5-1-2.対人戦トーナメント
元々観客無しでやる予定だった筈なのに、観客有りの対人戦になった瞬間にアナウンス係を率先して務めるラルフはなんだかんだ楽しんでいた。
「あ~、あ~。これ入ってるのか?聞こえないぞ?ん?あ、俺が中にいるから聞こえ難いのか。サンキュー。じゃぁこのまま話すぞ?え~っと、皆お疲れ!次は3回戦だ。まずは、レイラとバルク!出てこ~い。」
「はぁ。こんな時でも相変わらずおバカな感じなんだねラルフは。」
遼が呟く。銃の手入れが大変なのか、目線はずっと銃に向けられたままである。
「よし!レイラ、負けないぞ!」
バルクは腕を回しながらリングへと向かう。やる気十分、闘志100%だ。
「バルク君が相手かぁ。負けないように頑張らなくちゃ!」
レイラも小さく気合いを入れるとリングへ向かった。
2人を見送った龍人は火乃花に声を掛ける。
「なぁ火乃花。バルクの属性ってなんだっけ。」
「忘れたの?属性【地】よ。」
「普段の授業で使ってんの見た事ないから、完全に忘れてたな。属性【地】って何か特徴ってあんの?」
「…私に聞けば何でも分かるって思ってるでしょ。まぁいいけどね。属性【地】は、字の通り主に地面を操る魔法よ。」
「って事は、レイラは苦戦しそうかな。」
「そうね。レイラは補助魔法を使って上手く攻撃をするしかないしね。戦闘補助だったら上位クラスで一番の実力者だと思うんだけど。個人戦だからしょうがないわ。後は、バルクが持ち前のお馬鹿を発揮したら結果も変わるかも知れないけど…始まりそうね。」
リングでは既に2人が向かい合って立っていた。ラルフが試合開始のアナウンスをノリノリで始める。
「では、皆待たせたな。ちょっと雰囲気出して言ってみるぞ!さぁぁお待たせしました!リング中央に立つ2人!上位クラス最小のレェェイラァアァ=クリストファァァ!対するはぁぁぁ、失恋から立ち直りつつある男、バルクゥゥゥゥ=フィレェェェイアァ!この2人のバトル!どうなるか!小さな女子にひれ伏すかバルク!力馬鹿に押し倒されるかレイラァァ!2人共準備はいいかぁ!?レッディィファイッ!」
 




