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コング君と麗しの生徒会長



 《須佐視点》



 今日の午後は学園祭の準備です。うちの学校は放課後遅くまで残ることを禁止するかわりに学園祭の二週前から午後は学園祭の準備にあたります。学園祭の二週間前になると段々とお祭り準備の喧騒と熱気が溢れてきます。そもそもこの学校の生徒はお祭り騒ぎが大好きな人が多いのです。昔から「神原高校の学園祭は生徒の熱気が他とは違う」「類いまれなるばか騒ぎの二日間」「祭り好きしかいない学校」と、近隣の住人の皆様はそうおっしゃいます。


 かくいう僕も神原高校の学園祭は大好きです。焼きそばやたこ焼き、クレープにリンゴ飴、フランクフルト・・・食べ物の充実ぶりもすごいですがお化け屋敷やメイド・執事喫茶、的当てや輪投げ何かのゲームも充実。各クラスが力を入れています。何故なら売り上げの仕入れ値を引いた金額は1割だけ福祉施設に学校から寄付して、残りは全てそれぞれのクラスの打ち上げにあてる事が出来るからです。学園長の意向で「お金を稼ぐ楽しみを学べば仕事も楽しくなる。」「街の人が使ってくれたお金は街で使いましょう。」ということだそうです。だから、この熱気は当たり前かな。ちなみに、打ち上げ場所は大城市の中に限ります。僕たちのクラスはカラオケになっていたはず。そんなわけで今日も準備に勤しみます。


 「須佐君焼きそばのレシピ持ってきてくれた?」

 「はい、これ。ちゃんと予算内で美味しくて満足いって売上が出るように考えてきたよ。仕入れは商店街に行けば大丈夫だよ。全部売ってるから。」

 「ありがとー!うちのクラスの(コング君特製焼きそば)なら売上倍増間違いなし!すぐに試作してみるよ。」

 「2日目は僕も調理に1日参加するから、1日目は委員長やみんなよろしくね。」

 「そうだった!1日目は須佐君朝からいないんだった!須佐君こそ1日目頑張ってね!こっちはまかせて!皆で頑張るから!」


 やたら元気な我がクラスの東雲(しののめ(かおる委員長がレシピを持って調理室に向かって行きます。それと入れ替わりに隣のクラスの委員長が


 「コング、頼んでおいたたこ焼きのレシピ出来た?」

 「あるよ。はい。きれいな丸にするには練習だからね!頑張って。」

 「すまねぇ!助かる!当日差し入れるからな。」


 そう言って彼は自分のクラスに戻って行きました。えっ?何しているかって?実は今回の学園祭。2年1組から5組まで全部僕のレシピの料理が出ます!去年の学園祭で、僕のレシピで作った焼きそばが大人気で、その話を聞きつけた他のクラスが「是非ともコング君のレシピと指導をお願いします!!」と言ってきたのでした。

 1組の焼きそばに始まり2組たこ焼き、3組お好み焼き、4組揚げピザ、5組のメイド喫茶のパンケーキとクッキーまで僕のレシピ。フッフッフッ、たくさんの人が僕のレシピで料理を食べる・・・楽しいぃぃぃ!ウキウキが止まりません。


 「・・・須佐!ニタニタ気持ち悪いよ!」

 「おっと、まずいまずい。」

 「まったく。料理を食べてもらえるのが嬉しいのはわかったから。」


 そう言ってミクと才斗が呆れ顔でやって来ました。ちなみにふたりは同じクラスです。


 「だってぇ、嬉しいんだよ!・・・ところでふたりは実行委員会の会議だったでしょ?終わったの?」


 お祭り騒ぎが特に大好きなミクと全校生徒(特に女子)に絶大な人気を誇る才斗は当然のように学園祭実行委員なのです。確か今日は会議だったはず・・・。


 「あぁ、会議は終わったよ。それから須佐にお客さんだよ。挨拶だって。」

 「挨拶?」


不思議に思いながら廊下に出るとそこにいたのは我が神原高校の生徒会長の白峰(しらみね冬華(とうか先輩が立っていました。先輩は成績優秀、品行方正、眉目秀麗、キレイなストレートのロングヘアにミクと比べても変わらない小柄な体格「ん?何か失礼な事思いました?」「イエ、ナニモ」アイドルより可愛くて綺麗な美人さんです。胸がちょっと残念「やっぱり失礼なこと・・・」「オモッテマセン」そんな大人気美人生徒会長が僕に挨拶に?


 「近藤須佐くん、3年1組の白峰冬華です。生徒会長をつとめています。」

 「はい、存じ上げてます。2年1組、近藤須佐です。」

 「今回の学園祭はこちらの無理なお願いを聞き届けていただき、ありがとうございます。当日は私も進行とサポートに入りますのでよろしくお願いいたします。」

 「え?そうなんですか?それは心強いです。まだ、何をやるのか漠然としか聞いていませんが、白峰会長がそばに居ていただければ安心です。」

 「あの、近藤君、私の事は冬華とお呼びください。私も須佐くんとお呼びしますので。」

 「いや、ですが白峰「冬華」」

 「し「と・う・か」」

 「「・・・・・・・・・・・・」」

 「冬華先輩・・・」

 「先輩はいらないんですが、まぁいいでしょう。須佐くん当日はよろしくお願いしますね。」

 「・・・はい、よろしくお願いします。冬華先輩。」


 何か印象がちょっと初めて話したときと違うなぁ、もっと大人っぽかった気がするんだけど?

 ニッコリ笑う冬華先輩を見ながらでも、かわいいからいいやと思う僕なのでした。






 《ミク&冬華&才斗会話》



 「どう?久しぶりに話した感想は?」

 「ドキドキしたぁ。ミクちゃん。わたしおかしくなかった?」

 「大丈夫よ。しかし、まだ須佐は気付かないの?あの超絶鈍感!」

 「いや、無理だろ!俺も気付かなかったし。」

 「才斗も鈍すぎ!・・・でも、学園祭最終日の夜よ。もう、覚悟は出来た?」

 「・・・うん。大丈夫。このためにわたしは帰ってきたんだもん。・・・ミクちゃんはどう?覚悟は出来た?」

 「もちろんよ。回り道したけどね。とっくに覚悟はできてるよ。」

 「まぁふたりとも頑張んなよ。・・・それに学園祭も最高の思い出になるように手伝うからさ。」

 「・・・何企んでるの?才斗?」

 「まぁ、とりあえずふたりは須佐にぎゅっと抱き締めてもらえるよ。確実に。」

 「ふぇぇぇぇぇえ?!」「ちょょょょっっっっとぉぉぉぉ!」

 「まぁ、楽しみにしててよ。(漏らさないでね)」

 「「何か言った?」」

 「いえ何も。」




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