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Colony  作者: Scherz
第一章 魔法街 始まる者達
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3-3-2.爆発後

 龍人、遼、ラルフの3人が腹を抱えて笑い、それを見ながらリリスが首を傾げている所に魔法の台所の店主であるシェフズが近づいて来た。プックリ太った顔は汗でキラキラと輝いている。


「いやーお前ら良く頑張った!お陰で俺の店が無くならないで済んだよ!店ん中はグチャグチャだが、店は残ってる。ありがとうな!」


 にっこりと満面の笑みを龍人達へ向けると、ラルフへ顔を向ける。


「ラルフ。あんたの生徒だろ?いい育て方してんじゃねぇか!この子達が耐えてくれなかったら、あんたが到着するのに間に合わなかったかも知れねぇ。感謝するよ。」


 シェフズは「がははっ」と豪快に笑いながらラルフの肩を物凄い勢いで叩く…いや、強打する。ラルフの体が強打の度にガクンと傾くのを見ると、相当な威力がありそうだ。

 一頻りラルフを叩いた後に、シェフズは真面目な顔を作って遼の方を向いた。


「さて、頼みがあるんだがいいかな?」

「なんでしょうか?出来る事なら手伝いますよ。」

「あ、馬鹿!」


 遼の返事にラルフが焦った顔をする。そして、真面目な顔が嘘だったかの様にニンマリ笑うシェフズ。


「良く言ってくれた!俺の店は今んトコ俺1人で経営してるんだ。だから、片付けるのが大変なもんで、言ったからには手伝ってもらうぞ!じゃ、行くぞ!わーっはっはっ!」

「えっマジで!?」

「あのアホ。シェフズはこーゆー時の人使いが恐ろしく荒いんだよ。」


 まさかの展開に唖然とする遼の、予想通りの展開に頭を抱えるラルフ。

 シェフズは遼の首根っこを掴み、店へと引き摺っていった。


「しゃーねぇ。遼1人だけにしたら、あいつが過労で死んじまう。いくぞ龍人。」


(マジかよ。あんだけ魔力を使った後に、あの店を片付けるのか?)


 ゴミ屋敷の様に荒れ果てた店内を見て、龍人は重い足を動かして歩き出した。


「3人とも頑張ってねー!」


 後ろでは、リリスがにこやかに手を振っている。「いやいや貴女も手伝いなさいよ」なんていうツッコミをする人間は何故かこの場には居なかった。

 周囲を見渡してみると、他の店も片付けを始めている。あれだけの事故が起きたと言うのに、ほとんどの人が笑い、冗談を言い合って片付けをしていた。先程、渦に巻き込まれたであろう、服がボロボロの人達も混じっている。補足しておくと、リリス以外の魔力の渦に巻き込まれた人達も多少なりとも怪我は負っているが、死者はなく全員が助け出されていた。


(これだけの事件の後で笑ってるのは、すげぇな。こりゃあ片付けは手伝わないとバチがあたるかー。)


 流石に、この状況で何もせずに帰るのは気が引ける。観念した龍人は店内へ小走りで向かった。

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