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おにはそと

作者: Re:over


 スマホがソファーの上にあるクッションに勢いよく叩き付けられ、その反動でスマホが少し宙を舞った。その直後、罵声が飛び交う。


「俺は仕事から帰ってきて疲れてんだ!」


「それは私だって疲れているのは一緒でしょ!」


「おまえと俺とじゃ仕事の量が違うだろ!」


「そんなこというなら、私だってこころの面倒見るので疲れてるの。あなた、普段から心の面倒見ないよね?」


 現在、城東じょうとう家では夫婦喧嘩の真っ最中。原因は食器洗いをどちらがやるかという、しょうもないことだ。日頃から不平不満を言わないような夫婦だが、最近、仕事が忙しかったのも理由の一つだろう。


 一人娘である心は2人の様子を隣で不思議そうに眺めていた。


「そんなことないだろ、この前心の送り迎えやっただろ」


「私はほとんど毎日やってるんですけど?」


 怒りが怒りを呼び、それは連鎖となって終わりが見えることはない。叫び合う2人は、もう冷静を失っていた。


「家計のほとんどは俺が負担してるんだぜ? 食器洗いくらいやってくれたっていいだろ」


「そこまでいうなら別れましょう。離婚です、離婚!」


 2人の横から急に小さな粒が飛んできて、2人は同時に振り向く。すると、娘の心が豆を投げる姿が目に映った。


「おにはそと! ふくはうち!」


 もうすぐ4歳になる心は元気よく豆をぶちまける。


「パパとママ、おにみたい」


 2人はその元気で可愛い姿のおかげで心を落ち着ることができた。さっきまでのどうでもいい喧嘩が馬鹿馬鹿しくなる。


「そういや、今日は節分の日だったな」


「そうだね」


「......その、悪かった」


「私こそ、ごめん。強く言いすぎた」


「なかなおりした?」


「あぁ、今日はパパとママの鬼を追い払わなくちゃな」


「そうね。じゃあ、少し寒いけど、外に出ましょうか」


 家族は庭に出て豆を投げた。その時、家族は笑顔に包まれ、鬼は去って行ったようであった。


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