッギリの存在の光るさま
うたをうたうということの
耐えられない孤りさが
そんな消えかけの光に照らされている
まるでキラリと泣いてるナイフみたいに
其処は
静止画の世界なのか
みえないほどの遅さで
だが動いている世界なのか
それがわかれば「なにものにもならない」
決意がやっと報われると想うのだが
そのみちゆきは
すこしだけみえている気がするが
気がするだけかもしれないし
自戒と自滅と消滅が
ゆっくりとポロリポロリと
なにかを崩してゆくのなら
それなら其処でははじめて
宇宙のことがらを
語りはじめることができるのかもしれない
その夜に
詰め替え用の満月を
満たしてあげたらこぼれた一滴