第8話 - ライバルたち
Lunaの人気が急上昇する中、光也はSNSで「Luna推しグループ」のチャットに参加するようになった。推し活仲間たちとライブの話題で盛り上がる日々は楽しかったが、ある日の出来事が彼を戸惑わせた。
「Lunaのライブ、衣装がまた可愛いよね!」
光也がそうコメントすると、すぐに別のユーザーから返事が来た。
「いや、あの衣装、前の方が良かった。デザインが少し手抜きに見える。」
その言葉に、光也はカチンときた。彼にとってLunaのライブ衣装は完璧で、手抜きだなんてあり得ない。
「そんなことないだろ。あの星のモチーフが彼女らしさを引き立ててると思うけど。」
熱くなりながら打ち込むと、さらに反論が返ってきた。
「推しなら正直に批判もするべきだろ? 盲目的に褒めるだけじゃLunaのためにならない。」
その言葉に、光也は言葉を詰まらせた。確かに推し活にはいろんなスタンスがあると理解していたが、否定的な意見を目の当たりにするのは初めてだった。
他のユーザーたちも次々に意見を交わし始め、チャットは賑やかというより騒がしくなった。光也は次の言葉を打つべきか悩んだが、ふと自分の感情を振り返る。
「俺はLunaを守りたいだけなんだ。でも、それが正しいのか……?」
その時、別のユーザーが間に入った。
「まあまあ、みんな! 推し活の仕方は人それぞれでいいじゃん。大事なのはLunaを応援する気持ちでしょ?」
その一言に場が和らぎ、光也はほっと胸をなで下ろした。しかし、彼の心にはまだざわつきが残っていた。
「同じLuna推しでも、こんなに意見が違うんだな……。」
その夜、光也はベッドに横たわりながら、改めてLunaへの思いを整理しようとした。自分のスタンスを守りながらも、他者の意見を尊重する難しさを初めて感じた日だった。
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