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47.味方と連携します。


リュカに、近くに部屋はないか尋ねると、斜め向かいの応接室に案内された。

ティモテとマテオが警戒し、私を前後に挟んで入室する。

そう。2人はまだ、リュカを信用していない。まずそこからだ。


扉が閉まるのを確認し、私は口を開いた。


「リュカ、まず確認するわ。この城で、あなたの仲間以外は全て敵と思って良い?」


まだ席にも座っていないので驚いたようだが、彼はすぐに肯定する。


「はい。騎士や使用人は、私が領主代行となったところで、私が領主を裏切ったと思うでしょう」

「ま、待ってください、殿下」


殿下?あ、私か。

そう言えば、ルイゾンが「王女」「王女」と言っていて怒った2人こそ、私のことを「王女」と言っていたのよね。

……王太子として、彼らに認められたと思って良いのかもしれない。


私は視線でティモテに続きを促す。


「リュカ殿をなぜそこまで信用されるのです」


緊急の時のティモテは間延びしない。ちゃんと今の危険な状況が分かっている。

だが、1つだけ分かっていない。


「昨日、ロックに会ったと言ったでしょう?」

「ロック?ああ、建物の補強を手伝った怪しい少年ですか。……ガリガリの少年、とおっしゃっていませんでした?」


やはり頭の回転が早い。ロック=リュカを結びつけ、その上で否定要素を出してきた。

だが、観察眼が足りない。


「本当に太っていたら、手も丸々としているはずだわ」

「……手?」

「はぁ……もう隠す意味もないので良いですけどね」


訝しげなティモテとマテオに向け、リュカがため息を着きながら袖をまくり上げた。

そこから現れたのは、骨と皮しかない、細腕。


ティモテとマテオが息を飲む。


リュカは諦めたらしく、上着を脱いだ。

次いで、口の中から綿を取り出し、しばし逡巡してからポケットに仕舞った。床に捨てるのも机に置くのも躊躇うあたり、彼の品性が窺える。

パンパンだった頬は見事に痩けた。うん、ロックだ。


リュカがどんどん服を脱いでいくので、私は後ろを向いた。さすがに異性の私がずっと見ているわけにいかない。


「リュカ、脱ぎながら答えて。味方と言えるのは誰?」

「……完全に信用できるかは分からないと前置きしておきます」


先ほどのモゴモゴではない、明瞭な声が返ってくる。

バサッバサッという豪快な音も室内に響いた。


「領地の12歳~40歳までの独身女性は、皆私の味方と思って構いません。それ以上年嵩の女性は父の愛人の可能性があります」

「……城にいる若い女性が愛人になっている可能性は?」

「ありません。父はその、完全なる熟女好きと言いますか、自分の母親くらいの年でないと興味を持てない人でして」


……え、ええー。

ドン引きである。


でも、そうか。だからリュカしか子供がいないのか。

あれだけ強欲なら愛人も子供も数多くいておかしくないと思っていたが、愛人が子供を産める年じゃないのならば納得できる。


「他には?」

「叔父、父の弟も味方です。……地下牢にいますが」

「そう……まず、そこに行きましょうか」


村人の女性達は数の利があるが、力がない。

だが、リュカの叔父ならば、権力と知識があるだろう。

協力を願いに行こう。

そもそも彼は牢にいるのならば、この事態のどさくさに消しておこうと思う者が出ないとも限らない。


私は背後に声を掛ける。


「もう後ろを向いても?」

「や、だ、ダメです!早く服を着てください!」

「ダボダボなんですよタオル抜くと……」

「上から巻きなさい。ほらズボン持って」

「いてててて」


……なんだか楽しそうである。いいなー。混ざりたい。


「ふう、見れるようにはなったので、もう大丈夫です殿下!」


振り向くと、……うん、汚く包帯のようなものでぐるぐる巻きにされた細リュカ。

変なところが出てるし!


「……このまま領民の前に出るかもしれないので、ダメです。ちょっとズボンを抑えておいてください」

「え、うわ」


全く、有翼族の男は不器用かつ美的センスがないんだから!

怒りながら包帯をほどいていく。

リュカが慌ててズボンを引き上げた。


私はズボンの中に、丁寧にシャツを仕舞っていく。

そして、ズボンのお腹部分を半分に折り曲げた。その上に包帯を、ベルトのように巻く。

完全にシャツをインするのも嫌なので、少しだけ引き出せば、一応見れる格好だ。

ズボンの長さは問題ないし、裾はこのままで良いか。


「はい、後は上着を着て」

「え、は、はい」


上着もものすごく大きいが、袖を綺麗に折っていけば、ちょっとオシャレにすら見える。


「よし!これで良いわ!」

「「おお……」」


ティモテとマテオが感嘆をくれる。

ふう、良い仕事した!



「さて、リュカ。地下牢へ案内を」

「は、はい」

「……殿下、まさか4人だけで行くので?」


マテオの言葉に振り向く。

確かに護衛もなしに行くのは危険かもしれない。

でも。


「護衛ならいるわ。何人いる?」


天井に呼び掛けると、天井が鳴った。


コン

コン

コン


「3人いるわ。精鋭揃いだから大丈夫」

「……何者ですか」


剣呑な瞳に私は微笑んだ。


「私自慢のお抱え護衛 兼 諜報部隊よ」


3人とも驚くが、リュカはともかく2人は何をそこまで驚くのか。


「……何か問題が?宰相だって色々なところに潜ませているじゃない」

「「え」」


2人は驚くが、私もびっくりだ。

知らなかったんかい!

……それは悪いことをした。ごめん宰相。秘密を暴いた。


「……知らなかったのね。他言無用でお願いします」


こういうところで、差があるのだなと思う。宰相と彼らの間には。

……元気にしてるかしら。


と、そんな場合じゃない。


「さて、地下牢を占拠される前に行くわよ」

「「「はい!」」」


私達は地下牢へと急いだ。


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