ふゆの女王様が、出てこない
ちょっとむかし、あるところに「季節廻る国」があったそうな。
そのくに には、おおきな お城と ひろい 町、そして 町 を みわたせる たかい塔 が たっておりました。
たかい塔には、だいじ な やくわりがありました。
それは、はる、なつ、あき、ふゆを よぶ 女王様たちを こうたいで すまわせ、きせつ を よぶというものです。
ある ふゆ のことです。
いつもなら女王様が交替する時期になっても ふゆ の女王様が、出てこなくなってしまいました。
町には、ゆきがつもってゆき、ひとびとは さむさにふるえ、たべるものも すくなくなってきました。
こまった王様はおふれを出しました。
『ふゆの女王をはるの女王と こうたい させたものには好きな ほうびを とらせよう。
ただし、ふゆの女王が つぎに廻ってこられなくなる方法は みとめない。 』
その日から、このおふれをみた ひとびとが、こぞって 塔の門をたたきました。
ドンドンドン
「ふゆの女王様ー!出てきてくださーい!」
「女王様ー!」
しかし ふゆの女王様は、出てきませんでした。
「出てこないぞ」
「うんとも すんとも へんじがない」
「もしかして、女王様もさむくて こごえて いらっしゃるのではないか?」
「そんなわけないだろ。なんたって ふゆの 女王様だぞ」
「そーだそーだ。こごえているなんて、ありえない」
ドンドンドン!ドンドンドン!
「女王様ー!出てきてくださーい!」
「女王様ー!」
それでもふゆの女王様は、出てきませんでした。
「やっぱり ふゆの女王様は、さむくてうごけないんじゃないかな?」
「まだ、いうのか。わかってないやつだな」
「そうだぞ。ふゆの女王様は、さむさになんか まけやしない」
ドンドンドン!ドンドンドン!ドンドンドン!
「ふゆ の女王様ー!出てきてくださいよー!!」
「ふゆの女王様ー!」
ひとびとは、その日 ずっと門をたたいていました。
でも、ふゆの女王様が出てくることはありませんでした。




