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境界線の狭間で  作者: 幸せのタネ
1/1

目覚め

初投稿です。2日に1回くらいのペースでの更新頑張ります

1


木漏れ日に照らされて目が覚めた。

周りには鬱蒼と生い茂る木々が立ち並んでいる。


「ここは…?」

男は思わず独りごち立ち上がった。しかし、辺りには誰も居ないのか返事が返って来ることは無かった。


「何なんだ一体…」

男はまだ混乱している頭で現状を確認するために、まずは安全な場所を探す事にした。


幸いな事に少し歩いた所で簡素な小屋を見つける事が出来た。

「おい!誰かいないか!?道に迷っているんだ!開けてくれないか!?」と呼びかけるが反応はない。男は再度呼びかけながらドアを叩く。


バキッ


長年放置されていたのであろうか木でできたドアは朽ちており叩いた衝撃で壊れてしまった。

男は若干の申し訳なさを感じながら中に入る。

「うっ…随分と埃っぽいな…」

小屋の中はかなり埃が積もっており、長い期間放置されている事を物語っている。


「まぁ贅沢を言っていてもしょうがないか…」

男は仏頂面でそう言いながら部屋の中を見渡した。

「生活に使えそうな物は残っているな…前に住んでいたヤツには申し訳ないがここでしばらく過ごすとするか」

部屋の中には汚いながらも椅子や机、ベットまであった。


男は埃を払いながら椅子に腰かける。

「しかしここは一体どこなんだ?何も思い出せない…」そう言いながら考え出す男。

頬を撫でる風で思考から開放される。

「そう言えばさっきドアを壊してしまったんだな…何かドアの代わりとまでは行かないが風を防げるものは無いだろうか」

男はそう言いながら部屋の中を見渡す。


「あまりやりたくは無いが…仕方がない」

男はおもむろに劣化が進んでいる床に手を伸ばし引き剥がそうと力を入れた。


思ったよりも簡単に剥がれてしまった床に驚きながら持ち上げようと木の板に手を掛けた。

「何だこれは…!?」

剥がした床の下には階段が続いており下に空間が有ることを示していた。

男は驚き動きを止める。また、思考の渦に呑まれそうになるが何とか踏み留まりまずは目的を達成すべく手にした板をドアがあった場所へ立て掛けた。


「どうしたものか…」

男はあからさまに混乱していた。

何故こんな所に階段があるのか、誰が何の為にここへ作ったのか。もしかしたら何かの罠なのでは無いかとまでも考えた。しかし、男はそれこそ何の為の罠なのだと考え、直ぐにその考えを頭から消した。


結果、男は階段を降りてみることにした。

階段の下がどんな場所なのかは分からないが、そもそもこの小屋だって安全とは言いきれない。階段の下に何があるのか分からない状態でここを拠点とするのは危険だと判断した。

それに、男は少し興味を感じたのだ。こんな森の中にポツンと建っている小屋に隠されるようにしていた階段。誰が何の目的で作り何を隠しているのかが。


「よし」

男は覚悟を決め階段を降り始めた。

足音を反響させながらゆっくりと階段を進んでいく。階段はかなり長く明かりも無いため真っ暗だったがしばらく進んで行くと遠くに人工的な明かりが見えた。


「何なんだここは…」

階段を降りきった男が目にしたのは人工的に作られた広い空間だった。教会のような、研究所のような不思議で不気味な雰囲気を醸し出している。

中央には玉座のような物があり何かの儀式を行っていた様であった。


「不気味な所だな…だが何故かあまり嫌な感じはしない…」男はそう言いながら辺りを歩き始めた。


そこで男は水が流れているのを見つける。

特に喉が乾いていたわけでは無いが目に付いたので近付いてみる。

「石のような物から水が流れているのか?」

水は常に流れ続けていておそらく綺麗なのではないかと感じた。

起きたら土の上に寝ていただけあって付いていた土を洗い流すために男は水を覗き込んだ。


見ずに反射した男の容姿は短く切られた黒髪で紫色の目をしており整った顔付きであることが分かった。

「何だこれ…変な模様が書いてあるな」

腕を洗うために服の袖をまくると幾何学模様の様な物が描かれておりそれは心臓のある位置から四肢まで繋がっている事が分かった。


「ふぅ…スッキリしたな」

一通り気になる所を洗い終えた男は次に中心にある玉座のような場所へ向かった。


床には玉座を中心として魔法陣のような物が描かれていた。

「ここにも何か書かれているのか…俺の体に書いてあるもののと似ているな」

男は床に書いてある模様を指でなぞりながら呟いた。

「ここを作ったヤツは一体何をしたかったんだ…?」

そう言いながら男は折角だと思い玉座に腰かけてみる事にした。


「うわっ!冷た!」

腰掛けた玉座は何故かとても冷たく寒気がする程であった。

「なんなんだよこの椅子…」

驚いて立ち上がった男は愚痴を言うように呟きながら、また歩き始めた。


「特に何も無いな…」

まだ先程の寒さが残っているような気がして男は腕を擦りながら歩いていた。

「お、丁度いいものがあった」

男は床にローブの様な物が落ちているのを見つけそれを羽織った。

「恐くこの小屋の持ち主のものだろうが…どうせ戻っては来ないだろう。有難く頂くぞ。」


「ここからどうしたものか」

粗方散策し尽くし男は次に何をすべきかを考え始めた。

「最初はここに留まろうとも考えていたが…ドアも壊して隠し部屋のようなものまで見つけてしまったしな、万が一持ち主が帰ってきたら困る」

「となると…まずはここから出て行くとしようか」

男がそう言いながら歩みを進めていると

『…ロセ』

「ん…?今何か聞こえた気が」

男は辺りを見渡すが何も居ない

「確かに何か聞こえたような気がしたが…気のせいか」

自分の気の所為かと考え再び歩き始める男。

もう少しで階段に差し掛かるというところでまた再び声が聞こえた。

『ロセ…!』

「やはり何かが聞こえる…!誰だ!姿を見せろ!」

男は戦闘体勢に入りながら大声で叫ぶがやはり何もいなかった。

「また声が聞こえた…ここは何かがおかしい…!早くここから離れなくては!」

男は焦燥を感じながら出口に向かって走り始めた。その時

『スベテヲコロセ!』


「ぐっ!?うぅ…!頭が割れる…!」

声が先程までよりハッキリ聞こえると男はに激しい頭痛が走り始めた。

「こ…ここは…まずい…!」

男は明確な危機を感じ痛む頭を抑えながら階段を駆け上がった。


「はぁ…はぁ…何だったんだ一体…」

階段を登りきる頃には頭痛も収まり思考が回るようになっていた。

男の額には汗が滲んでおり先程の苦痛を物語っている。

男は汗を拭い息を整えた。


「さっき聞こえた声の主が何者なのかは分からないが、アイツは明確に俺に敵意を向けていた…!」

「ここでは無いどこが安全な場所を探さなくては…!」

男はそう考え歩き始めた。


「またあんなヤツに目をつけられては堪らない…多くのセイブツの中に身を隠さなければ…」

そう呟きながら男は歩き出した。

この時男の目が最初に見た時よりも赤に近づいていたのは誰も知る由もなかった。


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