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プロローグ
『オスの戦略は精子を大量にばら撒くこと、メスの戦略は優秀な雄の精子で受精することと自分と子供の生活を保障させること。
そこから人類の男は多くの女と性行為をして子供を作らせようとし、女は最も魅力的な男を番としてその子を産もうとする。
しかし、現実的にはごく一部の権力者を除いて一夫一婦制とならざるを得ないため、魅力的なオス(アルファオス)は浮気をして精子を番以外のメスにも出そうとし、メスは自分達の生活を保障するオス(ベータ雄オス)を確保しつつ、アルファオスの子供を産むのが最良の戦略となる。
その場合、ベータオスは自らのリソースを他人の遺伝子に与えることとなるため、それを阻止する行動に出る』
「なるほどなあ。
奴らの行動は生物学的に正しい戦略なのか。
ならばベータオスとして適切な行動にでなければなあ」
寝転んで読んでいた生物学の本を横に投げ捨て、大城吾郎は低い声で独り言を言った。