コング君と夜の蝶
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それでは、本編どうぞ♪
《須佐視点》
背中に超絶美人のお姉さん、横には、これまた美人な婦警さん。何かドキドキします。・・・何て、筋肉ダルマの僕がこんな美人と歩けるなんて奇跡なだけなので期待しません!
「あの、須佐くん、さっきはありがとう。私、新人でまだ緊張してたから、先輩の冗談を真に受けて、ごめんなさい!」
お礼を言ったり、謝ったり忙しい人だなぁ。
「気にしてませんから、寺嶋さんのイタズラはよくあることです。今回のはひどかったので罰を受けさせるだけです。」
「・・・ありがとう。」
まだ緊張してます?
「北島さん!リラックス♪リラックス♪笑顔♪笑顔♪」
「・・・ほぇ?」
「せっかく何かの縁でこうやって北島さんと話すようになったんです。・・・僕の体がデカイから威圧感があるのは重々承知ですが、僕は出来れば緊張されて話されるより、普通に話してくれた方がありがたいです。」
「うん、ありがとう須佐くん。じゃあ、せっかくだからお願いなんだけど・・・」
「何でしょう?」
「・・・名前で呼んでくれないかな?ほら、名字、演歌の大御所みたいでちょっと照れ臭いんだ!!お願いだよ。」
あぁ、そう言えばそうです。有名人と同じだと嬉しい反面、人前だと照れちゃうですよね。
「わかりました。真琴さん。」
「うん、ありがとう♪須佐くん♪」
・・・ここまで喜ばれると照れるんですが・・・。
あっと、背中のお姉さんをほったらかしにしてしまってます!
「お姉さん、お姉さん?ジェニーさん?はどこの国から日本にこられたんですか?」
「え?私は日本人ですけど?」
「え?だって名前ジェニーって?」
「あれ?そういうお店に行った事はないんですか?」
「そういうお店って?」
「風俗ですよ。私はソープですけど、お兄さん助けてくれたお礼にサービスしますよ♪たくさん抜いてあげます♪」
「ふぇ?いや?ほぇ?はぅ?」
「そんな照れなくても♪お兄さん、格好良くて、優しいから童貞じゃないでしょ?ねっ♪お兄さん?」
「わふ?あの、あの、あの、ぼ僕は・・・童貞です。」
「そうなの?じゃあ私が筆下ろししてあげる♪」
「あっ!いや!嬉しいんですけど、本当に嬉しいんですけど!僕はまだ高校生です!17才です!」
「・・・・・・・・・え?」
僕は、真琴さんの方を見ると口を押さえて笑いを堪えてる婦警さんが・・・
「まーこーとーさーん?」
「ごめん、ごめん、いや、私だけじゃないんだなって思ったら笑えちゃって。」
「もおおおおおおおお!」
二度あることは三度ある。今日はこれで3回目・・・僕は高校生ですぅ!
「ほ、本当に高校生?年下?断る口実ではなく?」
「むぅ。そうです!高校2年ですぅ!」
「嘘だぁ!」
もう、信じてくれないですぅ!もう話し進めます。
「もういいですぅ!それよりお姉さんの名前は何です?」
「あぁ、本名ね・・・美亜ですよ。竜宮 美亜25才です。私もお兄さんに名前で呼んで欲しいなぁ。・・・名字に良い思い出ないから・・・」
「わかりました、美亜さん。僕には敬語じゃなくて良いですよ?年下、と・し・し・たですから!」
「うーん、私は信じてないから!お兄さんが高校生なんて。」
「ひどいですぅ!」
「じゃあ、証拠見せてください♪ほら♪」
「あっ!私も須佐くんが高校生って聞いただけだから証拠みたいなぁ・・・何かない?」
「真琴さんまでぇ!もう!知らないですぅ!」
美女2人に弄られながらお店に向かいます。そもそもトレーニングに出てるんだから学生証も何もないでしょ!きっと携帯の写真みせたって信じないんだ!わかってるんだ、昔の写真とかコスプレとか言うんだ。真琴さんはわかっててからかってるんでしょ!理穂さんや澪さんのからかってる時と同じ顔してるもん!
いいですよぉぉぉだ!もう!
「あっ!ここです。」
美亜さんのお店はシックな黒い外観で高級感の溢れるブティックみたいな所でした。
「これは、コングさん!うちの店にご用ですかい?」
外にいた黒服のお兄さん達が聞いてきます。・・・この人達に証明して・・・ダメだ、きっと脅したとか言うんですよね?まぁとりあえず。
「こちらでお勤めのこの女性が、先程ストーカーに襲われまして、僕が助けたんですけど、足を怪我してまして、今から事情聴取もあります。それでお店に報告したいとおっしゃられたのでこちらにお伺いしました。責任者の方をお願いします。」
黒服のお兄さんは真剣にお話を聞いてくれてすぐに
「わかりやした、すぐに支配人をつれてきやす。」
そう言ってあわてて店に入って行きました。僕は未成年なので入れません!興味はない!・・・嘘です、めちゃくちゃあります!
「お待たせしました。お久しぶりです。若。」
あれ?この出てきた黒服をキッチリ着こなして物腰の柔らかいおじさんは・・・
「ひょっとして、今野のおじさん?」
「えぇ、若様、ご立派になられて・・・師匠も草葉の陰でお喜びでしょう。」
今野 健次さん。父さんのお弟子さんの1人で確か40才。子供の頃、稽古の合間に僕達幼なじみ4人と遊んでくれた人。武術の腕はそんなに強くないんだけど、気持ちの良い人柄を父さんは気に入っていて、よく一緒にお酒を呑んでいました。
「今回は若のお陰で助かりました。その子は元々、東京で風俗嬢をやってて、それを見つけてこちらに引っ張ってきました。女に何かあったら洒落になりません。・・・店の若いもんにも、ちゃんと女を護るように言い聞かせます。」
頭を深々と下げるおじさんは、美亜さんに危険が迫っていたことに気づかなかった自分を許せないようです。
「今野のおじさん。反省を充分したら今度は美亜さんのケアが必要でしょう。とりあえず、今日はもうこのまま連れてきます。事情聴取がありますので、良いですよね?」
「もちろんです。それから美亜には見舞金と危険に気付けなかった謝罪の意味でお金を出します。・・・申し訳なかった。」
そう、美亜さんに頭を下げると懐から分厚い封筒を2つ出し美亜さんに渡しました。
「し、支配人、こ、こんなに?」
「当たり前だ。この街に来る事を拒んでたお前を無理に頼んで越させたんだ。・・・嫌な思いをさせちまったな。俺はこの街が好きだから、こんなことでこの街を嫌いにならんでくれ。」
「支配人・・・私は元々この街が好きですよ。私はこの街の生まれですから・・・ただ、昔の大事な幼なじみの親友たちに風俗に沈んだ自分をみせたくなかっただけです・・・」
美亜さんこの街の出身なんだ。親友の皆さんに会いたいけど今の自分をみせたくないから会えないってことなのかな?何か悲しいな。
「若、今回の謝礼は後日必ず伺いますので。」
「あっ、はい。いや、父さんと母さんに会いに来て下さい。きっと喜びますので。」
「・・・はい、師匠と、由姫様にお線香をあげさせて貰いに伺います。」
「では、よろしくお願いします。」
頭を深々と下げるおじさんに挨拶をして僕達は交番に向かいます。
「美亜さんこの街の出身何ですね・・・」
「えぇ、気になります、お兄さん?」
「・・・気にならないと言えば嘘になりますけど、無理に聞く気はないです。人に歴史有り、大事な思い出も、忘れたい過去も有りますから。」
そもそも、さっき出会ったばかりの僕が美亜さんの過去を根掘り葉掘り聞くのはカッコ悪いです。
「・・・ねぇ、お兄さん・・・やっぱり年上でしょ?」
「年下ですぅ!17才ですぅ!」
「だぁってぇ!気の利かせ方とかぁ、雰囲気とかぁ、見た目とかぁ!30才越えてるでしょ?ねぇ、真琴ちゃん?」
いつの間に名前で真琴さん呼んでるの?美亜さんコミュ力高いなぁ。
「そうですね♪包容力があって年上の魅力がいっぱいです♪」
「・・・・・・もう!僕は年下ですぅ!!!!!!!!」
お読みいただきありがとうございました!