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プリンセス オブ プリンセス  作者: プリンセス オブ プリンセス
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大いなる災厄の女王(前編)

波乱の武闘大会は終わった。

優勝者であるドロシーには『格闘術士バトルマスター』の称号と共に、

両手で持ちきれる限りの財宝が与えられる事となっていた。


女王自らの誘いにより、王城の奥深くの宝物殿へと歩を進めるドロシー。

だが彼女の脳裏には、決着後にムクリと起き上がり、鎖の切れた人形のように

展覧席へと襲い掛かったアリスの姿が焼きついていた。


幾人もの近衛兵によって叩き伏せられ、それでも無表情のままだったその顔。

走り寄り抱き抱えた姉の胸の中でだけ、一瞬赤子の如き柔らかい微笑みを

浮かべたように見えたのは気のせいだったろうか?


「さぁ着いたワ。ここが宝物殿よ」

「え?あ、ハイ!」

女王の声にハッとして顔を上げるドロシー。

目の前には彼女の背丈の3倍はあろうかという重く分厚い木の扉があった。

「優勝者たるアナタには全てを得る権利があるワ」

女王の血のように赤い唇がニィッと横に広がった。

人間とは違う―――とドロシーは思った―――何か別の、

そう、獲物を前にした肉食獣のような笑みだと。

「でもネ。アナタは私のものよ」

突如、その重厚な扉がまるで小窓のように勢い良く開かれ、

扉を開けようとしていた近衛兵二人が軽々と跳ね飛ばされた。

咄嗟に身構えたドロシーは、その中にいる『何か』の気配を感じていた。

「あれは・・・卵・・・?」


金色に輝く財宝の山の上に、人の背丈ほどもありそうな大きな卵が『いた』。

人間を稚拙に模したような手足らしき物がその身体の周りでゆっくりと漂い、

漆黒の体に浮かび上がる紋様は時折鈍い光を放っていた。


「"彼"はネ、アナタのようなコを待っていたの」

そう言うと女王の瞳が一層激しく、そして妖しく輝いた。

「最強の遺伝子を持つアナタのようなコを、ネ。」

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