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クラス転移する前に転生しました!  作者: 田村 オクト
2 平和な文明開化編
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化学の場合!

 この世界には魔法がある。何が作用して魔法が発動するのか全く不明。さながら神の恩恵と言われた方が納得できる。なんせ異世界だから。だが、魔法でもイメージ力は大切だ。どうして、火が起こるのか。どうして、雷が起きるのか。それを補助するための地球での化学の知識はうってつけだった。


「魔法が使える人挙手。」


 現在いる生徒全員の手が上がる。


「そう、全員つかえるんだ。じゃあ、ステータスが出ない人挙手。」


 誰も手を上げない。


「やっぱ、俺だけ。ぐす。」

「ツカサ先生どうしたのー?」

「いや、何でもないぞ。さて、空気が何でできているかは説明したな。その中で主に2つ。何と何だ!?」

「「「「「酸素と窒素!!」」」」」

「おぉ、よく覚えてたな。じゃあ、物が燃えるのに必要なのはその中でどっち!?」

「「「「「酸素!!」」」」」

「本当よく覚えてるな。じゃあ、実際に火魔法を使ってみよう。すごくイメージしやすくなってるはずだ。あっ、保護者の方もどうぞ。」


 生徒と保護者が外に移動していく。保護者がいるのは今日を授業参観の日にしたからだ。雑貨屋の店主ジョンが観に行きたいと言い始めたからだ。


「ツカサお兄ちゃんすごいね!」

「本当、ツカサは物知りだな。」


 ジョンの娘、シャリーンとジョンが話しかけてくる。


「まぁ、確かに皆よりは知ってること多いですね。あっ、皆位置についてますよ。シャリーン達も。」

「はい!」

「おう!」


 俺たちは孤児院の後ろにある草原にいる。こんなところで火魔法なんて使ったら火事になりそうだが、水魔法を使える人を呼んでいるので大丈夫だ。そして、ここの草原を焼いたら畑にしようと思っている。


「では、燃えるイメージを大切に、酸素の働きを意識して発動しろ。3人ずつでどうぞ!」

「「「【バーン】!」」」


 ごおおおおおおお!!


 唱えたとたん前方50m3つの巨大な魔法陣が描かれ、魔法陣から上空にむけて巨大な火柱が上がる。


 魔法すげー、魔族の火力すげー、化学と魔法の融合ってすげー。


 俺は半ば放心状態になる。周りも放心状態、発動させた本人達でさえポカーンとしている。しばらく経てば、放心状態だった人が復活して、発動させた本人達も復活して、皆興奮状態になっていた。


「ツカサ先生ありがとう!俺できたよ!」

「ツカサ先生ありがとう!」

「ありがとう!」

「おぉ、どういたしましてな。」

「次私達!」


 3人が交代して次の3人が魔法を発動する。ここでも巨大な火柱が発生。他の子達もどんどん交代で魔法を発動させていく。やっぱり巨大な火柱が発生する。


「ツカサくん。」


 リンダが話しかけてくる。かなり顔が引きつってる。俺も引きつってる。


「うん、これはヤバい。想定外過ぎる。俺の知識はヤバいかも。でも、燃焼の原理なんていずれ発見されることだからなー。」

「にしも、ヤバくないですか、ツカサくん。」

「大丈夫。リンダが道徳の授業の時間で倫理観をしっかり教え込めばいい。」

「うっ。道徳の授業が億劫に思えてきましたよ。」


 リンダが反対側に行き生徒の監視につく。


「よし、お前ら全員終わったな。みんなすごいな、俺が教えたことが意識できてる。そこは褒める。が、この魔法を無闇やたらと使ったら街がなくなる。だから、魔法が使いたくなったら俺に言え。ちゃんと魔法が使える場所を用意する。絶対、街中で使うなよ!」

「「「「「はい!」」」」」

「じゃあ、今日はもう解散しよう。皆、魔力切れ起こしそうになってて足フラフラだぞ。ちゃんと、しっかり休めよ。」

「「「「「はい!」」」」」

「じゃあ、解散!さよなら!」

「「「「「さようなら!」」」」」


 孤児院の子供達は孤児院に帰って行き、その他の子供達は親と手をつないで帰っていく。


「母さんとシオリは何をやってるんだろうなー。」


 自分の右手を見る。

 久しく家族と触れ合うことはなくなった手。

 だが、足に妹の感触がまだ残ってるような気がした。

 その足をさする。


「ツカサくん、どうしたんですか?」

「リンダか…。別に何でもないよ。」

「でも、悲しい顔になってますよ。」

「……。」


 話を聞いてもらったら楽になるだろうか。


「ツカサくん?」

「俺って転生者って言っただろ?」

「はい。」

「その、向こうにおいてきた家族は今どうしてるのかなー、ってちょっと感傷的になってたんだよ。それだけ。ごめん、くだらないこと言って。さっ、俺たちも孤児院に帰ろうか。」

「ツカサくん!」


 ーギュ


「前世の家族が気になるのは当たり前です。くだらなくなんてありません。でも、今世では私達が家族です。悲しくなったら私達に甘えてくれて良いんですよ。いくらでも話を聞いてあげます。」

「リンダ…。」

「ツカサくん、泣いて良いんですよ。」

「っ!」


 心の中でせき止めていた蓋が決壊したような音が聞こえた。


「母さん…、母さん!…弁当食べられなくてごめんなさい!…死んじゃってごめんなさい!…親不孝者でごめんなさい!」


 涙が出てくる。

 リンダに背中をさすられる。


「シオリ、…もっと遊んでやれなくてごめん!…勉強も教えてあげられなくてごめん!…何一つ兄貴面できなくてごめん!」


 リンダに抱きしめられる。

 強く、強く、強く…。


「死んじゃって、ごめんなさいぃぃ!!」


 しばらく泣き続けた。

 リンダは抱きしめ続けた。


「リンダ、ありがとう。」

「良いんですよ。家族なんですから。」

「そうだな。今はリンダや子供達がいるもんな。」

「そうですよ。じゃあ、帰りましょうか。」

「そうだな。」


 手を繋いで孤児院の方に行く。

 するとまだ外にいたフィルアとでくわした。


「ツカサ、目赤いよ?」

「あぁ、これは何でもないよ。」

「ツカサ、泣いてたの?」

「っ!」


 フィルアの目ざとい観察力に驚く。

 驚いていると、フィルアが俺の頭に手を伸ばす。


「大丈夫だよ、ツカサ。」


 頭をフィルアに撫でられる。


「私はツカサといるから大丈夫だよ。」


 優しく撫でられ続ける。


「ツカサ?」

「ありがとな、フィルア。」

「どういたしまして!」

ツカサがあんまり悲しそうになかったので悲しくなってみました。

ちょっと、強引だったかなー。

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