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甘い作戦会議

そろそろ風の宝玉編もクライマックスだぜ。

 エルシアから大変有用な王女という身分であることを知り、悪どい笑みを浮かべながらもとりあえずは今日の宿を探して、そこに泊まる。

 もちろん同じ部屋だ。

 だが今日の宿はベッドが二つある。

 これで抱きつき事案は発動されない。


「さて、エルシア。王女なのにどうして奴隷になってるんだ?」

「それは…。」


 自分の親に政略結婚させられそうになり、家出をしたこと。

 スニーカーに行く途中にかなり高レベルだと思われる男たちに奴隷にされたこと。


 話してる途中に震えながら段々近寄ってくるエルシアの話を聞き、俺は思った。


 王女の身分はまだ生きているのか?

 そもそも、宝玉は王女一人で取れるものなのか?


「エルシア。」

「はい。」


 対面に座っていたはずなのに、隣にいるエルシアに声をかける。


「宝玉はどこにあるんだ?」

「王の樹柱の最深部にあります。」

「王の樹柱?」

「中央にある木のことです。あれが言わば王城ということになります。」


 あの特大版、この木何の木気になる木、が王城なのか…。


「最深部にいけば宝玉は手に入るのか?」

「いえ、その前に守護者がいます。」


 守護者とは宝玉を守っている超高レベルの武人なのだそうだ。

 王の命令でしか動かせず、王女の言葉では動くことはない。

 その武人はエルフの寿命200年をとうに超え、一体何年生きているのかエルシアでもわからないとのこと。


「噂では400年以上だと言われています。」


 寿命の倍かよ。


「エルシア、そいつがどんな攻撃手段なのかわかるか?」

「わかりません。前の魔王が戦ったらしいのですが、あまりの強さにすぐに撤退していったとしか記録には…。」


 マジかよ。

 前の魔王が強かったのかどうかは知らないがそれでもすぐに撤退をせざるを得ない強さって…。


「【ステータス】」


 ツカサ 13歳 男 レベル:60

 種族:魔族(魔王)

 筋力:1200

 体力:1200

 耐性:1200

 敏捷:1200

 魔力:1200

 魔耐:1200

 技能:限界突破・経験値取得倍加・全属性魔法・全属性耐性・魔力自動回復・複合魔法・対勇者・痛分・覇気・刀術・身体強化・虚偽察知・世界時計(19:23)


 たぶんこれじゃあ真正面から戦ったら全く足りないんだろうよ。

 でも、ここで引くわけにいかない。


「エルシア、一人で行動できるか?」

「え…。」


 俺が発した言葉にエルシアのまとっている空気が凍った。


 そして、口を開く。


「嫌です…。嫌です。嫌です嫌です!一人にしないでください!一緒にいさせてください!」


 徐々に狭くなっていた俺とエルシアの距離が一気になくなり、エルシアが泣きながら抱きついてくる。


「エルシア…。」

「お願い…します。一人に…しないでください。」


 はぁ、どうするか。

 今回ばかりは情けをかけるわけにはいかない。

 一人で行動してもらう。

 すぐそこにリンダを生き還すためのキーがあるのだ。


「エルシア、俺があげた腕時計があるよな。」

「…はい。」

「それに俺を感じることはできないか?」


 我ながら気持ち悪いこと言ってるのはわかってるけど、こうでもしないとエルシアを一人で行動させられない。


 もちろん命令すれば一人で行動するはずだ。

 だが、だけど…。

 そんなことをしたらエルシアが壊れてしまう気がする。


 本当にエルシアに甘い…。

 リンダを生き還すことが俺の行動原理なのに!


「どうなんだ、エルシア。」

「……わかりました。」


 なんとか納得してくれたようだ。

 一応、これで精神崩壊なんてことにはならないはずだ。


「あの、ご主人様…。」


 腕からの暖かみを感じながら俺はエルシアに呼ばれる。


「なんだ?」

「今日一緒に寝させてください。」


 一人で行動しなければならない、その反動でひと時も離れたくはないのだろう。


 一緒に寝るくらいなら別に構わない。

 それでしっかり動いてくれるなら。


「良いぞ。」

「ありがとうございます!」


 さて、俺はエルシアが一人で動いてくれることになりようやく作戦が話せるようになった。


 俺の作戦はエルシアを囮にして守護者を引っ張りだすという単純なものだ。


 まず、エルシアは自分の父親の前に姿を現し、魔王に追われている助けてほしい、などと言って王である父親に守護者を最深部から引き剥がし、その間に俺が誰にも見つからずに、見つかったら気絶でもさせて、風の宝玉を奪う。

 奪ったらエルシアは【身体強化】で脱走をする。


 実に単純なものだ。


「父親がエルシアのことを信じてくれるか、あと、宝玉に結界が張ってなかったらこれでいくんだが。」

「宝玉には結界が張れないので大丈夫です。父親のことは私がなんとかします。」

「わかった。じゃあ、これで行くぞ。明日やるからな。」

「わかりました。」


 作戦会議は終わり、エルシアと共に宿で夕食を食べることにした。

 やっぱり魚料理である。

 そして、この首都ルフランには箸があるようで注文したら箸が出てきたのだ。

 誰かが発明したのか。

 驚きながらも全てたいらげていく。


 夕食を食べ終わると部屋に戻りエルシアから湯浴みをする。


 《部屋を変えなかったですね。》

「失念してた。」

 《わざとじゃないですか?》

「違うから。」


 リンダに茶々を入れられながらエルシアを待ち、出てきたら交代して俺が湯浴みをする。

 湯浴みから出れば早々にベッドに入る。


 エルシアと共に…。


「ご主人様、暖かいですね。」

「そうだな。」


 寝ぼけているわけではないのに、すでに俺の足にはエルシアが足をしっかり絡みつかせ、俺の腕を胸に抱いている。


「なぁ、エルシアは奴隷をやめたくないのか?」

「今はご主人様と一緒が良いので奴隷はやめたくありません。」


 ームギュ


 エルシアがさらに体をくっつけてくる。

 まるで、俺という存在を確かめるように。


「エルシアは俺が宝玉を奪うのは何も言わないのか?」

「言いません。私はご主人様に協力するだけです。」


 ーキュ


 今度は胸に抱く俺の手のひらを自分の手のひらに合わせたりしている。


「家族とは会いたくないのか?」

「会いたくないです。私を政略結婚させようとしたのですから。」


 ーギュ


 さらにあわせていた手のひらの指を絡ませ恋人繋ぎで握る。


 ただ、俺が握らないのが不満なようでその表情をたたえた顔で見てくる。


 幼児退行が起こってるようだ。


 俺も手のひらを握ってやると満足そうに笑顔で手のひらを見ている。


「エルシア、俺はもう寝るよ。明日は一人で頑張れよ。」

「はい。ご主人様のために頑張ります。」


 俺の腕に響くリラックスした鼓動に俺は心地よさを感じながら瞼を閉じる。


「おやすみ、エルシア。」

「おやすみなさい、ご主人様。」


 心の中でリンダにも、おやすみ、と告げ俺の意識はなくなる。

ブクマ200件いきました!

ありがとうございます!

これからも隔日投稿(毎日投稿してるが…。)で頑張っていきますのでよろしくお願いします!

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