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「僕と世界と推しと」  作者: - 晩26 -
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第5話 - 高まる人気

Lunaの名前は今や、インターネットの枠を超えて広がりつつあった。SNSでは日々、彼女に関する投稿が増え続け、ついには朝の情報番組で特集が組まれるまでになった。


テレビ画面には、Lunaの代表的な動画が映し出される。彼女の明るい笑顔と透き通る声がスタジオに響く中、キャスターたちの声が続く。


「このLunaさん、本当に魅力的ですね!」 「見た目の可愛らしさはもちろんですが、歌声が特にすごいです。癒やされますよね!」


光也は朝食を食べながら、その様子をリビングで見つめていた。母親が横で軽く笑う。


「この子、最近よく見るわね。人気者なんでしょ?」 「……まあ、そうだね。」


光也は曖昧に答えた。胸の奥に複雑な感情が渦巻いていた。自分だけの特別だったLunaが、今では誰もが知る存在になりつつある。その事実に喜びと寂しさが入り交じる。


SNSを開くと、Lunaについての投稿がさらに増えていた。


「Lunaマジで天使!」 「朝から癒やされた~。」 「次のライブ、絶対観たい!」


多くの人が彼女を称賛する一方で、否定的なコメントも目につく。


「これ、全部加工された声でしょ?」 「最近のVtuberってみんな同じ感じじゃない?」


否定的な意見を見るたび、光也の胸には小さな棘が刺さるような感覚が広がる。それでも、彼はスマホを握りしめ、心の中で反論していた。


「違う……Lunaはそんなものじゃない。彼女は特別なんだ。」


その日の夜、Lunaの配信が始まった。コメント欄の流れはこれまで以上に速く、光也のメッセージが拾われる可能性はほとんどない。それでも、彼は何度もメッセージを送る。


「今日も可愛い!」 「ライブ、楽しみにしてるよ!」


画面越しのLunaはいつも通り輝いていた。しかし、彼女の声がいっそう遠く感じられるような気がしてならなかった。


配信が終わると、光也はベッドに横たわりながら、自問自答を始める。


「これで良かったのか……? 人気が出るのは嬉しいはずなのに、なんでこんなに寂しいんだろう。」


Lunaの成長とともに自分の居場所が揺らいでいるような感覚。その夜、彼は答えを見つけることができなかった。

Xにも同時投稿中。X版はイメージ画像付き。

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https://x.com/bank26nt

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