コング君と夜の蝶の想い
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涙が出るほど嬉しいです!
それでは本編どうぞ♪
《須佐視点》
交番で事情聴取が終わりました。寺嶋さんはストーカーのおじさんを聴取してるそうです。寺嶋さんから電話で
「遅くまでありがとな。北島がもう上がりだから車で送って貰ってくれ。」
だそうです。確かに時刻は10時。これから美亜さんを送って・・・何てしてたら日付変わっちゃいます。
「すいません、真琴さん良いですか?」
「もちろんだよ♪ちょっと待ってて着替えて来るから!」
ふぅ、良かった、送って貰えるみたいです。帰ったら卵焼きを作って理穂さんのお酌して・・・あっ!そうだ、真琴さん、明日お休みって言ってたから唯さんとかとお酒呑んでみたら良いんじゃないかな?唯さんも警察に指導に行くから顔合わせ的な?感じで、あと僕の料理食べてくれる人が増える!うふふ、うふふ。
「ど、どしたの?お兄さん?」
「あっ!何でもないです。」
また表情筋がゆるんでたみたいです。いけない、いけない。
「お待たせ♪それじゃ行きましょ♪」
真琴さんの私服姿・・・可愛いです!黒髪ショートで白いパーカー、ローライズのブルージーンズでシンプルなんだけど、素材が良いからカッコかわいい感じです!それに・・・制服の時は目立たなかったけど胸がおっきい!理穂さんより大きい?凄いです!・・・ダメダメダメ!見ちゃダメ!でもありがとうございます!
真琴さんはスポーティーなミニバンを交番の裏に停めてあるそうなので美亜さんをおんぶして向かいます。美亜さんと僕は、後部座席に乗り込みます。
「あっ!真琴さん、今、家で僕と一緒に警察で指導している人が親友達と呑んでいるんで、良かったら真琴さんもいかがですか?いい人達だし全員女性だから安心ですよ?」
真琴さんは眼を輝かせて
「いいの?是非お邪魔させて貰うわ♪」
(警察に指導してる女性・・・きっと唯さんって方もいる!須佐くんの物になる道を教えて貰わなきゃ!そ、それに須佐くんのお家・・・あがってみたい♪)
「えぇ、真琴ちゃん良いなぁ!ねぇ、お兄さん!私も!私も!私も!」
美亜さんが駄々をこねてます。
「え?本気ですか?」
「だってぇ!お兄さんと離れたくないしぃ!」
「だから、僕は高校生ですけど?」
「それ♪家に行けば証拠あるでしょ?見せてくれなきゃずっと年上だって思ってるから!」
確かに家に行けば学生証もあるし、皆もいます。でも、もう美亜さんほとんど僕に敬語使ってないしなぁ。
「それとも、お兄さんとはこれでバイバイなの?」
上目遣いでウルウルは反則です!破壊力抜群です!
「・・・ま、参りました。美亜さんもどうぞ。足の治療もしましょう。簡単な事なら僕も出来ますから。」
「やった♪真琴ちゃん、ぶぃ♪」
美亜さんが真琴さんに向けてVサインをします。真琴さんも笑顔でVサイン・・・本当にいつの間にこんな仲良く?
「とりあえず家に電話します。お客さんが増えると・・・」
僕は一旦車から降りて唯さんに電話します。
trrrrrrrrr
「あっ!唯さん?須佐です。今、事情聴取が終わりました。・・・はい、今から帰ります。・・・それでですね、新人の婦警さんが送ってくれるので、そのまま唯さんに紹介しようかと・・・えぇ、一緒に呑んで貰えれば・・・あと、被害者の女性が家にどうしてもきたいと・・・なぜ?・・・うーんと、僕の事30才だと思って・・・あっ!笑わないでくださいよ!・・・証拠を見せないと信じてくれなそうです・・・あっ!皆も笑ってますね!これスピーカーでしょ!聞こえますよ!・・・2人の名前?あぁ、えーと、婦警さんが北島 真琴さん。それで、被害者の女性が・・・竜宮 美亜さん・・・あれ?どうしました?・・・美亜さんの年齢?25才ですよ?この街の出身ですよ?・・・はい・・・えっ!・・・わ、わかりました・・・必ず連れてきます。・・・では、また後で・・・」
美亜さん・・・
「あ、お兄さん♪電話終わったぁ?大丈夫だって?」
「はい・・・大丈夫です・・・真琴さん行きましょう。2人とも今日は僕の手料理をご馳走しますよ。」
「えー♪嬉しいな♪須佐くんの料理は美味しいって先輩が言ってたから、楽しみ♪」
「へぇ、お兄さん料理出来るんだ!やっぱり年の功?」
「違いますよ、毎日の経験です。」
車は繁華街からだんだんと家に近付いて行きます。
「お兄さんの家こっちなんだ?私も高校生の時までここら辺に住んでてね。神原高校に通ってたんだぁ♪懐かしいなぁ♪ほら、あそこに商店街があるでしょ?あそこの中に榑松診療所があるんだけど、地元の人は「門松先生」って呼んでるんだよ♪お正月に立派な門松を作るからね、あの先生♪あの中にある酒屋さんの娘と幼なじみでねぇ。元気でかわいい子でね?きっとお兄さんも気に入るよ?でも、もういい人見つけちゃったかもなぁ・・・そうそう♪お兄さんと同じように武術をやってる子がいてね♪凄い強いの♪その上美少女でね♪武術やってるからお兄さんとも会ったことあるかも?あ、あと幼なじみのすごく可愛い子がね、なんと高校3年の途中でその時付き合ってた社会人と駆け落ちしちゃったの!それから全然音沙汰無しでね・・・あの子尽くすタイプだから彼氏が調子に乗ってそう。・・・みんな元気かなぁ・・・」
「・・・美亜さん親友の皆さんに会いたいですか?」
「会いたいよ・・・でも、風俗に沈んで、毎日色んな男に股をひらいて、好きでもない男とお金でエッチする女よ?今さらどんな顔してみんなに会えばいいのよ!」
「美亜さん・・・」
「会ってくれるならすぐに行きたいよ!でもさ、お兄さん。私はもう汚れてるんだよ。きっとキラキラな人生歩いてるみんなと何て・・・もう一緒に歩けないんだよ・・・」
「・・・美亜さん、それでも僕は皆さんに会うべきだと思います。今・・・いや、今までずっと美亜さんは苦しんできました。でも貴女の親友はその苦しみからきっと救ってくれます。」
「お兄さんに何がわかるのさ!私は汚れて「汚れてなんかない!!!!」」
「!!」
「・・・美亜さんは汚れてなんかないです。ずっと苦しんで、それでも頑張って生きてきて、自分は汚いから何て言って友達に迷惑が掛からないように離れて、会いたいのを我慢して・・・美亜さんは・・・本当に綺麗で優しい心を持っています。どこも汚れてなんかいないです。」
「お兄さん・・・」
「美亜さん・・・澪さんは大学まで頑張っていた陸上ですが、学生最後のレースで靭帯を損傷して陸上から引退。就職が決まっていた企業も不採用になり今は家業の荒木酒造で働いてます。」
「えっ?な、何で?」
「理穂さんは澪さんのお父さんの源一郎さんと20才の時に結婚しました。年の差45才のカップルです。凄いですよね。今は澪さんと働いてます。神原商店街の二大美女って言われてます。」
「ちょ、ちょっとお兄さん?!」
「紗ゆり先生。美亜さんの2つ上の幼なじみでしたね。今、神原高校で国語教師として教鞭をとってます。生徒からの人気は絶大で「神原高校のマドンナ」って言われてます。」
「待って!お兄さん!な、何で私の親友達を知ってるの?」
「・・・唯さん、今でも武術続けてます。5年前に唯さんの師匠の近藤益男と結婚しましたが、半年後益男は急逝します。未亡人になった唯さんはその後、当時小学生だった師匠の1人息子を育てあげ今、高校生です。・・・自己紹介がまだでしたね。僕は、近藤 須佐。唯さんの師匠の1人息子で今も唯さんと暮らしてます。」
「じゃ、じゃあ、今から向かう家には・・・車を停めて!」
真琴さんが慌てて車を停めます。でも、逃がしません!
「美亜さん!会うのが怖ければ僕がそばで手を握ってあげます!みんな待ってます!大丈夫です!」
「お、お兄さん・・・いえ、須佐くん。・・・気付かなかったなぁ。あのおとなしい子が、こんなカッコ良くなるなんて。」
「図体ばかりでかくなっただけですよ。それより昔会ったことがあるんですか?僕と。」
「ふふふっ。覚えてないの?一緒に遊んだこともあるよ?まぁ、あの頃と今の私じゃ全然見た目が違うけど。」
柔らかい笑みを浮かべて僕を見ます。
「落ち着きましたか?」
「・・・うん、ごめんね真琴ちゃん。取り乱して。」
「美亜さん・・・いえ、私も一緒に行きます。逃げ出しそうになったらぎゅってしてあげます!」
「ありがと、真琴ちゃん。・・・そっか、唯が待ってるのか・・・」
「いえ、みんなです。みんなあの家で、今、美亜さんを待ってます。」
「え?み、みんなって?だって桜は・・・」
「・・・桜さん。高校3年の時に駆け落ちして、東京で暮らしていたそうです。20才の時に楓ちゃんを出産。しばらく幸せだったそうですが、3年位前から旦那さんが浮気をして子供を作ってしまったそうです。旦那さんから暴力も受けていたと楓ちゃんから聞きました。楓ちゃん、物凄く良い子ですよ。離婚したんですが東京では母娘2人では住みにくいので実家を頼って大城に戻ってきました。しかし、実家の方は駆け落ちした娘を受け入れず追い出して商店街近くのアパートに入りました。ですがそこのアパートは治安が悪い為不安が大きいので、唯さんが楓ちゃん共々うちに住むように言いました。今日から桜さんと楓ちゃんは住んでます。というか、桜さんには今日、会ったんですけどね。」
「じゃ、じゃあみんな・・・」
「凄い強い絆ですね。今日唯さんと理穂さんと澪さんが家で呑まなかったら、今日紗ゆり先生がみんなと再会してなかったら、今日、桜さんが荒木酒造に来なかったら、今日、美亜さんが僕に会わなかったら・・・みんなには会えなかったかも知れません。」
「・・・絆かぁ。みんなに会っても良いのかな?」
「もちろんです。もう1度言います。怖かったら、逃げ出したくなったら僕と真琴さんが手を握ってあげます。勇気を出して一歩踏み出しましょう。みんなが・・・美亜さんの親友達が待ってます。」
僕は美亜さんの手を優しく握って勇気を送ります。絶対大丈夫だから!絶対!絶対!絶対!大丈夫だから!と
「ありがと・・・須佐くん・・・」
皆々様お読みいただきありがとうございます!