59.お世話になりました。
短めですが、第4章完結。
私達は出立の準備をしていた。
援助の方向性は決まったし、私達が持っていた物資は渡せた。ならば他のところに行く必要がある。
南部のほとんどがラシーヌ領とは言え、隣接する子爵領と男爵領も被害を受けているのだ。
「長々とお世話になりました」
「とんでもありません。こちらこそ大変お世話になりました」
結局、領城には計5日も留まった。
細々とした決め事や手伝いがあったのだ。
狩猟は私はしていない。他のメンバーはしていたのを知り、少し拗ねたのは秘密である。
リュカは、少しだけふっくらしてきた。人に分け与える必要がなくなったからだろう。精悍な顔つきになってきている。
「リュカ、あなたは立派な領主になると思うわ。私が保証します」
「……ありがとうございます。殿下も、素敵な王になられるでしょう」
私は微笑んだ。
そうなれたらいいな。私が王として皆に認められ、リュカも名領主と言われる。そんな未来を見たい。
「では、行くわ。また近いうちに」
「はい」
正式な許可が出たら、リュカは王都での任命式に出席する。そうしてやっと、領主として、侯爵として、認められるのだ。
それには私も出席する。そこで再会だ。
そのまま帰すか否かは、これからの私達の頑張り次第。一先ず意見書は出したけれどね。
ティモテとマテオも、ディディエさんとの話が終わったようだ。
羽馬車に2人に続いて乗り込む。
ぶふーん!
出発!
羽馬達の鼻息と、馭者の高い声が空に響く。
「お元気で!」
私は羽馬車の中から手を振った。
王城を出た時のような義務感はない。
たくさんの見送り客に、感謝とエールを伝えたかった。
ラシーヌ領の復興は、まだまだこれから。だがリュカとディディエさんなら、豊かな領地に出来るだろう。
期待を胸に、私達はラシーヌ領を発った。




