5-2-2.対人戦トーナメント準々決勝
食堂を出た龍人と遼が校門前に来ると、いきなり後ろから呼び止められる。
「おーい!藤崎遼と高嶺龍人だろ!?」
元気の良い声に振り向くと、フェザーウルフの金髪に長身の青年が手をブンブン振っていた。
「遼、あいつ誰だ?」
「さぁ…分かんない。」
余りにも元気が良すぎる動きに、不審者でも見るような目の2人が小声で話している間に、その青年は駆け寄って来て2人の肩を軽く叩く。
「いやー、さっきのトーナメントカッコ良かったぜ!久々にムズムズしちゃったもんね!」
青年はニカっと笑う。動きの通りにハイテンションで話し掛けてくるので、龍人と遼はやや押され気味である。
(…なんて爽やかなん奴なんだし。)
元気一杯爽やかさ全開の青年だが、悪者感は無く、むしろ好感を持てる雰囲気だ。ハイテンションに押され気味の為、やや引きつった笑顔で龍人が応じる。
「ありがとうございます。ところで、どなた様で?上級生の方ですよね。」
「もち!俺はルフト=レーレ。街立魔法学院の4年生だ!偶然見かけたから、声かけちまったぜ!」
親指を2人に向けてグッと立てるルフト。爽やかな風を拭かせそうな笑顔は見ているだけで眩しい。そんなルフトを見た女子生徒達が驚いた表情をし、黄色い声をあげた。
「あ…!ルフトさんよ!ルフトさーん!今日も素敵ですね!」
「えっ!?ルフトさんがいるの!?…きゃー!!ルフトさん!こっち向いてぇー!」
辺りは一瞬にして黄色い声で埋め尽くされる。
「やべっ!また女子が騒ぎ始めちまった!じゃ、明日の試合楽しみにしてるからね!バーイ!」
最後まで爽やかなルフトは、黄色い声を引き連れて走り去って行った。
「ねぇ龍人、名前とモテるって事しか分かんなかったけど、有名な人なのかな。」
「んー、まぁ女子の騒ぎっぷりからして、かなり有名なんじゃない?ま、なんにせよ一緒に居たら疲れそうだわ。」
龍人の言葉通り、一瞬の出会いではあったが疲労感を感じる2人は揃って溜息を吐くと、これ以上誰かに絡まれる前に…とそそくさと学院を後にしたのだった。