4-1-6.特訓
魔法陣のストックの問題は、龍人が前々から感じていた問題点の1つで、苦い顔をしながらラルフに説明していく。
「普通、魔法陣を使う人って、巨大な魔法陣で強力な魔法を発動させたり、トラップ、常駐型とかで魔法陣魔法を使いますよね。俺の場合は、魔法の発動に魔法陣が必要なんですよ。ってか、必須なんです。つまり魔具魔法とかが使えないんすよね。呪文魔法とか、精霊との契約も何故か出来なかったです。で、えーっと、ストックが切れた時ですよね。今の前提があるので、魔法陣を使わない限り何も出来ないんですよ。なので、基本的には戦いながら魔法陣のストックが無くならない様に補充しながら戦ってます。一応、初歩的な魔法陣はストックして無くても直接展開出来るので、そこを上手く使う感じですね。」
「なるほどなぁ。便利そうで結構大変なんだな。で、そのストックの補充はどうやってるんだ?実際に見せてくれ。」
「こんな感じです。」
突然、龍人の右手の上に魔法陣が浮かび上がった。炎の魔法陣だろうか。
続いて同じ魔法陣が幾つか浮かび上がり、右手に吸い込まれるようにして消える。
「これで、炎を召喚する魔法陣を幾つかストックしました。因みに右手じゃなくても別に大丈夫っすね。別に手を使わなくてもいいし。んで、ストックする魔法陣を強いのにする場合は…」
先程の炎の魔法陣が複数個浮かび上がる。それらは位置を変え、幾つかの線や文字を加え、1つの魔法陣へと組み上がった。そして、先程と同じように龍人の中に吸い込まれるようにして消える。
「こんな感じですね。」
難しい顔をして龍人の手元を見ていたラルフはニヤリ、と笑う。
「良く分かった。お前の課題は、魔法陣のストックで浮かび上がらせる…んっと、魔法陣の形成か…で、今より複雑な魔法陣を形成出来る様にする事。魔法陣の最大ストック数を増やす事。展開した魔法陣の組み換えのロスを減らすってトコだな。所で、ストックの最大数はどん位だ?」
「んーと、上位の魔法を5個発動出来る位ですかね。」
「曖昧だなぁ。ま、ストックする魔法陣によって違うって事か。」
背伸びと欠伸をし、浮かんだ涙を擦りながらラルフが告げる。
「ま、気楽に厳しくいくぞ」




