2.新しい生が始まりました。
意識が戻った時、そこは温かくて気持ち良かった。
ガサガサ、トクトクと音がする。
結構大きな音なのに、なぜかとても落ち着く音だった。
ここはどこだろうと目を開けようとしたが、なぜか開けられない。
目を負傷して包帯でも巻かれている?
そうだそうだ、私は事故に遭ったんだった。
ならあり得ないことではない。
起き上がろうと上半身に力を入れた瞬間、私は頭を壁にぶつけた。
でも痛くはない。柔らかい。
……え?
手を動かしてみる。
うん、動く。重たいけれど。
しかも、なんか指が短い?
ちょっと訳が分からない。
どういうこと?説明求む。
これだけ音がするのなら、誰か近くにいるかもしれない。
私は「すみませーん」と声を出そうとした。
が、口を開けた瞬間、液体が口に入ってくる。
え、え?ヤバくない?
目が見えないのに、水の中に沈んでるってこと?
それ普通に死ぬやつ!!
パニックになり、私は手足をバタつかせた。
手が壁に触れたため、力を込めて上へ進む。
が、今度は頭が締め付けられた。
痛い痛い痛い!
ちょ、水の中にずっといるのはマズイけど、何この痛さ!!
頭を締め付けているものは、弛んだり絞めたりを繰り返す。
それにより、頭の上部が締め付けられていたのが、どんどんと下の方も締め付けられていき、上部はより一層狭くなっていく。
いやいやいや!
痛いから!頭割れるから!!
その時、ガサガサでもトクトクでもない音が、外から聞こえることに気が付いた。
「ふー……っ!ーーーっ!!!」
誰かが、痛みに堪えているような声だった。
私も痛くて痛くて死にそうだ。
でも、その声の人物も頑張っている。
私は歯を食い縛り耐え……ようとしたら、口の中に固いものがないことに気付いた。
が、痛さで頭が回らない。
とりあえず上へ!
その一心で私は体をくねらせた。
痛い。
でも、誰かも頑張っている。
私も、諦めるもんか!!
どのくらい時間が経っただろう。
いつまで経っても抜けられない。
が、終わりは訪れた。
スポンと頭が抜けた。
そして液体がなくなった私は。
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
空気を吸おうとして、産声を上げた。
……え?