4-1-5.特訓
教師校舎訓練室。
この部屋を生徒が普段使う事は殆ど無い。わざわざ教師校舎の訓練室を使わなくても、各学年の校舎に特訓室が設けられているからだ。
それでも敢えて用意してある理由は大まかに2つある。1つ目は、教師自身が訓練をする為。2つ目が、他の生徒には秘密で訓練を行う場合。
今回は後者の理由でラルフと龍人は訓練室に立っていた。龍人の正面に立つラルフは眠そうに欠伸をする。
「龍人、お前の属性が謎すぎるから、色々とやってみようかと思ってる。まずは…そうだな、メインで使う魔法は魔法陣でいいんだよな。しかも描いたりしないで、一気に展開するやつだろ?」
「んー、大体合ってるんだけど、ちょっと違うんですよね。魔法陣を展開するのを多用してるのは間違い無いんですけど。」
やや濁した龍人の返事にラルフは眉を寄せる。
「ん?違うってのはどういうことだ?他になんか出来んのか?」
「見てもらえば分かると思うんで。」
そう言うと龍人は右手を横に伸ばし、手の平を広げ横に向けた。魔力を集中させると魔法陣2つ展開される。そして、2つの魔法陣ばバラバラに分解して1つの魔法陣に組み上がって発動、大き目の火球が弧を描きながら壁へと激突した。
「おいおい…!今のは何だ?魔法陣がバラバラになって1つに纏まるとかどういうことだ?」
「どういう事っていうか…どっちかって言うと、展開するのよりもこっちの…俺は構築って呼んでるんですけど…構築の方が本気で戦う場合はメインになるんですよね。ストックで、色々な種類の魔法陣を持っといて、それをベースとして使うんですよ。後はその魔法陣を展開して、発動する魔法に合わせて魔法陣のパーツの必要な部分だけを取り出して組み立てるって感じっすね。さっきよりも強い火球を出すならこんな感じっす。」
龍人ら両手を広げて、複数個の魔法陣を腕の周りに展開した。すると各魔法陣の文字が部分的に浮かび上がり、新たな魔法陣を形成する。そして、その魔法陣から巨大な火炎球が放たれる。
ラルフが感心したように口笛を吹く。
「なるほどな。強力な魔法を短時間で発動出来るわけだ。例えばだが、戦闘中に魔法陣のストックが無くなったらどうするんだ?」
「それが1番の悩みどころなんですよ。」
龍人はため息を付く。




