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コング君と夜の蝶と過去

皆様ブックマーク・評価ありがとうございます。


それでは、本編ありがとうございます。




《美亜視点》




 お兄さん・・・須佐くんが桜の娘の楓ちゃんを抱っこしてお布団に連れて行った。そのあとに料理を作ってくれるって。何か料理をするのがすごい好きらしい。


 はぁ・・・いい男になったなぁ。昔の須佐くんは大人しくて、本を読んだり、花を見てたりしてた。小学校の彼と遊んだこともあるよ。あの時は、確か家で酔っ払ったお父さんに何時ものように殴られ、蹴られて河川敷で、1人で泣いていた時に、須佐くんが虫取網を持ってテクテク歩いて来たんだ。


 『うーん、いないです・・・』


 昔の須佐くんは、同じ年の子達よりちょっと背が高いだけで、ヒョロってしてて、筋肉もそんなについてなかったなぁ。


 『・・・ボク?どうしたの?何か探し物?』


 涙を拭いてから、河川敷をウロウロ歩く須佐くんが気になって声を掛けたんだっけ。


 『あっ!おねえさんこんにちはです。』


 こっちの顔を見てニッコリ笑いながら挨拶してくれた小学生の須佐くんは何をしていたかゆっくり話してくれます。


 『ちょうちょさんをさがしてるです。みくちゃんが、ちょうちょさんがすごくきれいっていってたからぼくもちかくでみたいです。』

 『蝶々?うーん、あっちの花壇にいるかもしれないよ?』

 『わぁ、ありがとうです!いってみるです!』


 屈託なく笑う須佐くんはキラキラしてて、嫌な事があった私の心を癒してくれたんだ。もうちょっと癒されたい私は


 『お姉ちゃんも一緒に探してあげる♪』


 そんなことを言いながら須佐くんのあとをついて行ったんだっけ。無事に蝶々を見つけた須佐くんは珍しくおおはしゃぎで蝶々を追いかけてたよ。


 『うふぁ!きれいです!すごいきれいです!』


 網に捕まえた蝶々をキラキラした目で眺めながら歓声をあげていて、私の心はまた、癒されたよ。


 『ボク?虫かごはどうしたの?蝶々逃げちゃうよ?』


 虫かごを持たずに虫取なんて可笑しいなって思ってたけど


 『むしかごないです。』

 『え?蝶々欲しかったんじゃないの?』

 『ちょうちょさんせまいむしかごのなかはかわいそうです。ボクはきれいなちょうちょさんをみたかっただけです。』


 そう言って、須佐くんは蝶々を逃がしました。


 『うーんちょうちょさんありがとうです!おそらをとんでるちょうちょさんがいちばんきれいです!』


 変わった子だなぁって思って、蝶々にお礼を言ってる須佐くんを見てました。


 『おねえさん、ありがとうです!ボクはこんどう すさです!

きれいなちょうちょをみれてうれしいです!』

 『どういたしまして♪』


 それから、唯の通う道場の子だと知ってたまに、唯と一緒に勉強をみたり遊んだりしたんだ。あの頃の私と、今の私は本当に全然見た目が違うから気づかないのは当然だけど、覚えてるかな?須佐くん・・・




 「ねぇ、美亜ちゃん。こんなこと聞くのは心苦しいんだけど・・・今、何してるの?」


 唯は何かを察してるんだなぁ。わかってる、でも言わなきゃ。須佐くんにせっかく会わせて貰ったんだから。


 「私ね、高校3年の夏に集団レ〇プされたじゃない?犯人は全員捕まったけど。ろくでなしだった父さんが死んでからすぐにそんな事件が起こって、母さんと私は遠い親戚を頼って引っ越したんだ。でもね、静養していたその家で、また私はその家のおじさんに襲われてね・・・笑っちゃうよね、心を癒しに来て潰されるって・・・母さんと私はすぐにその家を出たんだけど。母さんはもう、私が傷つく事に耐えれなかった。・・・母さんは自ら命を・・・それから私は東京に出たよ。でもさ、高校中退だからさ。仕事なくてね。母さんの葬式の借金もあったから・・・身体を売ったよ。襲われたせいで汚れた身体だから、もう諦めたよ。

 それから、ずっと風俗で孃をやってるよ。・・・今も。

 ごめんね・・・ホントはこんな汚れちゃった私がみんなに会う資格なんてないのに、須佐くんと真琴ちゃんに励まされて・・・きちゃった。」


 私の過去・・・汚れて堕ちた私の過去。ぐちゃぐちゃになって、全部失って・・・本当は、嫌だった。知らない男に抱かれる度に何かを失ってきた。燃えかすの、残りかすになった私・・・このまま消えてなくなるつもりだった。でもね・・・大事な、親友達の事だけは、私の心の中から無くならなかった。

 みんな・・・ごめんね。変わっちゃって・・・



 「美亜・・・頑張ったね。よく頑張った!」


 紗ゆりさんが抱き締めてくる。優しく強く労うように。


 「美亜ぁ・・・グスッ、グスッえーん!」


 私の腕にしがみつきながら澪がまた泣いてる、子供みたいに。


 「美亜ちゃぁん、もう、大丈夫だからぁ・・・グスッ」


 理穂が片方の腕に抱きついて離れない、それが当然のように。


 「美亜ちゃんは何も変わってないよぉ・・・ひっくっ」


 桜が私は変わってないって言ってくれる当たり前のように。


 「美亜ちゃんのバカ!私達はね、ずっと親友なの!いつでも会いに来ていいの!美亜ちゃんを護るの!幸せになるの!もう2度と資格ないなんて言わないで!お願い!」


 唯が私を優しく叱りながら懇願する。それが私達の意志だって強く強く私の心に染み込むように・・・。



 「うん・・・みんな・・・ありがとう・・・大好き!」


 須佐くんが言ってた私達の絆それは確かに感じて、今までよりずっと強くなった気がするよ。



 「良かったですぅ・・・美亜さん・・・グスッ」


 そばで見ていた真琴ちゃんが涙を流しながら笑顔で私の手を握ってくれた。


 「真琴ちゃんありがとう。ちゃんとみんなの所に帰ってこれたよ。」

「いいんです!美亜さんがキラキラの笑顔で嬉しいですぅ!わーん!!!」


 もう、真琴ちゃん。本当にいい子なんだから。私は真琴ちゃんを引き寄せてぎゅって抱き締めて背中を撫でてあげます。


 「ありがとー真琴ちゃん♪ほらほら泣かないで?須佐くんにひかれちゃうよ?」

 「ううぅ・・・グスッはいぃぃぃ・・・」


 気づいたら真琴ちゃんと私を包むように皆が抱き締めてくれてます。・・・あぁ、私は本当にみんなの所に戻って来たんだなぁ・・・。



 少し落ち着いて、みんなでお酒を呑みながら笑いあい、この7年間、夢見たことが現実になったことが嘘みたいで・・・


 「美亜ちゃん、須佐くんの料理どう?」

 「何これ?めちゃくちゃ美味しいんだけど!」


 須佐くんの作ってくれたご馳走は、ビックリするくらい美味しいんだけど・・・お店で出てきても違和感ないよ!お金取れるよコレ。


 「すごいですね!想像よりずっと美味しい!」

 「真琴ちゃん♪良かったね♪愛しの須佐くんの料理食べれて♪」

 「は、はい!・・・って!まだ好きとか何も・・・!」

 「えーと?真琴ちゃん?隠す気ないと言うか隠せてないよ?須佐くんだけだよ?わかってないの。」


 超鈍感男の須佐くん以外はみんな気づいたよ?わかりやすく恋する乙女になってるんだから、かわいいなぁ真琴ちゃん♪

 しかし・・・あれ?みんなそうなの?ちょっとハイスペックなライバル多くない?さすが、須佐くん!じゃなくて、ヤバイなぁ・・・私も諦めたくないんだけどなぁ・・・


 「美亜ちゃん♪大丈夫だよぉ♪ライバルじゃないよぉ?私達はどちらかと言うとぉ・・・な・か・ま♪」


 ヤバッ!理穂にば、バレた!・・・え?でも仲間?


 「理穂、それってどういう・・・「お待たせしました!ピザとトンカツと玉子焼きです!」」


 須佐くんが料理を持って入ってきました。あっ!ちょっと、今、理穂に聞こうと・・・理穂が私の方を見てウインクしながら「あとでね♪」と口パクで伝えてきました。

 何?何なの?何があるの?


 「あぁ、ありがとう。須佐。汗かいたでしょう?お風呂に入って汗を流してきなさい。」

 「え?いいんですか?」

 「お酌わぁ、お風呂出てから付き合って?」

 「でも、お客さんの美亜さんと真琴さんをお先に・・・」

 「今から、女だけの秘密のお話なの!それとも、須佐くん。まざる?女装して。」

 「・・・お風呂行ってきます!美亜さん、真琴さんお先にすいません。」

 「ううん!行ってらっしゃい。」

 「いえ!行ってらっしゃい!」


 須佐くんがそそくさとお風呂に向かいます。間違いなく、何か須佐くんに聞かれたくない話だね?さっきの仲間ってことね、きっと。




 「さて・・・美亜ちゃん、真琴ちゃん・・・」





お読みいただきありがとうございます。

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