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Colony  作者: Scherz
第四章 其々の道
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11-10-3.大晦日



 魔法の台所に入った龍人は店の中をぐるりと歩いて回り、目的の魔具が無いか探していく。

 魔法の台所の店内は属性毎に魔具が分けられて陳列されている。また、属性の棚は魔具の種類…つまり、ネックレス、ブレスレットなどの種類毎に纏めて置いてあるのだ。各魔具毎の細かな属性(つまり、【火】【炎】などの同属性で上位属性かどうか)に関しては魔具についているタグを見ていくしかない。

 細かな属性毎に陳列したらどうかと、龍人はシェフズに提案した事があるのだが、そもそも個人の持つ属性が知られているのとその逆とでは、最初の攻防において有利不利が大きく分かれてくる。その為、どちらかというと非一般的である上位属性の棚を作ってしまうと、その棚の魔具を購入した瞬間に購入者の属性がバレてしまうのだ。それも正確に。

 その為、探すのに多少の手間は掛かってしまうが同じ属性群は纏めて陳列してあるらしい。人気店だからこその配慮…と言えるだろう。


(ってかさ、俺の属性って極属性【龍】だろ?この属性の棚って無くないか?…いや、でも基本的に全部の属性を使えるから極論的にはどの属性でもいいのか。…そーなると全部の棚を探さなきゃ駄目じゃね?そーれーはーむーりー!)


 と、言うわけで龍人は店主のシェフズを捕まえる事にした。店内をぐるりと回った時に姿が見えなかったので、恐らくレジ付近に居るのだろうと当たりを付けた龍人はそちらに向けて歩いていく。

 だが、いざ到着してみるとレジにいるのは見知らぬアルバイトの子だった。


(へぇ。レイラ以外にもアルバイトを雇ったんだ。まぁ、確かに最近の魔法の台所は常に客がいっぱい居るもんな。流石は南区を代表する魔法店って事なのかね。)


 そんな事をのんびり考えている龍人だが、目的がシェフズだった事をすぐに思い出すとレジに立つショートヘアの女の子に声を掛ける。


「すんません。シェフズっている?魔具について聞きたいんだけど。」

「あ、少しお待ちください。」


 レジの女の子はそう言うとレジ奥の小部屋に入っていく。そして、すぐにシェフズを連れて戻ってきた。シェフズは龍人を見ると嬉しそうに大きな声を出す。


「いよぉ!久しぶりに来たな!偶にはレイラと一緒に遊びにくりゃいいのによ。俺の前でイチャイチャしてみせろってんだ。はっはっは!」

「いや、まて!俺とレイラは別に付き合ったりしてないぞ?何か勘違いしてないか?」

「…なに!?お前達、アレだけのラブラブオーラを出しておきながら付き合ってないのか…!?ホント最近の若いもんは良くわかんねぇな。」


 シェフズは理解不能とばかりに苦い顔をし、腕を組んで頭を捻る。そこまでレイラとラブラブしていたつもりがない龍人としてはかなり心外な反応だ。と言うよりも、レイラの事が気になっている所にマーガレットというもう1人の女性が割り込んできた事で、龍人の恋心はやや複雑な様相を呈してきているのだ。その状況でレイラとラブラブなどと冷やかされると反応に困ってしまうのだ。

 これ以上この話を続けていても一文の得にならないと判断した龍人は話題を一気に変える事にした。


「あのさ、ちょっと補助効果で探してる魔具があるんだけど探すの手伝って貰っていいか?」

「話を変えて逃げたな?ま、いいか。ってかアレだ。俺を舐めるなって。この店にある魔具は全て把握してる。要望を言ってもらえればすぐに持ってこれるぞ?」

「お、流石は人気店の店主だな。これだけある魔具をほとんど覚えてるとか凄いわ。」

「褒めても値引きはしねぇぜ?で、言ってみな。どんな補助効果が必要なんだ?」

「あ、えっと、魔法陣のストックを増やせる魔具って無いかな?」

「…魔法陣のストック。…なる程そういや龍人は構築型魔法陣の使い手だったか。それなら…。」


 腕を組んで考え込むシェフズ。保管場所を思い出しているのかと龍人は期待をして待つ。その間約1分。シェフズは大きく頷く。


「うん。無いな。魔法陣のストックを増やす補助効果を持ってる魔具は中央区の店に行っても無いと思う。」


 衝撃の返事である。龍人は数秒の間に何回も自身の耳を疑ってしまった。


「げ…マジか?」

「あぁ。大マジだな。そもそも構築型魔法陣の使い手はここ最近いなかったしな。需要がないんだよ。需要がなければ供給が無いのも当然だろ?」

「え…。でもさ、クリスタルに魔法陣を入れておいて発動させたりしてるじゃん?あーゆーのを応用した魔具とかないのか?」

「あぁなるほど。そういう魔具ってのは使い切りになっちまうんだよ。高価なものなら複数の魔法陣をクリスタルに記憶させることは出来るが、記憶出来る個数と使用できる回数はイコールだ。どっちにしろ使い切りになっちまう。それじゃあ龍人の戦うスタイル的に相性が悪いだろ?」

「え?そうか?」

「そうだ。魔法陣を分解して構築するやつ…確かにメディアでは構築型魔法陣とか言ってたかな。あってるか?」

「…合ってるな。」


 龍人はメディアが構築型魔法陣の名前を正確に報じている事に驚きを隠すことが出来ない。確かに大衆の前で構築型魔法陣は使ったが、その名前を誰かに言ったりという事はしていない。それでもメディアが正確に名前を言い当てたという事は、魔法の学者達が正確に龍人の魔法を分析したという事だろう。

 龍人の動揺に気付いているのかいないのか分からないが、シェフズは話を続けていく。


「えっと…魔法陣展開魔法によって展開した展開型魔法陣を分解し、魔法陣構築魔法によって構築型魔法陣を構築すんだよな?って事は、展開した魔法陣は発動しないでその場に残る必要があるわけだ。だけどよ、クリスタルからは魔法陣を展開するわけじゃなくて、魔法陣を発動するって概念なんだよ。こうなるとお前さんの…多分本領の構築型魔法陣に使う事が出来ないんだ。それじゃぁ持っててもあんま意味ないだろ?」

「確かに…。じゃぁ魔具に頼るのは無理かー。」

「ん?龍人…確かに対抗試合で剣の魔具使ってなかったか?」

「あぁ…夢幻の事か?あれはなんか上手く能力覚醒をしてくんないんだよな。」

「能力覚醒?…って事は、あの剣には何も補助効果が無いのか?」

「いや、ある時はあるんだけど、無い時は無いんだよ。」

「…?ちょっと何を言ってるか分からん。まぁいいか。魔法陣のストックに関連する魔具を入荷することがあったらレイラ経由でつたえるな。まー期待はすんなよ!」

「分かった。サンキューな。」


 探していた補助効果を持つ魔具を見つける事が出来ず残念ではあるが、魔具に頼るのがほぼ不可能である事が分かっただけで良しとしよう。…と、龍人はポジティブに考える事にしたのだった。

 因みに、龍人はシェフズとの話して1つだけ嘘を言っている。それは夢幻についてだ。確かに通常の銀色の状態では全く何の補助効果も無い。しかし、黒い靄を出してそれに反応して漆黒に染まった夢幻は魔法陣の展開スピード、分解スピード、構築スピード、発動スピード、属性強化という龍人が戦闘において必要とする補助効果が一気に能力覚醒するのだ。

 この点を考えれば夢幻は龍人にとって最高の武器である事は間違いない。ただ、黒い靄が切札としての力なので普段はその恩恵に預かる事が出来ないのだが。


(いやー参ったなぁ。魔法陣のストック量を劇的に増やす方法が知りたい。てかアレだな。今まで感覚でやってたけど、魔法陣ってどこにストックしてんだろ?なんとなく胸の奥的なイメージだったけど…。体の中の魔力倉庫みたいな所に一緒に入ってんのかな?そうなると魔力総量が増えないとストック量は…いや、関係ない気もするな。)


 魔具に頼るという道を断たれた龍人の思考は、どうすればいいのか考え、どんどん迷路に迷い込んで行った。焦っても仕方がないという事は十分に理解している。しているのだが…。という所が悩みどころなのである。


「あ、龍人君いた!」


 悩みながら街魔通りを歩く龍人の背後から聞き慣れた声が聞こえた。振り向くと、そこにはレイラが嬉しそうな顔で立っていた。



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