5-1-11.対人戦トーナメント
龍人はよろめきながらも立ち上がった。ルーチェの攻撃は直撃したが、幸いな事に重傷を負った箇所はない。衝撃で身体中が痛い事には代わりはないが。
ルーチェは防御壁ごと凍っているが、脱出するのも時間の内だろう。防御壁自体が凍って氷の塊の様になり、ルーチェを閉じ込めているが…彼女自身も氷漬けになっているわけではない。
龍人は体の周りに治癒の魔法陣を展開、痛みを少しずつ和らげていく。光線のダメージは左足に大きなダメージを与えていて、こちから治るまでに多少の時間を要しそうである。
同時に幾つかの魔法陣をストックして使用した分の補充も進めていく。
更に、左足を引きずりながらリング上のルーチェから1番遠い所まで移動をする。光を操るという性質上、何処から攻撃が来るか分からないので、念の為の行動だ。
そうしている間に、ルーチェを閉じ込めている氷の内側が少しずつ発光を始めていた。
そして、龍人の身体の痛みが大分和らいだ辺りで氷が弾け飛ぶ。氷の中から出て来たのは…大量の光球だった。光球は勢いよく宙に広がる。
そして、ルーチェが姿を現す。
「龍人くん、あなたの実力は想像以上ですわ。状況に対する咄嗟の判断力は素晴らしいのです。だからと言って、私も負ける訳にはいきませんの。全力でいかせて頂きますわ!」
ルーチェの言葉と同時に、光球の輝きが強くなる。
「縦横無尽に駆け巡るレイの嵐を受けるのですわ!」
光球から数多の光線が龍人目掛けて迸った。最早それは線…というよりも網と表現するのが相応しいレベルの量を誇っている。
(やば!攻撃の密度が高すぎる!)
龍人は無詠唱魔法で身体能力と反応速度を一時的に向上させて、迫り来る高密度の光線に備える。




