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コング君と月下美人の独白

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すごく励みになります!感謝です!


それでは、本編をどうぞ!




 《美咲視点》




 「すいません!皆さんお待たせしました!」

 「全然待ってませんよ。ところで・・・その前にしがみついてる冬華ちゃんと後ろにしがみついてる紗ゆり姉さんはどうしたの?」

 「スーパー高い高いで幼児退行してるみたいですよ♪可愛いでしょ♪」

 「「ミクちゃん、ほっといて!」」

 「うふふ♪そうね♪それじゃ帰りましょうか。」

 「美咲さんもお待たせしました。お疲れの所すいません。」

 「い、いえ!大丈夫です!」




 私は栗田(くりた 美咲(みさき。今年で23歳にななります。神原高校に在学中に当時付き合っていた年上の彼氏との間に子供が出来て、何とか卒業はしてその彼氏と結婚しました。


 主人は、最初の1年は優しくしてくれました。少し、強面ですが幸せだったんです。ですが・・・それは、主人のお芝居でした。主人は徐々に本性を表していきました。最初は暴言、段々に叩かれるようになり・・・幼い娘にも手をあげてきました。


 もちろん、実家に助けを求めました。実家の父は市議会議員をやっていましたが・・・どうやら、何らかの不正をしていたみたいで、主人は私の実家を脅迫していました。父からは勘当を言い渡され、家に上がる事も、私達を助ける事もしませんでした。主人は脅迫をして金銭と私達を手に入れたのです。警察に駆け込もうとしましたが・・・主人のお仲間には警察の方もいらして・・・助けてもらうことも出来なかったのです。


 最近はお仲間の人が毎日日替りで家に来て・・・その・・・私を犯していきます・・・主人は私の痴態を肴にお酒を飲み、反抗的な態度をとれば殴り、蹴り、娘にも手を・・・


 私は・・・絶望していました。このまま、私はこの人間のクズのそばで家畜よりひどい扱いを受けながら死んでいくんだ・・・


 私はいいんです・・・若気の至りとはいえ、確かに主人と愛し合いました。男を見る目もなく、ただ見た目と甘い言葉に騙され、主人の本質に気づかなかった自分が悪いのです。


 でも、娘の美雪(みゆきは助けたい・・・馬鹿な母親と人間のクズの父親のせいで生まれてきた事を後悔して欲しくない。

 そう思いながらも、助ける(すべが見つからず、ただ地獄の日々を無為に過ごしていました。

 そんなときに、娘が言ったのです。


 『わたし・・・しにたい・・・』


 心臓が張り裂けそうになりました。娘は・・・わずか5歳の娘は・・・既に絶望の中にいました。


 えぇ・・・そうです。私達は悪魔達の暴力から逃げて家から出て来たのではなく・・・死ぬつもりで出て来たのです。


 それでも、せめて最後に楽しい記憶をつくってあげようと母校の学園祭に来ました。神原高校の学園祭は本当に楽しいイベントで、在学中も毎年楽しみにしていました・・・ここなら美雪に楽しい記憶を持たせてあげられる。


 来場すると、十代の若い熱気に包まれた夢のような空間がひろがっていました。いえ、私の青春時代の甘くて希望に満ちた頃を思う望郷の念のようなものかもしれません。


 『ご来場ありがとうございます♪小さなお子様連れのお客様は是非、第一体育館にお越し下さい♪我が神原高校の誇るヒーローのコング君と遊べます♪是非♪』


 校門をくぐった先にある受付の可愛らしい女子生徒が勧めてくれます。


 コング君・・・物凄く大きな男の子で保育園に通う子供や、この街の人達から慕われているという事は私も知っています。彼は有名ですから・・・主人の仲間の人達も彼には近づかないようにしてるようでしたし・・・私も話だけでお会いした事はありませんが。


 『ママ・・・わたし、コングくんにあいたい!・・・だめ?』


 いつも、決してわがままを言わない美雪が私にお願いしてきます。遠慮がちに恐る恐る・・・私は泣きそうになりました。まだまだ幼い我が子が実の母親に気軽にわがままも言えないほど追い込んでしまっている事に・・・


 『もちろんよ!美雪!コング君に会いに行きましょ!』

 『うん!ママ・・・ありがとう!』


 久しぶりに・・・ひょっとしたら初めてかもしれない娘の満面の笑顔を見て、私も涙が出そうなほど嬉しくなりました。


 学園祭に来て良かった・・・楽しい記憶をあげられる・・・


 心の中で呟き、私達は第一体育館に向かいました。

 体育館に入ると、30人位の美雪と同じくらいの子供達と、その父兄がいました。中にはご夫婦で来場されてるご家族もいます・・・羨ましい・・・あそこのご家庭はきっと幸せなんだろう・・・私が夢見ていた幸せな未来を掴んだ人達の中にいて、私はいたたまれなくなります。それでも、隣で私の手を握る小さな娘の手が私を暗い気持ちから拾いあげてくれます。

 私にはこの子がいるんだ・・・せめて今だけは幸せな記憶をこの子に・・・


 イベントが始まりました。颯爽と入場してきたコング君は物凄く大きくて、格好よくて・・・そして、純粋で優しい目をしていました。私は・・・彼に一目惚れしていました。


 ・・・彼が私の恋人だったら

 ・・・彼が美雪の父になってくれたら

 ・・・彼のそばにいられたら・・・


 他愛もない夢物語を思い・・・現実の今にも無理心中をしようとしている自分を見て・・・その水泡がポツポツとはぜては消えていきます


 消える前に彼を見れて良かった・・・彼には迷惑かもしれないけど消える間際まで・・・貴方を好きでいさせて下さい・・・


 また、心の中で呟き・・・まるで十代の乙女のように彼を見ます


 コング君の肩の上に他の子供達と乗る美雪に手を振りながら、キラキラの笑顔を見せる美雪の姿を脳裏に焼きつけます。きっと、明日には私と美雪はこの世界には居ないでしょうから・・・


 『はーい♪コング君の肩にお父さんや、お母さんと乗りたいお友達はこっちにおいで♪コング君がお父さんや、お母さんと乗せてくれるって!』


 また、子供達はそれぞれの両親の元にいきます。私も彼に触れたい・・・浅ましいくて卑しい女ですね私は・・・ただ、見ているだけじゃ物足りず彼に触れたいなんて・・・


 『ねぇ、ママ・・・わたしもママとコングくんにのりたい。』

 『え?美雪?』

 『・・・ママもたのしいおもいでをもってほしい・・・きっと・・・ママとのたのしいおもいではさいごだから・・・』


 美雪は頭のいい子です。明日には自分達がいない事をわかってる・・・その上で、私にも楽しい記憶をもって欲しいって・・・


 『うん・・・美雪、一緒に乗せて貰おう・・・ありがとう美雪・・・美雪のママでいれて嬉しいよ。』

 『ううん・・・わたしもママのこどもでうれしいよ。』

 『行こう?』

 『うん!』


 私達は順番を待つ列に並びます。私は美雪の母になれて心から感謝します。そして、この子を救えなかった自分を許せない・・・ごめんね・・・美雪・・・


 私達の番になりました。コング君は私達をその優しい眼差しで見つめると、お友達の男の子に携帯を持ってきてもらいます。

 何かあったの?心の中に少し疑問がありましたが彼の優しい眼差しと包み込むような優しい声音に不安は消えました。


 『それじゃ、お母さんは僕の肩に乗って下さい。』

 『は、はい・・・失礼します・・・』


 彼の肩に乗り美雪を抱き締めると、彼は立ち上がり歩き始めます・・・夢のようです。一目惚れをした優しい彼の肩に乗せて貰え、大事な娘を私の懐に抱き締めている・・・この時間が永遠に続けばいいのに・・・少し歩き出して他の人達が離れた時に彼は私を見上げながら


 『お母さん・・・お聞きしてもいいですか?』

 『は、はい・・・』


 彼は、私と美雪の身体にある痣に気づいてました。そして、それがどういった痣なのかも・・・私は彼の優しい声音とその眼差しにつられて、今の私達の現状を話してしまいました・・・もちろん、死のうとしている事は伏せて。


 『つらい事をお聞きしてすいません。』


 彼はそう言うと前を歩いていた可愛らしい女の子に声をかけてます。そして・・・


 『必ず助けます!・・・大丈夫です!・・・美咲さんと美雪ちゃんを必ず救います!』


 私は・・・涙が零れてました、救ってくれる?本当に?この優しい年下の男の子が私達を・・・それが叶うなら・・・いえ、例え叶わなくても・・・私はこの身体も心も全て貴方に・・・私は・・・


 『あぁ・・・信じていいんですか・・・助けて下さい・・・助けて!!』

 『はい!!』


 その後、可愛らしい女の子に連れられ、彼と同居している義理のお母様と非番でいらした可愛い婦警さんに会いました。


 『唯先輩?』

 『美咲ちゃんだったんですね・・・学生の時以来ですね。』

 『え?唯先輩が彼の義理のお母様?』

 『そうです。』

 『では・・・彼は・・・コング君は・・・須佐くん?』

 『そうですよ・・・そうでしたね。貴女も彼の子供の時に会っていましたね。見違えたでしょ?今の須佐は物凄く格好良くなりましたから・・・』

 『は、はい・・・本当に・・・』

 『クスッ・・・どうですか?初恋の相手の成長した姿は。』

 『せ、先輩!』

 『まぁ、おいおい話してきましょう?・・・貴女なら充分資格がありますから。』

 『?は、はい?』

 『唯さん、ひょっとして?』

 『えぇ、真琴ちゃんそうですよ。』

 『わぁ♪私、北島 真琴です!22才です!警察官です!これからよろしくお願いします!仲良くして下さい♪』

 『えっ!あっ、はい、く、栗田 美咲です。それと娘の美雪です。よ、よろしくお願いします。』

 『よろしくね♪美雪ちゃん♪』


 満面の笑顔で美雪と握手する真琴さんと、それを優しく見ている唯先輩・・・何か凄く安心している自分がいます


 『さぁ、美咲ちゃん、まずは警察がきますから詳しい話は後程・・・貴女を必ず助けますから!』

 『あ、ありがとうございます!先輩!あ・・・ありがとう・・・ござ・・・グスッ』

 『ほらほら・・・折角の美人が泣いちゃ勿体ないですよ?ねっ。』

 『はい・・・はい・・・』


 唯先輩は、私が泣き止むまで抱き締めてくれました・・・久しぶりに再会した先輩は凛々しくて優しい、あの頃と変わらない女性でした・・・




 


お読みいただきありがとうございました!

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