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花火と肥満白猫と

作者: 鮫々 笑
掲載日:2007/11/09

私は夏祭りが大好きだ。

大勢の人でにぎわう露天。騒ぐ人々。迷子になる子供。可愛い浴衣姿の女の子に、恥ずかしそうな笑顔の浴衣姿の男の子。私の記憶には、そんな楽しい夏祭りがある。


でも、最近は何年も、忙しさで祭りなんかとは無縁な日々が続いていた。

今年は久々に祭りに行ける、人ごみに疲れるかもしれない、慣れない自分が迷子になるかもしれない。

それでも、再び祭りを楽しめると思うと、今から胸が高鳴ってくる。


今の時間は4時、もう屋台も出ているし人もたくさん集まってきた。

ちょっと早いかもしれないけど、そろそろ家を出る事にする。そう思い家を出ると、そこには一匹の猫。

色は白くて、多分肥満だ。どことなく見覚えがあるかな、と思い見つめていると、肥満白猫は逃げ出してしまった。


太ってるくせに足が速いんだ。そんな事を思いながら、猫が逃げていった方向に足を進める。丁度祭りの方向だ。


猫も祭りに行くのだろうか。そんな事を考えながら歩を進めると、またあの猫を見つけた。

でも、私からはすぐに逃げてしまう。再び歩を進め、猫を見つける、だけど逃げられる。

そんな事を繰り返していると、いつの間にか周りには屋台とたくさんの人。猫は見当たらない。

なんだか、少し寂しくなった。

だけど、周りのたくさんの屋台を見ていると、そんな事はすぐに忘れて楽しい気分になれる。

記憶の中の夏祭りと一緒だ。久しぶりの屋台を見て周る。色々な食べ物、くじ、金魚すくいやヨーヨーすくい。

金魚すくいには挑戦してみたが、一匹もすくえなくて、少し残念になって少しほっとした。魚は飼いたくはない。


そんな風に屋台を堪能していると、いつの間にか5時50分。花火は6時から。

やっぱり夏祭りの醍醐味は花火、それを見ないと夏祭りを味わったとは言えない。そんな事は子供だって知っている。

花火のよく見える場所を探しながら歩くと、あの肥満白猫がいた。今度はゆっくり歩いている。

猫の進んでいる方向は私の進んでる方向と一緒だったから、そのまま後をつけてみた。猫の進む速さに合わせて、ゆっくりと。

「このまま、歩きながら花火を見るのも良いかもしれないな」

なんて思っていると、猫が止まった。止まった場所は、大きな花壇の前。

花火を見るのに丁度良いその場所はたくさんの人が座っていた。それでも一箇所空いている。その場所の前に丁度猫は止まっている。


幸運な私はそこに座る。幸運に連れて行ってくれた猫が私に座る。丁度花火が始まった。猫を撫でながら花火を見る。

猫はぷにぷにして、ふさふさして、気持ち良い。花火は、うるさくて、綺麗で、でっかい。


時間が経つのが早く感じる。空っぽの頭で、とても間抜けな顔で空を見上げていたらいつの間にかもうクライマックスだ。

凄く大きな花火が上がるらしい。ドキドキしながら、撫で撫でしながら花火を待つ。


大きな音の後に空に弧を描いて花火が上がる。

一瞬消えたかと思うと、今までのどの花火よりも大きな花が開く。

一際大きな音が鳴り響く。


肥満猫の耳が、ビクっとなった。

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