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Colony  作者: Scherz
第一章 魔法街 始まる者達
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5-1-13.対人戦トーナメント

 結界の崩壊によって引き起こされた爆発後、激しく抉れたリング上に龍人とルーチェの姿はあった。


 龍人は平然とした顔で立っていて、ルーチェは地面に伏していた。誰が見ても…勝敗は明らかだ。

 ラルフのイマイチやる気を感じないアナウンスが入る。


「はい!そこまでー!龍人の勝利だ!」


 試合終了を告げながらも、ラルフはリング上に立つ龍人を困った目で眺めていた。


(ったく、龍人の奴、構築型魔法陣を使ったな。しかも俺の魔法を真似しやがって。周りにばれたらどーすんだし。)


 龍人は観客の拍手に手をヒラヒラ振って応じると、控室へと戻って行った。


「龍人やるじゃんー!最後のどうやって攻撃防いだの?」


 控室に入ると遼が満面の笑みで近づいて来た。


「それがさ、俺にも良く分かんないんよね。相打ち覚悟で反射障壁を使ったんだけどさ。」


 龍人はヘラヘラ笑う。その様子を見た遼は、思わず溜息を吐いてしまう。折角笑顔で龍人の勝利を祝福しようと思っていたのだが、相打ち覚悟の戦法だったとあっては咎めずにはいられなかった。


「もっと自分の事大事にしないとだよ?下手したら大怪我してたかもなんだし。」

「分かってるって。今回は仕方がなかったんよ。想像以上に追い詰められたからなぁ。って遼、俺の事心配しすぎじゃ…。ま、まさか、俺の事好きなの?」

「アホか!」


 戯けた龍人の頭に遼の拳がクリーンヒットする。頭に手を当ててしゃがみ込んだ龍人は涙目になりながら…小さな罪悪感を覚えていた。


(全く。友達に嘘つくのはいい気分じゃないわ。)


 実際の所、龍人は反射障壁が壊れて爆発が引き起こされた瞬間に、構築型魔法陣でラルフが転移で使う次元魔法を応用して爆発が起きている瞬間だけその場で転移を行ったのだ。同じ場所から同じ場所への転移である。この方法で爆発が最大火力を誇っている瞬間を避けたことで、大きなダメージを受けずに済んだのだ。


 こうして、龍人も次の試合へ駒を進めたのだった。


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