5-1-7.対人戦トーナメント
銃の手入れをしていた遼はラルフによる決着のアナウンスが聞こえた所で顔を上げた。
「まさかバルクが勝つとはね。ちょっと驚いたよ。」
「ま、バルクは今まで無詠唱魔法しか使ってなくて、あの実力だったしな。属性魔法を使うようになって、かなり強くなってるでしょ。」
龍人の分析を含めた意見にルーチェが頷く。
「そうですわ。バルク君は強くなりましたわ。魔法と格闘を独立して使うことが出来るようになったら、もっと厄介な相手になりますわね。」
ルーチェの言葉に火乃花は眉をしかめたような顔をする。
「あの筋肉馬鹿が、そこまで頭を使って戦えるかは謎だけどね。」
控え室の外ではラルフが次の対戦カードの発表をしてる。それを聞いていた遼が火乃花の方を向く。
「あ、火乃花!次、出番っぽいよ。」
「やっと私の出番ね。ちゃちゃっと勝ってくるわ。」
遼に声をかけられた火乃花は髪をかき上げると、堂々とした態度でリング中央へと進んだ。
火乃花の対戦相手は、上位クラスクラスで中くらいの実力の男子だ。所詮、火乃花の敵ではない。
試合開始と同時に、火乃花の両手に炎の鞭が現れる。炎鞭は意思を持つかの様にうねりながら男子生徒を襲った。
男子生徒は防御するが、炎鞭の1つが当たり、体に巻きついてしまう。炎鞭を解こうにも強度が高く、簡単に壊す事が出来ない。男子生徒が足音に慌てて顔を前に向けると、腰に手を当てた火乃花が立っていた。
「どうする?降参しないなら、このまま炎鞭の熱量を上げて真っ黒にする事も出来るわよ?因みに今使ってるのは炎鞭。もう1つ上の焔鞭がある事も忘れないでね。」
火乃花の言葉に勝機を全く見出せなくなった男子生徒は頭をがっくしと下げる。
「降参します。」
かくして、火乃花はあっという間に4回戦へと駒を進めた。
 
 




