4-1-7.特訓
その日から毎日、放課後にラルフとの特訓が始まった。特訓内容は魔法陣の形成技術向上が中心だ。基本の簡単な魔法陣よりも少しでも難しい魔法陣を形成出来れば、ストックの魔法陣を使わないで済む場面が増えるかも知れない点。そして、ストックが切れた時の再ストックに掛かる手間を減らすのが目的である。
ラルフが「気楽に厳しく」と言った通り、ラルフは気楽に特訓を指導するが、龍人にとってはかなり厳しい特訓になっていた。
そして、普段の授業では、座学、対人戦をひたすらに続ける学院生活だ。
入学して早々、予想よりも大分中身の濃い学院生活を送ることになっていた。
そして、特訓開始から1ヶ月後。
季節は初夏である。燦々と日が照り、大地を焦がす。初夏の筈だが気温は真夏並みに高い。
街立魔法学院のグラウンドでは、1年生上位クラスの対人戦トーナメントが開催されようとしていた。
グラウンド中央には特設リングが設けられており、そのリングに上位クラスの生徒全員が集合していた。
リングの周囲360度には観客席が設置されていて、その観客席には1年から4年の学生、街の人々が試合開始を今か今かと待ち構えている。
上位クラスの生徒達が待っているのはラルフだ。集合時間になっても現れないので、寝坊でもしたか、何か大人の事情でもあるのか。
ザワザワと話す観客たちに見られながら待つのは中々に拷問チックでもあったりする。
すると、やや戸惑った表情のラルフがリングに転移で現れた。周りの観客をみると両手を腰に当てて話し出す。
「説明するまでも無いと思うが、観客ありだ。ヘヴィー=グラム校長に今日の事を言ったら、折角だから盛大にやろうって言われちまったわ。ってか、想像以上に集まってんな。一応言っとが、ここで活躍すると上級生から声が掛かったりするかもな。後は、街の人たちも来てるから、仕事の依頼も来るかもだ。ま、頑張れ~!優勝した奴はそのまま俺と戦うからな!」
かくして、1年生上位クラス対人戦トーナメントが始まる。




