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「僕と世界と推しと」  作者: - 晩26 -
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第1話 - 推しとの日常

山崎光也の日常は、推しVtuber Lunaによって彩られていた。大学の講義を終えた彼は、カフェでバイトを済ませた後、決まってパソコンの前に座る。それは、彼の「Lunaタイム」の始まりだった。


画面の向こうでLunaが微笑む。


「みんな、今日も配信に来てくれてありがとう! 星を集めてキラキラな夜を一緒に作ろうね!」


ピンクのツインテールを揺らしながら、Lunaが手を振る。彼女の声は透き通るようで、どこか温かみがあった。その一言一言が、光也の心に染み渡る。


「今日の新衣装、最高だな……」


光也は小さくつぶやきながら、コメント欄に「衣装めっちゃ似合ってる!」と入力する。数秒後、Lunaの目が画面越しにコメントを拾うようにキラリと輝いた。


「ありがとう、みんな! 可愛いって言ってもらえると嬉しいな!」


その瞬間、光也の心は満たされた。「自分だけを見てくれている」と錯覚するほどの幸福感。それが彼の推し活のすべてだった。


だが、現実もまた容赦なく迫る。コメント欄は膨大な数で流れていき、自分の言葉がほんの一瞬で埋もれていく。彼は手を止め、スクロールするコメントをぼんやりと眺めた。


「Luna、ずっと応援してるよ!」

「リアタイできてよかった!」

「次のグッズ、絶対買う!」


仲間だと感じつつも、どこか違和感があった。「自分だけが特別だ」と信じたい気持ちが、彼を苛んでいた。


そんな中、Lunaの配信が終わると、SNSがさらに活気づく。光也はTLを眺めながら、Lunaの最新投稿を共有し、同じ推しを持つ仲間たちと軽く会話を交わした。


「今日の配信、やっぱり最高だったな」

「衣装可愛すぎて涙出た!」

「来週のイベント、どうする?」


何気ない会話の中でも、光也は「推しの独占」という感情を手放せずにいた。


「なんで俺は、こんなに……」


その感情が苦しみへと変わることを、光也はまだ知らない。ただ、Lunaの笑顔が彼の救いであり、すべてだった。

Xにも同時投稿中。X版はイメージ画像付き。

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https://x.com/bank26nt

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