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44話 『特殊』

「じゃあ、次は先輩とナズナ先輩のどっちっすか?」


 ミフユに『知力』とは一般的に『魔力』を意味する事を説明して事なきを得た。

 実際は魔法ではないスキルにも影響する筈なので、単純に『魔力』としてしまうは少々誤りかもしれない。

 だが、恐らくミフユの能力は常時発動のパッシブ型だろう。

 この値が低くとも全く問題ない筈だ。


「あぁ、次は俺が良さそうかな」


 多分、ナズナが一番レベルが高いだろうから絞めとして相応しいだろう。

 と言うよりも、正直最後にショボい結果を公開したくない。


「いいえ。貴方のは少し特殊だから最後にしましょう」


 だが、俺の希望はナズナによって拒否されてしまった。

 ナズナは文字化けしたステータスボードを解析していたので、大体の結果は知っている筈だ。

 その上で俺を最後に回すのはどういう理由だろうか。


 とにかく、ナズナと順番を競う前にナズナはスタスタとミフユと場所を交換し、あっさりとステータスボードをヤスタカの前に表示させた。

 今はその結果に集中しよう。


「は? レベル156? 何を倒したらこうなるんだよ」


 思ったよりナズナのレベルはずば抜けていた。

 ここまでミフユ達とレベル差があるとすると、最初からある程度レベルが高かった説ではなく、モンスターが大量の経験値を持っている――つまり、モンスター自体が尋常ではないレベルを持っていると考えて良いだろう。


「あの踊り場の悪魔だな」


「なんだか格好いい様でいて微妙な2つ名の悪魔じゃないか」


 そんなつもりで言ったわけではなかったのだが、固有名称や具体的な種族名が出てこなかったので、頭の中で呼んでいただけだ。

 あえて区別するならば何になるだろうか。

 少なくともアークデーモンよりは各が上だとは思う。


「カラス頭の悪魔だったわね。そこから考えるとソロモンの悪魔のマルファスとかかしらね。でも、悪魔の外見の見解は諸々あるし、こんな世界だもの。単純に有名どころかもしれないわね。ベルフェゴールとかサタンとか」


 割りと一般人である片岡さんが、「マルファス?」と頭を捻っていたが、『ベルフェゴール』や『サタン』辺りでは「聞いた事があるかも」と呟いていた。


「とりあえず名前はどうでも良いとして、それだけの上級モンスターだったなら真っ当な方法じゃ無理だったろうな」


「なんか裏技でも見つけたんだろ。全く、お前らしいな」


 これはゲームの話だが、別にわざわざ裏技を探している訳ではない。

 偶々、できそうだと思った操作をしてみると、偶々、成功する事が多いだけだ。


「とにかくだ。そのレベルで得られた結果はどうだったんだ?」


「あぁー、そうだな。このレベルだから全体的に数値は高いんだが、『知力』……『魔力』だったな――それが飛び抜けて高い。それも恐らく職業が『魔法使い』だからだろう」


「魔法使い! 王道っすね」


 ナズナのステータスは、案外レベルが高いだけで内容は予想通りの結果だったようだ。

 残すところはナズナが特殊だと言った俺のステータスの結果だ。


 正直、普通に考えれば俺のレベルは低いのではないかと思っている。

 何せ1体もモンスターを倒していない。

 しかし、それにも関わらずステータスボードがあるのがこれまでずっと気になっていた。


 一応、自分の感覚を無視して考えるならば、記憶が無い世界のアップデート時期に、実はモンスターを倒していた可能性だ。

 そんな初期にそんなことをしでかしていたのだとすると、何かしらのボーナスでパラメータが最強レベルで高いという事もあるかもしれない。


「ほら、じゃあ最後だ。俺のも頼む」


 俺は目の前に出現させたステータスボードを掴むと、そのままテーブル越しにヤスタカに渡す。


「あぁ。って、お前何さらっと掴んでるんだ? そんなことできるのか? これ」


 ヤスタカは俺のステータスボードを受け取らず、ヤスタカ自身のステータスボードを動かそうとするが、ナズナ達の時と同じで全く動いていない。

 個人的には、明らかに目の前にあるのに掴んで動かせないのかが判らない。

 そもそも、手で掴む必要自体も本来全くなく、念じるだけでヤスタカの前に持っていく事も可能なわけだが、こちらの方であれば未知の感覚なので出来なくても理解はできる。


「この人が異常なのは貴方も知っているでしょ。もっとも、それができる職業ってことじゃないかしら」


 確かに、ヤスタカもステータスボードの解析が出来ることをさも常識のように考えていた。

 となると、ナズナの考察は論理的にも正常で恐らく正しいだろう。


「それもそうだな。えーと、ハヤトのステータスは………ん? バグか? レベルもパラメータも全部1なんだが……」


 なんだ。結局低い方だったか。

 パラメータの初期値も全部1って言うのもあまり聞かないが、別に無い訳ではない。

 問題はステータスボードを取得した理由が全く説明つかなってしまったことだ。

 残す可能性としては、レベルが1も上がらない様な雑魚モンスターを倒したということだろうか。


「一応、1体も倒していないからな。半分予想してた。で、職業の方はどうなってるんだ?」


 もう1つ気になっているのは、『修正パッチ』も持っていないことだ。

 レベルは予想を裏切ることがなかったので、職業の方も『初心者』とか『一般人』とか『学生』になるのではないだろうか。

 流石に『無職』は止めて貰いたいところだが。


「あ、あぁ。なんか釈然としないが、職業は『魔術師』。神薙さんとお揃いだな」

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