4-1-4.授業
その日の午後、龍人、遼、火乃花、バルクは昼ご飯を食べる為、屋上に集まっていた。
最近は恒例となっている光景だ。
火乃花が肉じゃがを頬張りながらバルクを見る。
「バルク君、朝からテンション低いと思ってたけど、失恋したってホントなの?」
「あー、そうだな。失恋だな。」
遠い目をして答える。
遼が付け加える。
「しかもね、その相手がリリス先生なんだ。みんなラルフの奥さんって気づいてたと思うんだけど、バルクは気づいてなかったみたいで。」
バルクの拳が頭にクリーンヒットし、遼は屋上に転がった。
「悪かったな!一目惚れだったもんで、ローゼスの部分が耳に入ってこなかったんだよ!」
「まぁまぁ、バルク君落ち着きなって。リリス先生ってのは知らなかったけど、失恋なんて誰にでもある事だよ?辛いのは分かるけど、人に当たっちゃダメだよ。」
サンドイッチを食べ終わった龍人は、遼を転がしながら口を開いた。
「それにさ、ラルフとのバトルに燃えてはいるけど、ラルフを倒してもリリス先生は手に入らないよ?まぁ分かってるとは思うけどさ。」
「あぁ。そんなん分かってるよ。夫婦であるラルフに何の非もないこともな。あの場で、俺に気を使って、優勝の賞品として自分を出しただろ?それでさ、ラルフが俺に相当気を使ってるって気づいてさ。いつまでも落ち込んでいるわけにはいかないって思ったんだよ。」
「それで、素直じゃないから挑戦する様な事を言ったのね。ホント、男って面倒臭いわ。」
「悪かったな!」
少し顔を赤くして怒鳴るバルク。少し深呼吸をすると、真面目な顔をする。
「これだけは言っておく。俺はこの学院で誰にも負けたくない。ひと月後の対人戦トーナメントで、絶対に優勝するからな。」
遼が笑みを浮かべる。
「いいね。俺もま…やめろっ!ひゃひゃひゃ~!」
見ると龍人が遼をくすぐっていた。息も出来ない程に悶える遼を悶えさせ続ける。
「おい、バルク。俺も負けないぞ。」
「はっ。言ってろ!じゃ、俺は先にグラウンドに行ってるぜ。遼が酸欠で痙攣してるから、程々にな。」
片手を上げると、バルクは屋上から出て行く。
龍人と火乃花も弁当をしまうと、遼を引きずってグラウンドへ向かった。