表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/82

4.状況を把握しました。

翼のある赤ん坊として産まれて3年。

なんとか言葉を覚え、状況を把握してきた。


純日本人だった私だが、今は金髪碧眼というやつである。


やっぱり西洋人に憧れる日本人としては、テンション上がった。

しかも彫りが深くて、日本人感覚で美形!


こちらの感覚ではどうなのかは定かではない。

なぜなら、周りがひたすら褒め称えてくるからだ。

おべっかなのか本心なのか判断がつかない。


どうしてそんなに褒め称えてくるか、なのだが……。


私の父が、王太子だった。


初めて聞いた時は、?!!だった。

私はあんまり特別な存在になりたくないのに。


さらに私の翼は髪と同じく金色である。

最初は、髪と同じになるものなのかな、と思っていたのだが、違った。


普通の翼は白で、王位を継げる者だけ金なのだそうである。


もう大混乱だ。

なんでそんな面倒そうな立場に!


それだけでもぐったりなのだが、問題なのが母である。


この人も金髪碧眼のひたすら美しい人なのだが、人間なのだ。


すなわち、翼がない。


それがなんだ、と言われるかもしれないが、人間の血を引くのに翼がある子供というのは前例がないとのこと。


さらにそれが、金の翼。


どうなるかと言えば、王家とその周辺が大荒れになった。


ただ、金の翼は本当に珍しいらしい。

今いるのは、王である祖父と、王太子の父と、私だけ。

王族はすごい人数いるのに。


「アンヌ様、本日はこちらのお洋服にお召しかえを」


寝起きの私にそう言ったのは、20代前半と見られる美人さんで、私の世話係だ。

名前はエデ。

翼はなく、使用人として王宮に住んでいる。


2ヶ月前から世話してくれていて、まだ付き合いは短いけれど、私は大好きだ。

優しくて可愛い人は大好物。前世では女性アイドルも好きだったからね!


彼女もかなり褒め称えてくれる。

それで嬉しくて頑張ってしまう私もいるので、彼女は教育者としても優秀なのかもしれない。


が、最近衝撃の事実を知った。


彼女も広義では王族だったのだ。


父のいとこにあたるらしい。

だが、人間の血を引いていて翼を持っていないことから、王宮の使用人となっている。


なら、もしかしてと思って聞いたところ、王宮の人間は、全員王家の血を引いていた。

つまり親戚を格下として使っているのである。


身分差は、ある程度仕方ないのかとは思っている。

なにせ王のいる国だ。


だが、同じ血を引いているにも関わらず、差別する。

それにどうしようもなく嫌気がさした。


私の母も王家の血を引いている。

それもとても濃く。

人間だったのは母の曾祖母のみで、父方は全て王族の血を引いているとのことだ。

つまり、人間の血は1/8。


私に至っては1/16。

そりゃあ劣性遺伝子の有翼族の血も勝つはずだ。



エデが選んでくれたのは、赤色のワンピースだった。

翼を通せるよう、背中には穴が空いている。


「ああ、やはり金のお髪と翼に赤はとてもお似合いですわ」


フリフリの真っ赤なドレスは、精神年齢30越えの私にはキツいものがあるのだが、エデの見立ては完璧だ。

3歳の金髪の美幼女にはとても似合う。

自画自賛万歳!


「今日から、私の子供たちもアンヌ様にお仕えさせていただきますね」

「………エデの、こども?!」


知らなかった。

子持ちだったんだ、20代前半なのに。しかも複数。


アラサーで独身だった前世を持つ私は、思わず遠い目になりかけた。


「さぁ、朝ごはんにいたしましょう。

そのあと紹介させていただきますわね」



……その出会いは、後に私にとって大切なものになるのだった。

エデとの付き合いを、生まれた時から⇒2ヶ月前から に変更しました。

子供がいるのに世話どうしていたんだというセルフツッコミにより。(2019/03/18)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ